ストックオプションは「報酬」なのか|年収構成に潜むリスクの見極め方
スタートアップ企業への転職を検討する中で、「ストックオプション」という言葉に触れる機会があるでしょう。
「上場すれば大きなリターンが得られる」という魅力的なイメージが先行しがちですが、確実に受け取れる報酬ではありません。
年収の提示額にストックオプションが含まれている場合、その内訳を正しく理解しておかなければ入社後に「想定していた収入と違う」という事態になりかねません。
本コラムではストックオプションの基本的な仕組みを整理した上で、転職時にどのような視点で判断するべきなのかについて解説します。
ストックオプションとは何か
まずは、ストックオプションの基本的な仕組みを確認しておきましょう。
仕組みの概要
ストックオプションとは、あらかじめ決められた価格で自社の株式を将来購入できる権利のことです。
会社が上場して株価が上がった場合、購入時の価格との差額が利益になります。
スタートアップ企業が社員のモチベーションの向上や、人材確保の手段として導入するケースが多く、給与とは別の報酬として位置付けられています。
確実に受け取れる報酬ではない
ストックオプションについて理解しておくべき最も重要な点は、確実に受け取れる報酬ではないということです。
会社が上場しなければ、権利を行使する機会がないことも珍しくありません。
また上場したとしても株価が想定通りに上がるとは限らず、期待していたリターンが得られない可能性もあります。
あくまで「条件が揃った場合に利益が生じる可能性のある権利」であり、毎月の給与のように安定して受け取れるものとは性質が異なります。
また権利を行使できるようになるまでには、一定の在籍期間が求められるのが一般的です。
入社してすぐに恩恵を受けられるわけではなく、長期的に会社に貢献し続けることが前提となっている点も理解しておく必要があります。
年収構成にストックオプションが含まれている場合の注意点
ストックオプションが年収の提示額に含まれている場合、確認しておくべきポイントがあります。
提示された年収の「内訳」を確認する

例えば「年収600万円」と提示された場合、そのすべてが基本給や賞与で構成されているとは限りません。
内訳を確認してみると、「基本給と賞与で400万円、残りの200万円はストックオプションの想定額」ということもあります。
この場合、毎月の給与として実際に受け取れるのは400万円をベースとした金額です。
残りの200万円は不確定な要素であり、確実に受け取れる保証はありません。
不確定要素が大きい年収構成には慎重な判断を
年収の構成においてストックオプションの比率が高い場合は、慎重に判断する必要があります。
前述の例で言えば、年収600万円を前提に生活設計を立てたとしても実際に安定して受け取れるのは400万円分です。
「600万円で入社したつもりが、実質的には400万円だった」ということにもなりかねません。
提示された年収が自分の希望に合っているかどうかを判断する際は、ストックオプションを除いた金額をベースに検討する方が現実的だと言えるでしょう。
ストックオプションとどう向き合うか
それではストックオプションという制度に対して、どのような姿勢で向き合えば良いのでしょうか。
付加的な要素として捉える
ストックオプションは転職先を選ぶ際の判断材料の一つにはなり得ますが、それを主な理由にして入社を決めることにはリスクがあります。
その恩恵を得るためには、入社後に成果を出し続けて会社の成長に貢献することが前提となります。
だからこそ報酬の中心に据えるものではなく、あくまで付加的な要素として捉えておく方が冷静な判断につながります。
転職先を選ぶ際に重視するべきなのは、その会社で自分が何を実現できるのか、どのようなキャリアを築けるのかという点です。
ストックオプションの有無は、そうした判断の上で考慮する補足的な要素として位置付けておくことをおすすめします。
事業の将来性を見極める目を持つ

ストックオプションに価値があるかどうかは、その会社の事業がどれだけの将来性を持っているかに左右されます。
魅力的な事業を展開している会社であっても、それが本当に独自性のあるものなのか、市場の中で競争力を維持できるのかは外部からは判断が難しい部分です。
入社してみないと分からないことも多く、その価値を事前に正確に見積もることは難しいと言えます。
だからこそストックオプションの有無を重視するよりも、その会社で何を実現したいのか、自分のキャリアにとってどのような意味があるのかを軸に判断することが大切です。
ストックオプション以外の報酬条件も整理する
ストックオプションに目が向くと、他の報酬条件への確認がおろそかになることがあります。
基本給・賞与・手当の確認
転職時にまず確認するべきなのは、基本給や各種手当といった確実に受け取れる報酬条件です。
基本給がどの程度なのか、残業代は固定残業制なのか実績払いなのか。加えて賞与については、支給の有無や金額が業績に連動するのか固定なのかも確認しておきたいポイントです。
こうした項目を一つ一つ確認した上で、自分が毎月どの程度の収入を見込めるのかを把握しておく必要があります。
ストックオプションは、報酬全体の中であくまで付加的な要素です。
基本的な報酬条件が自分の希望に合っているかどうかを、まず確認することをおすすめします。
年収の「相場感」との比較
提示された年収が、その職種や業界の相場と比べてどの程度の水準なのかを把握しておくことも重要です。
相場と比較して基本給が低く、ストックオプションを含めることで年収の総額を引き上げている構成の場合は注意が必要です。
ストックオプションが実現しなかった時に受け取れる報酬が、想定よりも大幅に低くなるリスクがあるため、慎重に検討する必要があるでしょう。
スタートアップ転職で後悔しないために
ストックオプションに限らず、スタートアップ企業への転職では報酬条件全体を冷静に見極めることが求められます。
「魅力的な話」ほど慎重に
スタートアップ企業の採用面接では、事業の将来性やストックオプションの可能性について前向きな説明を受けることがあります。
成長途上の企業ならではの熱量や、将来のビジョンに惹かれることは自然なことです。
しかし魅力的に聞こえる条件ほど、冷静に内容を確認する姿勢が大切です。
「上場したらこのくらいになる」という想定はあくまで想定であり、保証されたものではありません。
期待と現実の間にギャップが生じないように、提示された条件を一つ一つ確認しましょう。
報酬の不確定要素を見極めるために
ストックオプションは、会社が成長して上場に至れば大きなリターンにつながる可能性のある制度です。
しかしそれは確実な報酬ではなく、あくまで条件が揃った場合に得られる可能性のあるものです。
転職先を選ぶ際はストックオプションの有無だけで判断するのではなく、基本給や賞与を含めた報酬全体の構成を正確に把握することが大切です。
不確定な要素がどの程度含まれているのかを見極めた上で、自分のキャリアにとって最善の選択につなげたいところです。
報酬条件の見方や年収構成の整理について相談したい方は、D&Mキャリアへお気軽にご相談ください。
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