外国人材採用 2026.05.08

外食分野の特定技能1号が「受け入れ一時停止」に|介護業界が今から備えるべきこと

外食分野の特定技能1号が「受け入れ一時停止」に|介護業界が今から備えるべきこと

2026年4月13日から、外食分野で特定技能1号の新規受け入れが一時停止となりました。
受け入れ枠の上限に近づいたためです。

このニュースは、外食業界だけの話ではありません。
介護分野も同様の事態が近い将来に訪れる可能性があり、今から備えておくことが求められます。

本コラムでは外食分野で何が起きたのかを整理した上で、介護業界が今から取り組むべきことについて解説します。

外食分野で何が起きたのか?

まずは今回の受け入れの一時停止について、背景を整理しておきましょう。

受け入れ枠の上限とその背景

特定技能制度では、分野ごとに受け入れ人数の上限が設定されています。
これは特定の分野に外国人材が急激に集中することを防ぎ、国内の雇用環境への影響を抑えることを目的としています。

外食分野では、この上限が5万人とされていました。
2026年4月時点で受け入れ人数がこの枠に近づいたことから、特定技能1号の新規受け入れは原則としてできなくなりました。

採用計画の見直しを迫られる企業も

今回の受け入れの一時停止は、外食業界に大きな影響を与える可能性があります。
特定技能1号として外国人材を受け入れることを前提に採用計画を立てていた企業の中には、今回の一時停止を受けて計画の見直しを検討するところも出てくるでしょう。

人手不足が深刻な業界だけに、採用の見通しが立たなくなることへの懸念の声も聞かれます。

「上限間近」でも人が足りない

受け入れ枠が上限に近づいたということは、外食業界全体で人手が充足したということなのでしょうか。

偏在という課題

上限に近づいたからといって、すべての企業で人手が充足しているわけではありません。
依然として、人手不足に悩む企業も少なくないと言われています。

こうした状況には、人材の「偏在」という課題があります。
条件の良い企業には人材が集中する一方で、そうでない企業には人が集まりにくいという構造があるのです。

偏在が生じる要因

外国人材が就職先を選ぶ際に重視するのは、時給や給与といった賃金面の条件と働く環境です。
これは日本人の求職者と変わりません。

経営が順調な企業は人件費に充てられる余力も生まれやすく、給与や待遇を充実させることができます。
そうした企業には人材が集まりやすくなり、結果として企業間で格差が生じることになります。

介護分野の現状と見通し

それでは、介護分野はどうでしょうか。
現状と今後の見通しについて整理します。

将来的な上限到達の可能性

将来的な上限到達の可能性

介護分野も現在のペースでいけば、将来的に受け入れ枠の上限に達する可能性があると言われています。

その時点で、すべての施設で人手が充足しているとは考えにくいでしょう。

外食分野と同様に人材の偏在が起こり、条件の良い施設には人材が集まる一方で、そうでない施設には人が集まらないという格差が広がる可能性があります。

介護分野特有の構造的課題

介護分野には、外食分野とは異なる構造的な課題があります。
それは介護報酬による公定価格のもとで収益が決まるため、給与を柔軟に上げることが難しいという点です。

外食業界であれば売上を伸ばして人件費に充てるという選択肢がありますが、介護施設の収益は介護報酬に依存しています。
介護報酬は3年に一度の改定で決まるため、自社の努力だけで大幅に収益を上げることは難しいのが実情です。

また介護施設は地域の高齢者を支える役割を担うため、人口が集中する都市部だけではなく郊外や地方にも設置する必要があります。
都市部のように立地で人材を集めやすい環境ばかりではなく、地方の施設は採用面でより厳しい状況に置かれることになります。

外食から介護への流入の可能性

一方で、介護業界にとってポジティブな動きにつながる可能性もあります。
外食分野の受け入れが一時停止となったことで、外食を希望していた外国人材の一部が「介護」を次の選択肢として検討し始めるのではないかという見方もあります。

しかし、これが大きな流れになるかどうかはまだ分かりません。
外食と介護では仕事内容が大きく異なるため、近い業種である飲食料品製造業に流れる可能性もあります。
それでも介護分野への関心が高まる可能性があることは、注視しておきたいところです。

今から備えるべきこと

介護分野でも将来的に上限到達の可能性がある中、外国人材の採用を検討している施設は今から何を準備しておくべきなのでしょうか。

早めの情報収集と準備

大切なのは、早めに動き始めることです。

今回の外食分野の事例が示しているように、受け入れ枠の上限が迫ってから動き出しても取れる選択肢は限られてしまいます。
まだ余裕があるうちに準備を進めておくことで、上限到達が近づいた時にも落ち着いて対応できるようになります。

特定技能制度の動向や介護分野の受け入れ状況については、日頃から情報を収集しておくことをおすすめします。

受け入れ体制の整備

受け入れ体制の整備

外国人材の受け入れ実績がない施設は、今のうちに受け入れ体制を整えておくことをおすすめします。

初めて外国人材を受け入れる場合、最初の一人を迎え入れるまでに時間がかかることがあります。
職員への説明や受け入れ環境の整備など、事前に準備しておくべきことは少なくありません。

上限到達が迫ってから準備を始めるよりも、余裕のある今のうちに体制を整えておく方がスムーズに進められます。

給与以外の訴求ポイントを明確にする

給与を大幅に上げることが難しい介護業界では、給与以外の訴求ポイントを明確にしておくことも求められます。

外国人材が職場を選ぶ際に重視するのは、給与だけではありません。
都市部へのアクセスの良さ、職場の雰囲気、受け入れ実績の有無なども判断材料になります。

給与面での条件を変えることが難しい場合でも、働く環境や施設の魅力を伝える工夫をしておくことが大切です。

動画を活用した施設の魅力発信

D&Mキャリアでは、施設内の様子を撮影した動画を求人と併せて紹介することを提案する場合があります。

文字だけの求人情報では、職場の雰囲気や実際に働いているスタッフの様子は伝わりにくいものです。
動画を活用することで、施設の雰囲気や働く環境を具体的にイメージしてもらうことができます。

実際に動画を活用した求人は、給与面で突出していなくても外国人材から興味を持ってもらいやすくなる傾向があります。

こうした工夫を事前に検討しておくことで、人材獲得の選択肢を広げることにつながります。

専門家への相談

外国人材の採用には、専門的な知識が求められます。
制度の仕組み、手続きの流れ、受け入れ後のサポート体制など、分からないことがあれば早めに専門家に相談しておくと安心です。

「何から始めれば良いか分からない」という段階でも、相談することで必要な準備が見えてくることがあります。

出遅れないための備えを

外食分野における特定技能の受け入れ一時停止は、人手不足に悩む業界に大きな影響を与える可能性があります。
介護分野も同様の事態が訪れる可能性があり、今から備えておくことが大切です。

上限に達した時、人材が集まる施設と集まらない施設の差は今以上に広がることが予想されます。
条件の良いところに人材が集中する構造は、介護分野でも変わりません。

「まだ先の話」と考えず、できることから準備を始めておくことをおすすめします。
情報収集を始めること、受け入れ体制を整えること、訴求ポイントを明確にすること。
こうした一つ一つの積み重ねが、いざという時に差を生むことになります。

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