転職支援 2026.05.08

【転職支援の現場から】自分の年収を正確に言えますか?|曖昧な把握が招くトラブル

【転職支援の現場から】自分の年収を正確に言えますか?|曖昧な把握が招くトラブル

※当コラムは、D&Mキャリアのキャリアコンサルタントが実際の転職支援で経験したエピソードをもとに執筆しています。なお、個人が特定されないよう、事実関係については一部内容を変更しています。

「今の年収はどのくらいですか?」

転職活動を始めると、必ず聞かれるこの質問。
しかし自分の年収を正確に答えられる人は、意外と多くありません。

先日ご相談いただいたA様も、最初の面談で「600万弱くらいです」とおっしゃっていました。

しかし詳しくお聞きしていく中で、実際の年収との間にギャップがあることが分かりました。

本コラムでは年収を正確に把握することの重要性と、転職活動においてどのような影響があるのかを実例をもとに解説します。

A様との出会い

まずは、A様のケースをご紹介します。

A様のプロフィール

A様は、30代後半の営業職の方でした。
現職では中堅企業で営業チームのリーダーを務めており、マネジメントの経験もお持ちでした。

「もう少し規模の大きな会社で、自分の力を試してみたい」という思いから、転職を決意されたとのことでした。

最初の面談での違和感

A様との最初の面談で、現在の年収についてお聞きしました。

「600万弱くらいです」

A様はそう答えました。
私たちはこの「600万弱」という表現に、少し違和感を覚えました。

「600万弱」という言葉は、人によって解釈が異なります。
590万円を指す人もいれば、580万円、あるいは570万円を想定している人もいます。
中には稀ですが、「600万円に達していないことは確か」という大まかな感覚で550万円程度を指しているケースもあります。

年収の内訳を確認する

私たちはA様とじっくりと面談を行い、その中で年収の内訳を詳しく確認していきました。

年収の構成要素

年収は、いくつかの要素で構成されています。

基本給

まず、基本給があります。これは毎月固定で支払われる給与のベース部分です。
「基本給×12ヶ月」が年間の基本部分となります。

賞与

次に、賞与があります。
多くの企業では夏と冬の年2回支給されますが、業績連動型の場合は金額が変動することもあります。

残業代

さらに、残業代があります。
固定残業代として毎月一定額が支払われる場合と、実際の残業時間に応じて支払われる場合があります。

インセンティブや各種手当

そして、インセンティブや各種手当があります。
営業職であれば成果に応じたインセンティブ、その他にも役職手当や資格手当などが含まれることがあります。

A様の年収の実態

A様の年収の実態

A様に詳しくお聞きしていくと、ご自身の年収構成を正確に把握されていないことが分かりました。

「月給と賞与を合わせて、だいたいそのくらいかなと思っていました」
A様はそうおっしゃいましたが、源泉徴収票などで確認したわけではなく、感覚的にそのくらいだろうと捉えていたようでした。

私たちは、源泉徴収票を確認することをおすすめしました。

源泉徴収票には、その年の給与収入の総額が記載されています。

後日A様が確認されたところ、実際の年収は約560万円でした。
「600万弱」という認識との間に、40万円近い差があったのです。

曖昧な年収把握が招く問題

年収を正確に把握していないことは、転職活動においてどのような問題を引き起こすのでしょうか。

希望年収とのギャップ

例えばA様の場合、「年収650万円以上を希望」と伝えていました。
現年収を600万円程度と認識していたため、50万円アップを目指すという計算でした。

しかし実際の年収は560万円だったため、90万円アップを目指していたことになります。
同じ「650万円希望」でも、企業側から見た印象は大きく変わります。

選考過程でのトラブル

選考が進むと、多くの企業で源泉徴収票の提出を求められます。
この時に申告していた年収と実際の年収にギャップがあると、企業側との信頼関係に影響を与える可能性があります。

場合によっては、「面接でお聞きしていた年収と、書類の金額に差があるようですが」といった確認の連絡が入ることもあります。
誠実に説明すれば理解を得られることもありますが、信頼を損なうリスクがあることは認識しておく必要があります。

条件交渉への影響

年収交渉においても、正確な現年収を把握していることは重要です。

企業側は、求職者の現年収をベースにオファー金額を検討する傾向にあります。
現年収を高めに申告していた場合、実際の源泉徴収票を見て「話が違う」となれば交渉自体が難しくなることもあります。

正確な情報を伝えることのメリット

正確な年収を伝えることは、求職者にとっても大きな意味があります。

適切な求人紹介につながる

転職エージェントに正確な情報を伝えることで、より適切な求人を紹介してもらえるようになります。

年収の情報が正確であれば、現在の待遇や希望条件に合った求人を効率的に探すことができます。
結果として、選考や入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

信頼関係の構築

正確な情報を伝えることは、転職エージェントとの信頼関係を築く上でも大切です。

私たちは、求職者にとって最善の転職を実現するためにサポートしています。
そのためには、正確な情報をもとに一緒に戦略を立てることが必要です。

年収の確認方法

それでは、自分の年収を正確に把握するためにはどうすれば良いのでしょうか。

源泉徴収票を確認する

源泉徴収票を確認する

最も確実な方法は、源泉徴収票を確認することです。
源泉徴収票は、毎年12月から1月頃に会社から発行されます。

「支払金額」の欄に記載されている金額が、その年の年収(税引前)となります。

この金額を把握しておくことで、面接でも正確に回答することができます。

給与明細から計算する

源泉徴収票が手元にない場合は、給与明細から計算することもできます。

毎月の総支給額(手取りではなく、税金や社会保険料が引かれる前の金額)を12ヶ月分合計して、そこに賞与を加えます。
ただしこの方法は概算になるため、正確な金額を知りたい場合は源泉徴収票の確認をおすすめします。

年収の構成を整理する

面接では、年収の構成について詳しく聞かれることもあります。
基本給、賞与、残業代、各種手当がそれぞれいくらなのかを整理しておくと、より正確に伝えることができます。

特に残業代やインセンティブの比率が高い場合は、その旨を伝えておくことで企業側も適切に評価できるようになります。

「年収より月収」という考え方

「年収よりも月収を重視したい」という方もいらっしゃいます。
「毎月の手取りがいくらになるのか」を重視して、転職先を選ぶという考え方です。
賞与は業績によって変動する可能性があるため、毎月安定して受け取れる月給を重視するという選択も理解できます。

ただしその場合でも、年収の総額を把握しておくことは大切です。
面接では、年収ベースで質問されることが多いためです。

正確な情報が納得のいく転職につながる

転職活動において、年収は重要な要素の一つです。
だからこそ、曖昧な認識ではなく正確に把握しておくことが大切です。

「600万弱」「だいたい500万くらい」といった曖昧な表現は、後々トラブルの原因になることがあります。
源泉徴収票を確認して、正確な金額を把握しておきましょう。

A様も、最終的には希望に近い条件で内定を獲得されました。
「年収を正確に把握することの大切さを学びました」とおっしゃっていたのが印象的でした。

自分の年収を正確に把握できているか不安な方や、年収の伝え方に迷っている方はD&Mキャリアへお気軽にご相談ください。
年収の整理の仕方から面接での伝え方まで、丁寧にサポートいたします。

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