外国人材の送り出し国はどう変わってきたか?|施設が押さえておきたい変化
介護施設や医療機関で外国人材を受け入れる動きが広がる中、外国人材の主要な送り出し国は時代とともに少しずつ変化してきています。
かつては中国から来日する外国人材が中心でしたが、その後ベトナムが主要な送り出し国となり、現在はインドネシアからの受け入れが広がりつつあります。
こうした変化は円安をはじめとする経済情勢、各国の人口動態、所得水準の変化など、複数の要因が重なって生じているものと考えられます。
これから数年の間に主要な送り出し国がさらに変化していく可能性もあり、介護施設や医療機関にとっては、次に受け入れることになる国の人たちをどう迎えるのかという視点が重要になってきます。
本コラムでは外国人材の送り出し国の変化について、これまでの経緯と今後想定される動きを整理した上で、施設側の受け入れ姿勢で押さえておきたいポイントをお伝えします。
外国人材の送り出し国はどう変わってきたのか
まずはこれまでに送り出し国がどのように移り変わってきたのか、その背景とあわせて解説します。これまでの流れを押さえておくことは、今後の変化を見通す上でも参考となります。
中国からベトナム、そしてインドネシアへ
外国人材の受け入れが広がり始めた当初、介護分野を含む多くの業種で主要な送り出し国となっていたのは中国でした。
その後、中国国内の経済成長とともに賃金水準が上昇して、日本で働くことの経済的なメリットが相対的に小さくなっていきました。
送り出し国としての中国の存在感が少しずつ低下していく一方で、ベトナムが主要な送り出し国としての位置を占めるようになっていきました。
ベトナムからの受け入れが広がった背景には人口構成の若さ、日本文化への親和性、送り出し体制の整備などがあります。
日本語学習に対する熱意のある人が多く、現場での定着にもつながってきた経緯があります。
一方でベトナム国内でも賃金水準の上昇が進み、同じく主要な送り出し国としての位置づけが少しずつ変わりつつある兆しも見えてきています。
さらに近年では、インドネシアからの受け入れが広がりつつあります。
インドネシアは人口規模が大きく、看護や介護の分野で日本での就労を希望する人が多い国の一つです。
受け入れを担う組織や支援機関も国内外で整ってきており、今後も一定期間、主要な送り出し国の一つとして存在感を保っていくと言えるでしょう。
変化の背景にある経済・社会情勢
送り出し国が変化していく背景には、いくつかの共通した要因があります。
一つは、送り出し国側の経済成長です。
国内の賃金水準が上がっていくと、海外に働きに出る動機が相対的に小さくなっていきます。
中国やベトナムの一部地域でも、こうした変化が起きてきました。
もう一つは、日本側の受け入れ環境の変化です。
制度の整備が進み、受け入れ実績のある国との関係が深まるにつれて、特定の国からの受け入れが増えていく傾向があります。
こうした「送り出し国側の変化」と「受け入れ国側の積み重ね」の両方が重なり合って、主要な送り出し国は数年単位で変わってきています。
現在進む「次の主要国」を模索する動き
ここからは直近の業界内で起きている動きについて、外国人材採用の現場で見られる傾向を整理していきます。
円安が与えている影響

近年の円安は、外国人材の受け入れを取り巻く環境にも影響を与えています。
日本で働いて得られる収入を母国の通貨に換算した時の金額が、以前と比べて小さくなってきているためです。
ただし、円安によって「日本離れ」が一斉に起きているというわけではありません。
日本の労働環境や制度の安定性、教育や医療の質といった要素は依然として一定の魅力を保っていると考えられます。
一方で経済的なメリットが縮小してきていることから、業界内では次の候補国を模索する動きも進んできています。
業界内で候補となっている国々
次の送り出し国として検討されている国の一つに、カンボジアがあります。
これまで日本との人材交流の実績が比較的少なかった国ですが、介護分野を中心に受け入れを検討する施設が少しずつ増えてきています。
また南アジアに目を向けると、バングラデシュといった国も候補として挙げられるようになってきました。
いずれの国も若い世代の人口が多く、海外での就労に意欲を持つ人たちの存在が業界内で注目を集めつつあります。
今後、どの国が主要な送り出し国となっていくのかは、現時点では見通しにくい段階にあります。
しかし次の局面が訪れた時に備えて、施設側も新しい国からの人材を迎える準備を進めていくことが求められてきています。
施設側の判断軸にある「もう一つの変化」
送り出し国の変化は、施設側の判断軸にも変化をもたらしています。
新たな送り出し国への経営層の受け止め方

介護分野において、これまで日本との人材交流の実績が少ない国からの受け入れを検討する際に、経営層が慎重な姿勢を示すケースもあります。
背景にあるのは、これまでに受け入れた経験が少ないことからくる判断のつきにくさや、利用者やそのご家族の受け止め方への配慮です。
経営層としては、利用者やご家族が初めて接する国の人たちに対して、どのような受け止め方をするのかが見通しにくく、慎重にならざるを得ないという事情があります。
こうした慎重さは、判断を預かる立場からすれば当然であり、一方的に是非を論じられるものではありません。
現場の利用者との認識の差
一方で興味深いのが、実際にサービスを受けている利用者の多くは、職員の出身国に対して経営層が懸念しているほどの意識を向けていないという声が、現場から聞かれていることです。
丁寧な対応や誠実な姿勢など、日々の関わりの中で生まれる信頼関係のほうが、利用者にとっての評価軸となっている場面が多く見られます。
決裁者としての慎重さと現場での実際の受け止め方との間には、少なからず差が生じている場合もあります。
この差を認識しておくことは、新しい送り出し国からの人材を迎える判断をする上で、一つの重要な視点となってきます。
採用の判断にあたっては、実際に受け入れた現場の反応にも目を向けることが重要ではないでしょうか。
変化を前提にした受け入れ体制の整え方
外国人材の主要な送り出し国はこれまでも数年単位で変化してきており、これからも変化していく可能性があります。
どの国の人材を迎えるのかを一度決定すれば、同じ国から長期にわたって人材を迎え続けられるという前提は変わりつつあります。
受け入れ実績のある国からの採用を続けると同時に、新しい送り出し国の人たちを迎える準備を少しずつ進めておく。
その積み重ねが将来、主要な送り出し国が変化していく局面で、採用の選択肢を保つことにつながっていきます。
出身国の多様化に対する柔軟さを施設として備えておくことは、長期的な人材戦略の面でも大きな意味を持ってきます。
外国人材の送り出し国の変化や、今後新しい国からの人材を迎えるにあたっての体制づくりでお悩みの施設はD&Mキャリアへお気軽にご相談ください。
施設の現在の受け入れ体制や採用のご意向を丁寧に伺いながら、送り出し国の変化に対応していくための採用の設計についてご提案いたします。
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