複数名の外国人材を受け入れる施設が知っておきたいこと|「国籍」ではなく「個人」を見る視点
外国人材を雇用している施設では、一人だけではなく複数名を受け入れているケースが多く見られます。
最初は一人からスタートしても、受け入れが軌道に乗るにつれて二人目、三人目と人数を増やしていく施設は少なくありません。
そして人数が増えていく中で、施設側には新しい検討事項が生まれます。
その一つが、「同じ国籍の人を採用した方が良いのか」「異なる国籍の人を組み合わせた方が良いのか」という国籍の構成に関する判断です。
「同郷の人同士なら自然に仲良くなってくれるだろう」という期待から国籍を揃える選択をする施設もあれば、特定の国の送り出し状況の変化に体制が左右されないように国籍を分散させる施設もあります。
本コラムでは複数名の外国人材を受け入れる施設が直面しやすい課題と、国籍の構成に関する考え方について整理します。
「同じ国籍だから相性が良い」は思い込みかもしれない
複数名の外国人材を受け入れる際に、まず見直しておきたい前提について確認します。
同郷同士だからこそ生じる摩擦
同じ国籍の外国人材を複数名採用すれば、外国人材同士が母語でコミュニケーションを取り合って自然と良好な関係を築いてくれるだろう。
そう考えて、国籍を揃える選択をする施設は少なくありません。
確かに外国人材同士に言語の壁がない分、意思疎通のしやすさというメリットはあります。
しかし同じ国籍だからこそ、性格の違いや価値観の違いが表面化しやすいという側面もあります。
日本人職員同士でも、同じ日本人だからといって全員仲が良いわけではありません。
外国人材の場合も同じで、同じ国籍だからといって相性が良いとは限りません。
時には同郷同士の方が、細かな価値観の違いが気になって関係が円滑に築けないことがあります。
「同じ国から来た」という共通点だけを頼りに関係が築かれるわけではなく、日本人職員同士と同じように個人の性格や価値観が関係の質を決めているのです。
「国籍」ではなく「個人」で捉える
複数名の外国人材を受け入れる際に大切なのは、「〇〇国出身だからこういう傾向がある」というくくり方を避けることです。
国民性や文化的な背景を理解しておくことは外国人材を受け入れる上で有効ですが、その情報を目の前の個人にそのまま当てはめてしまうと、その人の本当の姿を見失うことになりかねません。
D&Mキャリアが外国人材の紹介を行う中でも、同じ国籍の方であっても性格や仕事への向き合い方は一人一人まったく異なるという場面に多く出会います。
例えば積極的に周囲へ声をかけて場を和ませるタイプの人もいれば、口数は少なくとも指示された業務を着実にこなすことに強みを持つタイプの人もいます。
これは日本人職員と変わらない、当たり前のことなのです。
複数名を受け入れる施設のマネジメント側に求められるのは、国籍でひとくくりにするのではなく、一人一人の個性を見て関わっていくという姿勢だと言えるでしょう。
国籍を揃えることのメリットとデメリット

国籍の構成の判断において、施設が押さえておきたいメリット・デメリットを整理します。
同じ国籍で揃えるメリット
同じ国籍の外国人材を複数名採用することには、いくつかの実務的なメリットがあります。
一つは、母語でのコミュニケーションが可能になることによる安心感です。
入職して間もない外国人材にとって、日本語でのやり取りだけでは伝えきれないことを母語で相談できる同僚がいることは大きな支えになります。
生活面でも母国の食文化を共有できたり、休日を一緒に過ごせる相手がいることは日本での生活の心細さを和らげてくれます。
特に来日して数ヶ月の間は、こうした同郷の存在が定着の後押しになることもあるでしょう。
施設側にとっても翻訳や通訳のサポートを一人分に集約できたり、宗教や文化への配慮を共通化できるといった運用面の効率化が図れます。
国籍を揃えることで生じる課題
一方で、国籍を揃えることには注意しておきたい側面もあります。
最も現実的な課題として挙げられるのが、行事や祝日の時期に休暇の希望が集中するという問題です。
例えばベトナム出身の職員を複数名採用している場合、旧正月の時期に全員がまとまった休暇を希望するといった状況が発生することがあります。
現場の運営を考えると、同じ時期に複数名が不在になることは業務上の負担が大きく、事前の調整が欠かせません。
宗教行事に関する配慮も同様です。
特定の宗教を信仰する外国人材が複数名いる場合、断食月の勤務時間の調整や礼拝時間の確保など、施設として一定の対応が求められます。
こうした配慮は本来必要なものですが、同じ国籍・同じ宗教の職員が集中することで運営上の調整が難しくなるケースもあるのです。
また業務上のリスクとして、特定の国籍に依存した体制になることで、将来的にその国から人材を確保しにくくなった場合の影響が大きくなるという点も、考慮しておきたい要素です。
外国人材の送り出し国は、経済状況や為替の影響により数年単位で変化していく傾向があります。
現時点で採用しやすい国籍だけに依存する体制を築くと、将来的な人員計画に影響が出る可能性もあるのです。
施設として何を基準に判断するべきか

国籍の構成の判断は、施設によって最適解が異なります。何を基準に考えれば良いのかを整理します。
施設の規模と業務体制に応じた考え方
外国人材の国籍の構成をどう組み立てるのかは、施設の規模や業務体制によって最適な答えが変わります。
小規模な施設で外国人材の受け入れ人数が少ない場合には、国籍を揃えることで生活面の支援がしやすくなるという利点が大きく働きます。
一方である程度の規模があって外国人材の受け入れ人数が二桁に及ぶ施設では、国籍を分散させることで行事時期の休暇の集中や送り出し国の変化に対するリスク分散が図れます。
段階的に人数を増やしていく過程で、途中から異なる国籍を組み合わせていくという選択肢もあります。
どちらが正解ということではなく、施設の状況に応じて判断していくことが求められます。
採用時から「個人」を見る姿勢を持つ
国籍の構成をどう組み立てるにしても、根本にあるべきなのは「個人を見る」という姿勢です。
採用の段階から国籍というフィルターだけで判断するのではなく、その人の人柄・仕事への向き合い方や施設の文化との相性を見ていくことが長期的な定着につながります。
日本人職員の採用でも、出身地だけで人柄や仕事への向き合い方を判断することはないはずです。
外国人材に対しても同じように、目の前の一人一人と向き合う姿勢が求められます。
「複数名だからうまくいく」ではなく「関わり方でうまくいく」
複数名の外国人材を受け入れることには、業務の安定化や外国人材同士の支え合いといった多くのメリットがあります。
しかしその効果を最大限に引き出せるかどうかは、施設側が国籍というくくりに頼らず、一人一人の個性を見た上でマネジメントできるかにかかっています。
同じ国籍で揃えることの利点も異なる国籍を組み合わせることの利点も、どちらも状況次第で有効です。
大切なのは施設として「なぜこの構成にするのか」を自覚した上で判断して、個人としての職員一人一人と向き合うという姿勢を持ち続けることではないでしょうか。
外国人材の複数名の受け入れや国籍の構成に関してお悩みのことがありましたら、D&Mキャリアへお気軽にご相談ください。
施設の規模や状況に応じて、受け入れ体制の設計を一緒に検討いたします。
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