外国人材採用 2026.07.29

外国人材の受け入れ2~3年目の壁|同期との比較から生じる不満への対応

外国人材の受け入れ2~3年目の壁|同期との比較から生じる不満への対応

外国人材の受け入れが無事に進み、1年目を乗り越えた施設にとって、次に意識しておきたいのが2~3年目に生じやすい課題です。

受け入れ直後の時期は生活面のサポートや業務への適応など、施設側も手厚くフォローする体制を整えていることが多いでしょう。
しかし業務に慣れてきた頃に、別の種類の問題が表面化してくることがあります。

その一つが、同時期に入職した外国人材同士での比較から生じる不満です。
「あの人はリーダー的な業務を任されているのに、なぜ自分は任されないのか」「あの人の方が業務の幅が広い」といった声が上がることは、珍しいことではありません。

本コラムでは2~3年目に起きやすい不満の実態と、施設側としてどのように対応するべきなのかについて整理します。

同時期に入職したからこそ生まれる比較

外国人材を複数名同時に受け入れた場合、2~3年目にかけて特有の課題が見えてくることがあります。

比較の対象は日本人職員ではなく同期の外国人材

受け入れ後に生じる不満と聞くと、日本人職員との待遇の差や関係性の問題を想像される人もいるかもしれません。
しかし実際には、比較の対象となるのは日本人職員との間ではなく、同時期に入職した外国人材同士の間で生じることが多いようです。

同じ時期に来日して同じ施設で働き始めたにもかかわらず、同期の外国人材はリーダー的な役割を任されるようになり、自分にはまだそうした機会が与えられていない。同期は新しい業務領域にも携わっているのに、自分はまだ同じ業務の繰り返しである。
こうした差が目に見える形で表れてくるのが、受け入れから2~3年が経過した頃です。

スタートが同じだったからこそ「なぜ自分だけ違うのか」という疑問が生まれやすく、それが不満につながっていく傾向があります。

業務の差が給与の差に直結しやすい

こうした比較が単なる感情的な不満にとどまらない理由の一つに、業務範囲の違いが収入の差に直結するという事情があります。

例えばリーダー的な業務を任されている人には手当が付いたり、その役割に応じた評価を受けて昇給に差が出ることがあります。

外国人材にとって収入は生活の基盤であるだけではなく、母国への仕送りにも関わる重要な要素です。

そのため、業務範囲の差がそのまま給与の差として現れると、不公平感が強まりやすくなります。

施設側の対応で最も重要なこと

こうした不満が生じた時に、施設側としてどのような対応を取るべきなのでしょうか。

対応の基本は「説明を尽くすこと」

対応の基本は「説明を尽くすこと」

結論から言えば、対応の基本は「説明を尽くすこと」です。

リーダー的な業務を任されていない人や業務範囲が広がっていない人には、なぜ現時点ではそうした役割を担えていないのかという理由があるはずです。
例えば日本語でのコミュニケーション力がリーダー業務に求められる水準に達していない、緊急時の判断力や他の職員への指示出しにまだ課題があるなど、施設側には評価の根拠があるケースがほとんどでしょう。

大切なのは、その理由を本人へ明確に伝えることです。
「何が足りていないのか」「どのような力が身に付けばリーダー業務を任せられるのか」を具体的に説明することで、本人にとっては改善の目標が見えるようになります。
漠然と「もう少し頑張りましょう」という声かけだけでは、何をどう改善すれば良いのかが伝わりません。

施設側としては、日常的に指導や説明を行っている場合も多いかもしれませんが、それが本人にきちんと届いているかどうかを確認することが重要です。

日本語の婉曲的な伝え方が壁になることも

施設側が「伝えているつもり」でも、実際には本人に十分に伝わっていないケースがあります。
その背景にあるのが、日本語特有の婉曲的な表現です。

日本人同士のコミュニケーションでは、「もう少しここを意識してみてくださいね」「この部分がもう少しできるようになると良いですね」といった言い方が一般的です。
こうした表現は配慮のある伝え方ではありますが、外国人材にとっては何を指摘されているのかが明確に伝わらないことがあります。

施設側としては何度も説明しているにもかかわらず、改善が見られないという状況の場合、そもそも指摘の内容自体が正確に伝わっていないという可能性を考えてみることも必要です。

日本人職員であれば、「何度言っても改善されない」という場合は本人の姿勢の問題であることが多いかもしれませんが、外国人材の場合は「伝わっていて改善されないのか」「そもそも伝わっていなかったのか」という二つの可能性があります。
この違いを意識しておくことが、適切な対応につながります。

登録支援機関の活用と業務範囲の理解

説明が伝わりにくい場面で有効なのが、登録支援機関の活用です。
ただしその役割と業務範囲については、正しく理解しておく必要があります。

母国語を交えた補足説明の有効性

母国語を交えた補足説明の有効性

登録支援機関は外国人材との定期的なフォローを行う中で、本人の声を拾い上げる立場にあります。

実際にD&Mキャリアが支援を行う中でも、定期フォローの面談の中で外国人材本人から「なぜ自分は同期と同じ業務を任せてもらえないのか」という声が上がったケースがあります。
施設側に確認したところ、日本語での報告・連絡の正確さや他の職員との連携の場面でまだ課題があるという明確な理由がありました。
施設側としては「説明はしている」という認識だったのですが、本人にはその意図が十分に届いていなかったのです。

このケースでは、D&Mキャリアが本人との面談の中で母国語も交えながら「現時点で何が課題になっているのか」「どのような力が身につけば次のステップに進めるのか」を具体的に説明しました。
施設側が伝えたかったことが本人に正確に届いたことで、不満の声は収まりました。

登録支援機関の対応範囲について

登録支援機関の役割はあくまで通訳・翻訳としての支援であり、業務上の指示や指導そのものを行う立場にはありません。
施設側が伝えたいことが本人に届いていない場合に、言語面から補足するというのが登録支援機関の対応範囲です。

施設側としては、まず自ら説明を尽くした上で、それでも言葉の壁が障壁になっていると感じた場合に、登録支援機関に相談するという流れが適切だと言えるでしょう。

説明が届くことで変わること

施設側の評価基準と自分の現状が正確に理解できれば、「何を改善すれば次のステップに進めるのか」が見える状態になります。
目標が明確になることで不公平感は和らぎ、前向きに取り組めるようになるケースが多いと感じています。

もちろん説明が伝わった上で業務面の改善にどこまでつながるかは、ケースによって異なります。
しかし少なくとも「伝わっていなかっただけ」という状態を解消することは、改善に向けた第一歩になるはずです。

「伝わっていなかっただけ」という可能性を見落とさない

外国人材の受け入れ2~3年目に生じやすい不満の多くは、業務の習熟度や対応力といった施設側の評価に明確な根拠があり、その理由を本人に正確に伝えることで改善に向かう可能性があります。

言葉の壁がある中で「何度も説明しているのに変わらない」と感じた時に、伝え方そのものを見直してみること。
そして必要に応じて登録支援機関に相談して、言語面からの補足を行うこと。
こうした対応が、外国人材との信頼関係を維持しながら長期的な就労を支えていくことにつながるのではないでしょうか。

外国人材の受け入れにおける不満や課題への対応について相談したい方は、D&Mキャリアへお気軽にお問い合わせください。
定期フォローを通じた外国人材との面談や施設側との情報共有など、状況に合わせた支援をご提案いたします。

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