外国人材の受け入れは「比率」で決まらない|現場のキーパーソンが果たす役割
外国人材の受け入れを進める中で、施設側から「外国人材と日本人職員の人数比率はどのくらいが適切なのか」という質問をいただくことがあります。
外国人材の人数が増えていくにつれて、「日本人職員との比率が半々になったら現場が回らなくなるのではないか」という不安を感じる施設もあります。
しかし私たちD&Mキャリアが外国人材の紹介を行う中で実感しているのは、受け入れがうまくいくかどうかを左右するのは人数比率そのものではなく、現場に「キーパーソン」と呼べる日本人職員が存在しているかどうかだという点です。
本コラムでは外国人材と日本人職員の比率に対する考え方と、受け入れの成否を分けるキーパーソンの存在について解説します。
「比率」への不安はどこから来るのか
外国人材の受け入れを検討する施設が、人数比率を気にする背景を整理します。
「半々になったら問題が起きるのでは」という先入観
外国人材の受け入れを始めた施設が二人目、三人目と人数を増やしていく中で、日本人職員との比率が気になり始めるタイミングがあります。
「外国人材が増えすぎると職場の雰囲気が変わるのではないか」「日本人職員の負担が大きくなるのではないか」という声は、外国人材の受け入れを始めて間もない施設ほど聞かれる傾向があります。
こうした不安は、外国人材との協働に慣れていない段階では自然な感情だと言えるでしょう。
ただしこの不安は、実際に比率が高まったことで問題が起きた経験に基づくものとは限りません。
「何となく不安だ」という漠然とした懸念が、先行しているケースが多いのが実態です。
人数比率という数字に意識が向きやすい一方で、実際の受け入れ現場の状況を知る機会が少ないことが、こうした不安を長引かせる要因の一つになっていると感じます。
制度上の上限と実際の運用
特定技能の在留資格には、受け入れ人数に関する制度上の規定があります。
介護分野においては、事業所の日本人等の常勤介護職員の総数を超えてはならないとされており、これが一つの上限となっています。
ただしこの上限まで受け入れている施設は多くはなく、実際には施設の規模や業務体制に応じて段階的に人数を増やしていくのが一般的です。
受け入れ当初は2~5名程度からスタートして、日本人職員との連携や業務の習熟度を確認しながら段階的に10~20名へと人数を増やしていく施設が多い傾向にあります。
一方で外国人材が安定的に活躍できている状況であっても、できるだけ日本人からの応募を待ちたいという方針を持つ施設もあり、受け入れ人数の考え方は施設によって異なります。
制度上の比率を意識することは必要ですが、それ以上に現場が円滑に機能しているかどうかに目を向けることの方が、実務的には大切だと言えるでしょう。
大切なのは現場の「人的な要因」

人数比率そのものではなく、現場の人的な要因に焦点を当てて考えてみます。
キーパーソンとはどのような存在か
外国人材の受け入れがうまくいっている施設には、共通して「キーパーソン」と呼べる日本人職員がいます。
キーパーソンとは外国人材と日常的にコミュニケーションを取り、業務上の疑問に答えたり生活面の相談に乗りながら、良好な関係を築いている人のことです。
この役割は制度的に定められたものではなく、管理職の場合もあれば現場の先輩職員の場合もあります。
施設側が意図的に配置する場合もありますが、自然にその役割を担うようになる人が出てくることもあります。
キーパーソンの存在によって外国人材が職場に馴染みやすくなるだけではなく、日本人職員との橋渡し役にもなるため、職場全体の雰囲気が安定しやすくなるという効果があります。
外国人材が増えても安定している施設の特徴
D&Mキャリアが関わった事例の中にも、外国人材と日本人職員の比率が半々に近い状態で良好に運営されている施設があります。
こうした施設に共通しているのは、キーパーソンとなる日本人職員が外国人材一人ひとりとの関係を丁寧に築いているという点です。
反対に比率としては外国人材が少数であっても、外国人材と良好な関係を築ける日本人職員がいない場合には、早期離職やコミュニケーション上の問題が生じることがあります。
つまり受け入れの安定度を決めるのは比率だけではなく、現場の人間関係やコミュニケーションのあり方であり、適切な人材がいるかどうかが鍵になるのです。
国籍の違いが問題の原因になることはほとんどなく、個人同士の相性や関わり方が職場の雰囲気を決めるという点では、日本人職員同士の関係と本質的には変わりません。
キーパーソンが果たす具体的な役割

キーパーソンが現場でどのような役割を担っているのかを具体的に確認します。
業務面でのサポート
外国人材が日本の介護現場で働く際には、業務手順だけではなく施設独自のルールや記録の書き方など、細かな点で戸惑うことがあります。
マニュアルだけでは伝わりにくい暗黙のルールや、判断基準を日常的に共有できる存在がいると、外国人材の業務習熟はスムーズに進みます。
キーパーソンがいる施設ではこうした場面で、「分からないことがあったらあの人に聞けば良い」という安心感が生まれます。
質問しやすい環境があること自体が、外国人材にとっての大きな支えになっているのです。
心理面での安心感と孤立防止
業務面のサポートに加えて、心理的な安心感を与える役割もキーパーソンの大きな機能です。
日本語でのコミュニケーションに不安を抱えていたり、文化的な違いに戸惑っている外国人材にとって、気軽に話ができる日本人職員の存在は精神的な支えになります。
外国人材の孤立は短期離職につながる要因の一つとして見られることがありますが、キーパーソンが日頃から声をかけたり相談に乗ることで、孤立を未然に防ぐ効果が期待できます。
反対に誰にも相談できない状態が続くと、小さな不満や不安が積み重なって離職につながる可能性が高まるのです。
次の受け入れをスムーズにするために
キーパーソンの存在は、現在の外国人材との関係だけではなく次の受け入れにも影響を及ぼします。
一人目の外国人材との間で良好な関係を築いた経験を持つ日本人職員がいれば、二人目以降の受け入れに対する心理的なハードルは下がります。
「前回うまくいった」という成功体験が施設全体に共有されることで、外国人材の受け入れが特別なことではなく、日常の延長として捉えられるようになっていきます。
現場の成功体験は、経営層の意識にも影響を与えます。
現場が安定して運営されている実績があれば、経営層も追加の受け入れに前向きな判断をしやすくなるでしょう。
施設として外国人材の受け入れを継続的に進めていくのであれば、最初の受け入れの段階でキーパーソンとなり得る人材を見極めておくことが有効です。
その人を軸にして受け入れ体制を構築することが、長期的な安定運用の基盤になります。
受け入れの成功は「現場の人」にかかっている
外国人材と日本人職員の人数比率は、受け入れを進める上での参考指標の一つにはなります。
しかし比率だけを見て「これ以上は難しい」と判断してしまうと、本来受け入れ可能な人材を逃してしまうことにもなりかねません。
大切なのは現場にキーパーソンとなれる日本人職員がいるかどうかを把握して、その人を中心に受け入れ体制を整えていくという視点です。
比率の数字ばかりを気にするよりも、現場の人間関係を支える体制づくりを進める方が、結果として安定した運営につながるのではないでしょうか。
外国人材の受け入れ体制や人員計画についてお悩みのことがありましたら、D&Mキャリアへお気軽にご相談ください。
施設の規模や現場の状況に応じて、受け入れの進め方をご一緒に検討いたします。
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