【医療事務】2023年の総括・2024年の展望
2023年は、医療事務職にとって変革と安定の間で揺れ動く一年でした。新型コロナウイルス感染症による影響から徐々に回復する医療業界では、医療事務職の役割も少しずつ変化を遂げつつあります。
本コラムでは2023年の重要な動向を振り返りながら、2024年に向けた医療事務分野の展望を深掘りしていきます。
2023年の総括
2023年、医療事務の分野ではいくつかの特筆すべき動きが見られました。
コロナウイルスが5類になったことによる変化
2023年5月、コロナウイルスが感染症法上の5類に変更されたものの、これが医療事務職の日常業務や雇用市場に大きな直接的影響を与えたわけではありませんでした。
この分類変更により社会的な制約の緩和が見られ、医療機関の運営にもある程度の正常化が見られました。これによって医療事務職においては日常業務が以前のような状態に戻り、かつ受診者の来院数が通常の水準に戻ることで業務量の増加に繋がりました。
緊急事態宣言が出ていた2020年からの変化
2020年の緊急事態宣言以降、テレワークの導入やオンラインでの受診者対応など、新しい働き方への適応も医療事務分野に新たな動きをもたらしました。
医療業界における人員流出がピークに達し、離職者の割合が入職者を上回るなど大きな影響を与えました。特に家族の反対により医療業界を離れる動きがありましたが、その後は徐々にこの傾向が減少しています。
なかでも医療事務は柔軟な働き方が可能な職種であり、結婚などで一度離れた人材も経験を買われて復職するケースが見られ、医療事務職の雇い入れ状況は2023年にかけて徐々に安定してきています。
求められていた人材とは
2023年における医療事務の採用市場では、経験豊富な医療事務員の高いニーズが続いていました。業界での実務経験を持つ人材は高く評価され、多くの医療機関が経験者を優先的に採用しようとする傾向が見られました。
これは即戦力となり得る人材への需要が依然として強いことを示しています。
またコロナ禍でも医療事務員の需要は減少せず、結婚や出産などで一度キャリアから離れた人々も、経験を活かして職場復帰をするケースが見られました。これは医療事務職がキャリア再開するのに比較的容易な職種であることを示しています。
経済的な影響
2023年の医療事務の分野への経済的な影響は、賃金の動向や円安の影響といった面で特に大きな変化は見られませんでした。
しかし一部の医療機関では事務職員の給与改善に向けた動きが見られ、業界全体の給与水準に対する意識の変化が垣間見えました。
2024年の展望
医療事務の分野では2023年、経験豊かな人材への需要が続いている一方で、給与や労働条件に関して大きな変動は見られませんでした。これからも医療事務分野では経験とスキルが重視される傾向が続くと予想されます。
それでは、2024年はどのような展望があるのでしょうか。
訪問診療のサービスが増えている
2024年において、医療の分野では特に訪問診療のサービスの増加が予想されます。このサービスは通院が困難な受診者にとって必要なサービスで、医師や看護師が自宅を定期的に訪れ、診療、治療、薬の処方などを行います。このようなサービスの拡大に伴い、訪問診療に関する経験や知識を持つ医療事務員の需要が高まる可能性があります。
訪問診療では、計画的なスケジューリングや受診者の病歴管理が重要となります。そのため受診者やそのご家族との連携、治療計画の策定、緊急時の対応など従来の外来業務とは異なる能力が求められます。
訪問診療の医療事務こそ「モチベーション」が大切
訪問診療の増加とともに、医療事務職のモチベーションを明確にすることが重要です。診療所(クリニック・医院)での勤務とは異なり、受診者との直接的な接触が少ない環境で働くことになるため、自分の業務に対するモチベーションを明確に理解しておくことが必要になります。
医療事務の転職で気をつけるべきこと
業界全体として医療事務の人材は依然として求められており、特に経験者への需要は高い状態が続くと予想されます。また訪問診療サービスの増加に伴い、それに特化した医療事務への需要が高まることも考えられます。
それでは、転職の際はどのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
医療機関は求人情報をあまり詳細に書かない
医療機関では、求人情報が詳細に書かれていない傾向があります。これは医療業界の特性で、職務の詳細、職場文化、日常の業務の流れなどが明記されていないことが一般的です。
そのため医療業界への転職の場合は、転職エージェントのサービスを利用することが有効です。転職エージェントは職場の内部情報や業界のトレンドを把握しており、求職者のニーズに合った医療機関を紹介することができます。
転職エージェント選びは慎重に
医療事務職への転職を考える際、転職エージェントのサービスを利用することは有効な手段ですが、選び方には注意が必要です。
すべての転職エージェントが同じ質のサービスを提供しているわけではないため、どの転職エージェントを利用するかは慎重に選ぶべきです。優れた転職エージェントは求職者の要望に応じて適切な情報を提供し、求める条件を満たす医療機関を紹介します。
また、転職エージェントを通じた転職活動が自分にとって最適かどうかを判断することも大切です。
知りたい情報を明確にして面談に臨む
医療事務職の転職活動において、面談の準備は特に重要です。
あらかじめ気をつけておくべきことは、医療機関における面談では求職者が知りたい情報を得ることが難しい場合があるということです。なぜなら医療機関側が労働者としての視点を持ち合わせていないことがあるからです。
職場環境、給与、勤務時間、キャリアアップの機会など、応募する医療機関については事前にリサーチして面談で明確な質問を用意することが重要です。
加えて医療機関の中でも訪問診療に特化した診療所や病院での勤務に興味がある場合は、受診者との距離感が一般的な医療事務職と異なる場合があるので、その点についても問い合わせることが望ましいです。
面談の際には自分がどんな情報を得たいのか、そしてその情報をどのように活用するかを理解しておくことで、入職後のミスマッチを防ぐことができます。
今見ているのは求人サイト?人材会社?
医療事務職の転職市場において、求人サイトと人材会社の違いを理解することも重要です。求人サイトは情報を提供するだけであり、具体的な転職サポートは提供されません。
一方、人材会社は個別のサポートやアドバイスを提供し、転職活動をサポートします。したがって自分がどのようなサポートを必要としているかを理解し、適切な選択をすることが求められます。
医療事務の職種は依然としてニーズが高く、とりわけ経験者に対する需要は続いています。しかし転職市場においては、求人情報の不足や人材紹介会社の選び方などに注意が必要です。
これらの要素を適切に把握し転職活動に臨むことで、成功の確率を高めることができます。
納得のいく転職をするために
D&Mキャリアでは医療機関の内部事情や業界動向に精通したキャリアアドバイザーが、求職者に合わせた適切なアドバイスを提供しています。医療事務職に特有の雇用環境への理解やキャリアの構築において、その専門知識が大きな力となります。
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