医療事務「レセプト返戻」とは?再請求のやり方・理由を一覧で紹介
医療事務の主要業務の一つであるレセプト請求に誤り・不備があると、「レセプト返戻」と呼ばれる対応が取られる場合があります。
レセプト返戻は、診療報酬の支払いが遅延する原因となるため、医療事務にとって非常に重要な問題です。
レセプト返戻の概要、レセプト返戻と似た「レセプト査定」との違い、再請求の手順、およびレセプト返戻の主な理由について詳しく解説します。
これにより、レセプト返戻を防ぐための対策や、返戻が発生した場合の対応方法を理解し、業務を円滑に進めるための手助けとなるでしょう。
レセプト返戻とは
レセプト返戻とは、医療事務が作成した診療報酬明細書が審査側によって不適切だと判断され、差し戻されることを指します。
保険請求上の適合性を確認した結果、不適切な内容であったり、それが疑わしかったりする場合に、レセプト返戻が行われます。
レセプト返戻で指摘された項目を直して再請求することはできますが、やりとりに日数を要し、診療報酬の支払い遅延の原因となります。
そのため、レセプト作成後は内容の確認を慎重に行うことが重要です。
レセプト返戻とレセプト査定との違い
レセプト返戻
- 定義: レセプトの内容が不適切として差し戻しをされること。
- 対応: 指摘された項目を修正して再請求が可能。
- 影響: やりとりに時間がかかり、診療報酬の支払い遅延が起きる可能性がある。
レセプト査定
- 定義: レセプトの内容が審査側に適当でないと判断されること。
- 対応: レセプトの返却はなく、再請求も不可。
- 影響: 報酬の請求が認められなかったり、減額されたりする。異議がある場合は審査支払機関に再審査の申し立てが可能。
レセプト返戻のやり方・再請求までの流れ
レセプト返戻をされた場合、再請求ができます。
再請求までの流れを見てみましょう。
- 初回請求と審査
- 払戻通知
- 確認・修正
- 再請求
- 再審査
- 診療報酬の支払い
1.初回請求と審査
当月中に請求したレセプトは、翌月中に保険者および審査支払機関によって審査されます。
2.返戻通知
請求内容に不備があると判断された場合、翌々月の初旬頃にレセプトが返戻されることになります。
返戻されたレセプトには、不備がある箇所が具体的に指摘されています。
3.確認・修正
指摘された箇所を確認し、必要な修正を行います。
4.再請求
修正後、初回の請求から翌々月10日までに審査支払機関へ再請求します。
再請求の際には、すべての修正箇所を再確認し、誤りがないように慎重に対応することが重要です。
5.再審査
再請求されたレセプトは、その月の末日までに保険者および審査支払機関が再審査を行います。
6.診療報酬の支払い
再審査で問題がなければ、再請求を行った月の翌々月に診療報酬が支払われます。
再請求が遅れると支払いも遅れるため、速やかに対応することが重要です。
レセプト返戻のよくある理由一覧
レセプト返戻は、主に以下のような理由で行われます。
事務手続きの間違い
レセプト返戻の主な理由の一つは事務手続きの間違いです。
これには、記号や番号の誤り、保険証情報の記載ミスなどが含まれます。
同じ受診者でも保険証の情報が変わることがあるため、毎月の保険証確認が不可欠です。
また、受診者が扶養に入っている場合でも被保険者名欄に受診者本人の名前を記入してしまうミスも多発します。
こうしたミスを防ぐためには、記載内容の正確さを保つために、レセプト作成時の確認作業を徹底することが重要です。
チェックリストを使用して、記号や番号、記載の不備がないかを確認し、保険証の情報を最新のものと照合することで、事務手続きの間違いによる返戻を防ぐことができます。
保険法上の違反がある
保険法上の違反もレセプト返戻の原因となります。
医科と柔道整復師の施術による保険治療を同時に受けることは認められていないため、部位や負傷が同一の請求があると医科の請求が優先され、柔道整復師の請求は返戻されるのです。
例えば、通院履歴がない場合でも、投薬期間が重なっていると受診者は医師の管理下にあると判断されるため、柔道整復術の請求が返戻されることがあります。
このため、柔道整復師の施術を行う施設では、受診者が医療機関で診療や投薬を受けていないかを確認する必要があります。
こうした確認を怠ると、保険法に抵触し、レセプト返戻が発生するリスクが高まります。
医療機関との連携を密にし、受診者の治療状況を適切に把握することが重要です。
レセプト返戻を防ぐための3つの対策
レセプト返戻が発生すると、内容の確認や修正、再請求などの追加業務が必要になります。
返戻を減らすためには、担当者個人の注意だけに頼らず、スタッフの教育や業務手順の見直しなど、組織的な対策が求められます。
ここでは、レセプト返戻を防ぐための3つの対策を紹介します。
スタッフ教育・研修を行う
レセプト返戻を防ぐには、診療報酬の算定ルールや保険制度について、スタッフが正しい知識を身につける必要があります。
診療報酬は定期的に改定され、算定要件が変更される場合もあります。
そのため、制度の変更点を確認し、スタッフ間で共有することがレセプト払戻の防止につながるのです。
定期的な研修や勉強会を実施し、最新の算定ルールや過去の返戻事例を学ぶ機会を設けることで、請求業務に必要な知識を深められます。
また、新人スタッフには基本的な請求ルールに加え、間違いやすい項目や確認手順を具体的に伝えることで、経験や知識の差によるミスを防ぎやすくなるでしょう。
返戻の原因を分析し、再発防止策を講じる
レセプト返戻を減らすには、過去に発生した返戻の原因を分析し、同じミスを繰り返さないための対策を講じることが欠かせません。
返戻されたレセプトを原因ごとに分類・記録することで、返戻が集中している項目や、繰り返し発生しているミスを特定できます。
例えば、保険資格情報の誤りによる返戻が繰り返されている場合は、受付時の資格確認方法や、登録情報の更新手順を見直すことが対策につながります。
分析結果をスタッフ間で共有し、業務手順や確認項目の改善に反映することで、同様の返戻が発生するリスクを減らせるでしょう。
ダブルチェックの体制を整える
レセプト請求時の入力ミスや確認漏れを防ぐには、複数のスタッフによるチェック体制を整えることも効果的です。
担当者による確認に加え、別のスタッフが請求内容を点検することで、作成者自身では気づきにくい誤りを発見しやすくなります。
特に、患者情報や保険資格情報、傷病名と診療内容の整合性など、返戻につながる可能性のある項目を重点的に確認することが重要です。
また、確認する項目や担当者を明確にしておくことで、スタッフによる確認内容のばらつきを抑えられます。
ただし、すべてのレセプトを複数人で確認するには、相応の時間や人員が必要です。
レセプトチェックシステムの活用や、重点的に確認する項目の設定など、業務負担とのバランスを考慮した体制づくりが求められます。
おわりに
レセプト返戻について説明しました。
レセプト請求は医療機関の収益に直結するため非常に重要な仕事ですが、レセプト返戻や査定が行われると報酬の支払いが遅れたり、最悪の場合は受けられなくなったりします。
そのため、医療事務は返戻や査定が発生しないよう、慎重に対応する必要があります。
病院側の対策に加えて、医療事務担当者自身もレセプト業務のスキルを向上させることが重要です。
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