医療事務 2023.06.13

医療事務におけるカルテ管理の重要性

医療事務の業務の中でも、特に注意が必要なのが「カルテの管理」です。カルテは、受診者の健康情報や治療歴などが記載された文書で、これを適切に管理することは、医療機関としての信頼、そして受診者のプライバシーの保護に直結します。

今回は、こうしたカルテ管理の重要性について解説します。

カルテとは?

カルテ管理の重要性についてお話しする前に、まずは「カルテとはどんなものなのか」について説明していきます。

受診者の「健康管理ノート」のようなもの

カルテとは、受診者の健康に関わる様々な情報を記録した文書のことで、受診者の「健康管理ノート」のようなものと考えると、わかりやすいかもしれません。受診者が病院やクリニックを訪れるたびに、その時の状態や医師の診断、処方されたお薬、行われた治療などが記載され、更新されていきます。

治療を行う際の大切な手がかり

そしてカルテは、受診者の健康管理や、治療の実施のために重要なものとなります。なぜなら、過去の診療内容、持病、アレルギーの情報などが一目でわかるようになっており、医師が治療を行う際の大切な手がかりとなるからです。

個人情報なので慎重かつ適切な管理が求められる

カルテには受診者の個人情報が記されていますので、外部に漏れることがないように、管理しなければいけません。受診者からの信頼を損なわないためにも、慎重かつ適切な管理が求められます。

カルテ管理の重要性

こうしたカルテの基本的な理解に加えて、ここからはカルテ管理の重要性についてより深く考えていきましょう。

受診者の待ち時間の短縮に繋がる

カルテが整然と保管されていると、医師は速やかに診察が開始できるので、受診者の待ち時間の短縮に繋がります。ですが、乱雑に保管されていると、取り出すのに時間がかかり、診察の開始が遅れてしまう場合があります。

診療の効率化がはかれるようになる

さらにカルテがすぐに取り出せるように保管されていると、医療チーム内での情報共有や連携がスムーズになり、またカルテを探すのに余計な時間を費やす必要がなくなり、診療の効率化が図れるようになります。

受診者との信頼関係を築く上で不可欠

そしてカルテには受診者の個人情報が記載されているため、これを厳重に管理し、漏洩や不正使用を防ぐことは、受診者との信頼関係を築く上で不可欠です。もし個人情報が漏れてしまうと、受診者のプライバシーが侵害される恐れがあり、医療機関の評価や運営そのものに影響します。

カルテ管理の具体的な内容

カルテ管理の具体的な内容

それでは次に、カルテ管理の具体的な内容について解説していきます。

カルテ管理の主な業務として、「カルテの作成」「情報の更新」「カルテの整理」「カルテの保管」「デジタル化」「廃棄」などが挙げられます。

カルテの作成

新しい受診者が来た場合、その人のために新しいカルテを作成します。住所、氏名、電話番号などの個人情報や、初診時の健康情報などが記入されます。

情報の更新

受診者が診察を受けるたびに、カルテに診断結果や治療内容、処方箋などの情報を追記して更新します。これにより、カルテに常に最新の情報が反映されているようにします。

カルテの整理

カルテは一般的に、受診者の名前やID番号などで分類され、整理されます。こうすることで、必要なカルテをすぐに見つけることができるようになります。

カルテの保管

カルテには受診者の個人情報が含まれているため、漏洩がないように安全に保管しなければいけません。多くの場合、施錠できるキャビネットや専用の保管室で管理されます。

デジタル化

現代では、カルテをデジタル化するケースが増えています。紙のカルテをスキャンして電子データとして保存するか、最初から電子カルテシステムを利用して管理されます。

デジタルとして管理することで、カルテの検索や共有が容易になり、管理の安全性も高まります。

廃棄

カルテには一定の保存期間があり、これを過ぎたものは適切な手順で破棄されます。この際、外部に漏れないように、注意して破棄する必要があります。

電子カルテの導入

電子カルテの導入

電子カルテは、従来の紙ベースのカルテをデジタル形式にしたもので、医療情報を効率的に管理するためのシステムです。現在、多くの医療機関で電子カルテの導入が進んでいます。

最後に、電子カルテのメリットとデメリットについて解説します。

電子カルテのメリット・デメリット

電子カルテのメリット

  • アクセスしやすい
    電子カルテはコンピュータやタブレットから簡単にアクセスできるため、情報をすばやく取得し、診断や治療に活用することができます。
  • 情報を共有しやすい
    紙のカルテと比べて、電子カルテは受診者の情報が共有しやすいと言えます。効率良く情報共有することで、チーム全体での治療方針の統一がはかれるようになります。
  • 管理の省スペース化
    紙のカルテを保管するのには物理的なスペースが必要で、受診者の人数が増えれば増えるほど、場所を取ることになります。広いスペースが確保できない小規模なクリニックでは、カルテの保管場所に頭を悩ませることもあるでしょう。
    一方、電子カルテはコンピュータのストレージに保存されるため、場所を取らず、保管場所に悩まされるようなことはありません。
  • エラーの削減
    手書きのカルテの場合、誤字脱字や不明瞭な筆跡で情報が誤解される恐れがありますが、電子カルテではそのようなヒューマンエラーを大幅に削減することが可能です。
  • 環境に優しい
    紙の使用を減らすことで、環境保護に繋がります。

電子カルテのデメリット

こうしたメリットがある一方で、電子カルテにはデメリットもあります。

  • システム障害
    コンピュータシステムには障害が発生する可能性があります。システムダウン時には、カルテにアクセスできなくなることもあります。
  • セキュリティリスク
    情報漏洩のリスクがあり、受診者のプライバシーを保護するために、高度なセキュリティ対策が必要です。
  • コスト
    システムの導入や維持には、相応のコストが必要になります。

まとめ

今回の記事を通じて、医療機関の業務の中でも、特にカルテ管理が重要なものであることがご理解いただけたのではないでしょうか?

適切にカルテを管理することは、受診者の個人情報を守り、医療機関としての信頼性を高めることに繋がります。そして、カルテをスムーズに活用できる環境を整えて、医療サービスの質を高めることが可能になります。

こうした責任のある医療事務の仕事に興味があり、就職・転職をお考えでしたら、お気軽にD&Mキャリアへご相談ください。医療事務として活躍する未来に向けて、私たちがサポートいたします。

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