歩行介助の種類と介護職が注意すべきポイントを紹介

年齢を重ねることで人の身体機能は衰えていき、場合によっては誰かからのサポートを受ける必要がでてきます。
「歩行介助」もその一つであり、下肢の筋肉は運動機能の面で最も衰えが早いことから、早い段階で必要になることもあります。

本記事では、歩行介助の種類や介護職として注意すべきポイントについてご紹介します。

歩行介助の種類

転倒リスクのある利用者が歩行する際に、介助を行うことで安全に移動できるようにサポートすることが「歩行介助」の目的です。
介助を必要としている利用者の状態によって、歩行介助の方法も異なります。

歩行介助の種類についてそれぞれ見ていきましょう。

見守り歩行介助

見守り歩行介助は、利用者が自力で歩行を行えるが不安定な場合や、杖などを使用することで歩行が可能な場合に行う介助を指します。
歩行介助の中でも初期段階で取り入れられるのが見守り歩行介助です。

利用者の斜め後ろから見守るように介助を行い、バランスを崩しそうになった際にいつでも支えられるようにしておくことが大切です。
また、麻痺症状が見られる側や補助器具の反対側など、利用者の状態に合わせて立ち位置も工夫することで転倒リスクを抑えることができます。

寄り添い歩行介助

寄り添い歩行介助は、利用者の利き手と反対側に立ち、歩行を共にする介助のことを指します。

例えば利用者が右利きの場合、介助者は利用者の左側に立ち、右手を利用者の右脇に入れ、お互いの左手を握り合うようにすることで安定させます。
また、寄り添い介助も利用者に麻痺症状などが見られる場合は、麻痺している側に立つようにします。

介護職員も利用者も同じように前方を向いて歩くことができるため、段差などを視認しやすいことから、長い距離を歩く際にも適していると言えるでしょう。

手引き歩行介助

手引き歩行介助は、利用者と向かい合うように両手を取り、手を引きながら歩いていく介助を指します。
介護職員が後ろ向きで歩行するため、進行方向の様子をしっかりと見ることができず、バランスを崩してしまう可能性もあることから長距離の移動には適していません。

しかし、利用者の状況をよく見ることができ、また肘からしっかりと支えることで安定するといった特徴もあります。
施設内の移動時や車椅子への移行時など、短い距離で用いられる歩行介助の方法です。

補助器具を使用した歩行介助

歩行介助で使用する補助器具には、「歩行器」や「タイヤ付き歩行器」、「アーム付き歩行器」「シルバーカー」などがあります。

このような補助器具を使用する際には、上半身を支えるようにすることが大切です。
また、補助器具ごとの特徴に応じて介助することで、転倒リスクをより抑えることができるでしょう。

階段昇降時の歩行介助

階段の昇降時は転倒した場合に大きなけがにつながる可能性が高いため、細心の注意を払う必要があります。
バランスを崩しても支えることができるように、昇る際には利用者の斜め後ろに立つようにし、降りる際には斜め前に立つようにしましょう。

歩行介助における注意点

歩行介助を行う上で気を付けるべき注意点について見ていきましょう。

障害物の有無

歩行時に転倒しないように、リスクとなる障害物の有無には気を付けましょう。
電気設備のコードや絨毯など、ちょっとした段差でも転倒につながる恐れがあるため、事前に片づけておいたり、障害物があることを声掛けで利用者にも伝えるようにしましょう。

靴のサイズや服装

靴のサイズや服装が原因で転倒する可能性もあります。
スリッパなどのかかとがないものは脱げたり、滑ったりすることがあるので、利用者の足に合ったサイズや滑りにくいタイプの靴を選ぶことが大切です。

また、服装もズボンの裾が余っていると裾を踏んだり、引っかかってしまって転倒することがあるため、裾の長さやウエストのサイズに問題がないか注意しましょう。

おわりに

歩行介助の種類や介護職として注意すべきポイントについてご紹介しました。

• 見守り歩行介助
• 寄り添い歩行介助
• 手引き歩行介助
• 補助器具を使用した歩行介助
• 階段昇降時の歩行介助

歩行介助の種類には上記のようなものがあり、歩行介助を必要とする利用者の状態などによって使い分けられますので、それぞれの特徴を覚えておくことが大切です。