【外国人労働者の内訳に変化】ネパール人の増加と介護での活躍

近年日本社会では少子高齢化の進展に伴う労働力の不足を背景に、外国人労働者が様々な業界で活躍する場面が増えています。
そうした中で、日本で働く外国人労働者の国籍別の内訳に大きな変化が見られています。
従来は中国、韓国、ブラジル、ベトナムなどが上位を占めていましたが、近年ではネパールからの労働者が急増しています。
介護業界では人材の確保が喫緊の課題となる中、ネパール人材への注目度が高まっており、その文化的背景や仕事への姿勢が、日本の介護現場と相性が良いという評価も広がっています。
こうした労働市場の変化は一時的な現象ではなく構造的な変化の表れであり、今後の日本社会において外国人労働者との共生がますます重要なテーマとなるでしょう。
本コラムでは増加傾向が著しいネパール人労働者の現状と、介護業界における受け入れの実態について解説します。
労働市場の変化と外国人労働者の増加
日本の労働市場では慢性的な人手不足が続く中で、様々な業種において外国人労働者の活躍が目立つようになっています。
特にコンビニエンスストアや飲食店などのサービス業では、外国人材が勤務しているのが日常的な光景となりました。
この傾向は介護や医療の業界にも広がっており、現場の貴重な労働力となっています。
少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が進む日本において、外国人労働者は単なる補助的な役割を超えて、産業を支える重要な担い手となりつつあります。
特に介護業界では高齢者の人口の増加による需要拡大と慢性的な人手不足の狭間で外国人材への期待が年々高まっており、多くの施設で外国人労働者の受け入れ体制の整備が進められています。
外国人労働者の国籍にも変化が
厚生労働省の発表によると、令和6年10月末時点の外国人労働者数は2,302,587人で過去最高を記録しました。
前年より253,912人増加して(対前年増加率12.4%)、外国人を雇用する事業所数も過去最高を更新しています。
国籍別でみると最も多いのはベトナム(570,708人)で全体の24.8%を占めており、次いで中国(408,805人)フィリピン(245,565人)となっています。
こうした状況の中、近年ネパールからの労働者が急増しています。
ネパール人材が注目される理由

ネパールは南アジアに位置し、多様な民族・文化・宗教が共存する国です。
経済的な背景から、多くの国民が海外での就労機会を求めて渡航しています。
特に日本においては近年、介護や製造業などの分野でネパール人材の採用が増加傾向にあります。
多様な文化への適応性
多民族国家であるため、多様な文化や価値観に対して寛容な姿勢を持っているとされています。
年長者を敬う文化
ネパールには年長者を敬い尊重する文化があり、この価値観は日本の職場環境との親和性が高いとされています。
特に高齢者を大切にする姿勢は、介護分野での適性につながっています。
学習意欲の高さ
ネパール人材は、新しい知識や技術の習得に対する意欲が高い傾向にあります。
多くのネパール人が日本での就労経験を自己成長の機会と捉えて、日本語能力の向上や資格取得に積極的に取り組んでいます。
日本の職場で高まる存在感
現在、外国人労働者は介護・医療現場をはじめとする様々な業界で活躍しています。
介護の分野では、技能実習生として来日した人が特定技能へと移行して、継続勤務を経て現場リーダーや管理職へと昇進したケースもあります。
就労意欲が高く、利用者や受診者に対する丁寧な対応を心がける姿勢が評価されて、職場環境の向上や業務効率化にも貢献しているケースが増えています。
介護業界における外国人労働者の受け入れ
超高齢社会に突入している日本において、介護業界の人材不足は深刻な課題となっています。
この状況を背景に、2019年4月に新たな在留資格「特定技能」が創設され、外国人労働者の受け入れが進んでいます。
特定技能の在留資格は介護をはじめとする複数の分野で認められており、介護業界での受け入れも積極的に進められています。
また近年では制度の改正も進んでおり、介護分野においても2025年4月1日から訪問介護への就業が認められるなど外国人材活用の拡充が進んでいます。
「安価な労働力」ではない
外国人労働者は、「安価な労働力」ではありません。
「外国人労働者=低コストな人材」という認識は現場ではあまり見られず、同一労働同一賃金の原則に基づいた公正な雇用が主流となっています。
定着率の高さや誠実な勤務姿勢が評価されており、長期的な人材育成の観点からも、多くの施設が外国人労働者を積極的に採用しています。
受け入れ側の課題と心構え

外国人労働者を受け入れる際には様々な課題がありますが、適切な対応と心構えによって多様性のある職場づくりが可能となります。
組織として外国人材と円滑に協働するために、以下のポイントに注意することが重要です。
コミュニケーション
外国人労働者と働く際に、言語の壁が課題となる場合があります。
特に専門用語や複雑な日本語表現は理解が難しい場合があります。
ゆっくりと簡潔な日本語で話すようにするだけではなく、視覚的な補助教材やイラスト付きのマニュアルの活用が効果的です。
日本語の学習をサポートすることで、日々のコミュニケーションだけではなく資格の取得や業務の質の向上にもつながり外国人材のキャリアの発展を支援できます。
宗教や文化への配慮
ネパール人の多くはヒンドゥー教徒であり宗教的習慣への配慮が必要な場合があります。
特に食事に関する制限や祈りの時間などについて理解を示すことが、良好な関係構築につながります。
こうした文化的背景への理解を深めることで、外国人労働者の定着率の向上につながります。
丁寧なオリエンテーションと育成体制
外国人労働者が日本の職場に円滑に適応できるように、入職時の丁寧なオリエンテーションが重要です。
業務内容の説明だけではなく、職場のルールや日本独自の仕事の進め方などについても具体的に伝えることが必要です。
日本人のスタッフへの教育と意識改革
外国人労働者の受け入れを成功させるには、日本人スタッフの理解と協力が不可欠です。
そのため、異文化への理解や多様性を尊重する意識を高めるための研修や、勉強会を実施することが効果的です。
日本人スタッフと外国人材がお互いに学び合い、成長できる環境づくりが、組織全体の活性化につながります。
外国人労働者の受け入れの未来
労働力の不足が続く日本においては、今後も外国人労働者の受け入れが拡大していくことが予想されます。
特に介護分野においては、外国人材なくして人材不足の解消は難しいという認識が広がっています。
単に労働力として見るのではなく、お互いの文化や価値観を尊重するパートナーとして共に働く関係の構築が求められるでしょう。
多様な背景を持つスタッフが活躍できる環境づくりが、今後の日本社会の課題と言えます。
D&Mキャリアではこうした業界の最新の動向を常に把握して、求職者や求人者へ提供しています。
転職をお考えの方も人材確保に課題を抱える企業の方も、外国人労働者との協働について知見を深めることがこれからの時代には重要です。
変化する労働市場において、皆様のキャリアの形成や組織づくりをサポートします。
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