転職支援 2025.12.24

2025年、人材業界で何が起きたのか|外国人材と日本人採用の現場から見えた課題

2025年、人材業界で何が起きたのか|外国人材と日本人採用の現場から見えた課題

2025年は医療・福祉分野の人材業界にとって、大きな変化があった1年でした。

4月には訪問介護の分野で外国人材の就労が解禁されて、転職市場は活況を呈しています。
一方で、こうした変化の中で新たに見えてきた課題もあります。

私たちD&Mキャリアは、外国人材の紹介と日本人ハイクラス人材の転職支援の両方を手がけています。
その立場から見えてきた2025年の人材業界の現状と、2026年に向けた展望をお伝えします。

訪問介護解禁がもたらした期待と現実

2025年4月、介護分野で大きな制度の変更がありました。
特定技能外国人の訪問介護への従事が解禁されたのです。

解禁後も進まない外国人材の参入

訪問介護分野は、深刻な人手不足に直面しています。
訪問介護への従事が解禁されたことにより外国人材の参入が期待されましたが、実際にはあまり進んでいないのが現状です。

私たちが把握している範囲では、2025年8月時点で訪問介護分野での在留資格認定についてはまだ事例が少ない状況でした。
ビザの審査に時間がかかっていることに加えて、訪問介護を希望する外国人材がまだ多くないことも背景にあると考えられます。

就労要件と待遇面の課題

訪問介護で働くためには、1年以上の介護実務経験と介護職員初任者研修の資格取得が必要です。
日本語能力試験N2(※)以上であれば一部免除がありますが、それでも経験者でなければ従事することはできません。

ここで問題となるのが待遇面です。
訪問介護は施設介護と比較して、給与水準が低い傾向にあります。

経験を積んで資格も取得した外国人材の立場から見ると、給与面でより条件の良い施設介護を選ぶのは自然な流れかもしれません。
訪問介護は利用者の居宅にて一人で介護を行うため、高い技術力とコミュニケーション能力が求められる仕事です。
業界全体として、訪問介護の待遇改善が進むことで人材確保につながる可能性があります。

※N2は「日常的な場面で使われる日本語の理解に加えて、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できる」レベル

受け入れ体制の課題

訪問介護事業者の多くは、小規模な事業所です。
外国人材を受け入れるための労務管理体制や、教育リソースが整っていないケースも少なくありません。

特定技能外国人の受け入れには、在留資格の管理や生活支援などの様々な義務が伴います。
書類の手続きの不備でトラブルになるケースもあり、代表者のバックオフィス業務に対するリテラシーが問われます。
大規模な施設介護事業者であれば対応できることでも、小規模な訪問介護事業者には負担が大きいのが実情です。

外国人材を取り巻く社会的な空気の変化

外国人材を取り巻く社会的な空気の変化

2025年は、外国人材に対する社会的な視線にも変化があった1年でした。

一部の報道が生み出す偏見

外国人に関する一部の報道が、外国人材全体に対する不安感につながることがあります。

ただ実際には、正規のビザを取得して真面目に働いている外国人材が大多数です。
医療・福祉の現場では外国人材が重要な戦力となっている施設も多く、彼らの存在なしには運営が難しいというケースも増えています。

現場で働くことで変わる認識

私たちが外国人材をご紹介した施設では、外国人排斥のような空気は感じられません。
実際に一緒に働いている外国人スタッフの人柄を知っていれば、報道に流されることは少ないからです。

ただし外国人材を採用したことがない施設では、「近所の目があるから外国人は雇えない」という考えを持つ人もいます。
このような施設は、社会的な空気によってさらに閉鎖的になる可能性があります。

私たちの経験では、実際に一緒に働くことで相互理解が深まるケースが多いと感じています。
外国人材の採用を検討している施設には、まず1名から受け入れてみることも一つの選択肢としてご提案しています。

転職が身近になったことの功罪

日本人の転職市場にも、大きな変化がありました。
転職のハードルが下がり、以前より気軽に転職活動ができるようになっています。

面接準備についての傾向

転職市場が活況になる中で、一つの傾向が見られます。
応募する企業について詳しく調べないまま、面接に臨むケースが増えているように感じられます。

転職サイトやスカウトサービスの普及により、多くの求人に手軽にエントリーできる時代になりました。
選択肢が広がることは良いことですが、エントリーの手軽さから「まずは応募してみよう」という流れが生まれやすくなっている面もあります。

企業研究が十分でないまま面接に臨むと、せっかくのスキルや経験があっても「この会社で働きたい」という思いが伝わりにくくなることがあります。

転職エージェント側にも課題がある

この傾向は、求職者だけの問題ではないかもしれません。
転職支援の現場では、面接の数をこなすことが優先されて一社一社への準備が手薄になってしまうこともあるようです。

転職エージェントの「まずは面接を受けてみましょう」というアドバイスが、時として十分な準備の機会を奪ってしまうこともあります。
企業側としても経歴が魅力的な人材に対して、「もう少し当社のことを調べてから来てほしかった」と感じても面接の場では伝えにくいものです。

結果としてスキルや経験は申し分ないのに、「この会社で働きたい」という熱意が伝わらず不採用になるケースが見られます。

転職は「手軽」であるべきか

転職は「手軽」であるべきか

転職が身近になったこと自体は、選択肢が広がるという意味で良い面もあります。

しかし転職は働く環境や人間関係、キャリアの方向性が大きく変わる決断です。
「なぜ転職したいのか」「転職先で何を実現したいのか」を明確にしておくことで、入職後のミスマッチを防ぐことができます。

また、一つの職場においてある程度の期間働くことで、身につくスキルや経験もあります。
「転職のタイミングは本当に今なのか」ということも含めて、自分のキャリアについて深く考える時間を持つことが大切ではないでしょうか。

2026年に向けて求められる視点

2025年の変化を踏まえて、2026年の人材採用に必要な視点を整理します。

外国人材の受け入れは「点」ではなく「線」で考える

外国人材の採用は、入職がゴールではありません。
入職後の定着支援、キャリアアップの機会、長期的な在留資格の取得まで見据えた「線」としての支援が必要です。

訪問介護の解禁に見られるように、制度が整っても現場がついてこなければ人材は集まりません。
待遇の改善と受け入れ体制の整備を同時に進めることが、外国人材の確保につながります。

求人・求職活動は「質」を重視する時代へ

転職市場が活況であるほど、採用する側には見極めの力が求められます。
書類上のスキルや経験だけではなく、その人が本当に自社で活躍できるのかを判断する必要があります。

求職者側も「なぜこの会社で働きたいのか」を明確にした上で、十分な準備をして面接に臨むことが大切です。
準備不足のまま多くの企業にエントリーするよりも、本当に行きたい会社に絞って全力を注ぐ方が結果的に良い転職につながります。

変化の時代における転職エージェントの役割

2025年は、人材業界にとって変化の大きな1年でした。
外国人材の活用においても日本人の転職市場においても、新たな課題が浮き彫りになっています。

D&Mキャリアは外国人材の紹介から定着支援まで、また日本人のハイクラス転職支援において表面的なマッチングではなく本質的なニーズに応える支援を行っています。

外国人材の採用を検討している施設の方、転職を考えている求職者の方、採用に課題を感じている企業の方は、ぜひ一度ご相談ください。
2026年のキャリアや採用について、一緒に考えさせていただきます。

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