【転職支援の現場から】入社半年で「辞めたい」|短期離職とキャリアへの影響
※当コラムは、D&Mキャリアのキャリアコンサルタントが実際の転職支援で経験したエピソードをもとに執筆しています。なお、個人が特定されないよう、事実関係については一部内容を変更しています
「入社して半年ほどなのですが、転職するべきかどうか悩んでいます」
先日、私たちのもとに相談に来られたA様は、そうおっしゃいました。
A様は医療業界で拠点長として着任したものの、組織に対して強い違和感を覚えているとのことでした。
入社してまだ半年という短い期間で転職を考えることに、A様自身も迷いがあるようでした。
「このタイミングで辞めてしまうと、キャリアに傷がつくのではないか」という不安も抱えていらっしゃいました。
本コラムではA様の事例を通じて、入社半年で転職を考える際に知っておいていただきたいことをお伝えします。
拠点長として着任したA様
A様は50代の男性で、医療業界でマネージャークラスの経験を積んできた方でした。
昨年の末に転職をして、ある医療法人の拠点長として着任されました。
法人本部は九州にあり、A様が勤務しているのは関東の拠点です。
本部から離れた場所で、拠点の責任者として組織を運営する立場にありました。
A様が感じていた違和感
A様は着任してから、組織に対していくつかの違和感を覚えていました。
まず、就業規則や賃金規定が整備されていませんでした。
新しいスタッフを採用する際にも、給与を決める基準がありません。
雇用契約の締結が、就業開始後に大幅に遅れるケースもあったそうです。
またセキュリティ面でも問題がありました。
本来であれば役職や職位によって閲覧できる情報を制限するべきですが、そうした設定がなされていませんでした。
外部メディアも自由に使える状態で、情報管理の体制が整っていなかったのです。
A様がシステムの改善を提案しても、「コストがかかることは今はしなくていい」と却下されてしまいます。
さらにA様が着任してから、メンバーが5人ほど退職していました。
退職の理由はそれぞれ異なるようですが、給与設定の曖昧さに不満を持っていた方もいたようです。
A様ご自身も、面接の段階で「現職の給与を下回らないように設定する」と口頭で約束されていました。
しかし実際に入社してみると、約束された金額を下回っていたのです。
転職を急がない方が良い理由
A様から状況をお聞きして、私たちは率直にお話をさせていただきました。
「確かにA様がおっしゃる通り、組織に問題があるように思われます。ただ私からは、転職を強く勧めることはいたしません」
A様は少し意外そうな表情をされました。
「A様は拠点長という立場で着任されています。組織のおかしいところに気づいたのであれば、それを改善するのもA様の役割と言えるかもしれません」
私たちがA様にお伝えしたかったのは、短期離職がキャリアに与える影響についてでした。
面接で指摘される可能性

入社して半年で転職を考える場合、次の面接では必ず「なぜこんなに短い期間で辞めたのか」と問われます。
A様のケースでは、組織の問題点を理由に退職を説明することになるでしょう。
就業規則が整備されていない、給与の約束が守られなかった、セキュリティに問題がある。
これらは確かに組織の問題ではあります。
しかし面接官によっては、こう指摘される可能性があります。
「そういった問題に気づいたのであれば、それを改善するのがあなたの役割ではないのですか」
特にA様のように拠点長やマネージャーといった管理職クラスの方は、組織を改善することも期待される立場にあります。
問題に気づいていながら、何も改善せずに辞めてしまったと受け取られるリスクがあるのです。
「課題と向き合わなかった」という印象を与えないために
管理職として着任した方が短期間で退職する場合、「この人は組織の課題に向き合わなかったのではないか」という印象を持たれることがあります。
組織の問題点を挙げて退職理由を説明しても、「それを解決するのがあなたの仕事では」と指摘される可能性があります。
もちろん、すべての問題が解決できるわけではありません。
トップの判断で却下されることもありますし、組織の体質が簡単に変わらないこともあります。
しかし面接の場では、「できる限りのことはやった」と言えるかどうかが重要になります。
今の立場でできることに取り組む
私たちはA様に、今の立場でやるべきことについてお話をしました。
「A様がおっしゃっている問題点は、確かに深刻なものだと思います。ただ今すぐ転職を決めるのではなく、まずは今の立場でできることに取り組んでみてはいかがでしょうか」
A様は、就業規則や賃金規定の問題に気づいています。
セキュリティの問題にも気づいています。
それらを改善するための提案を、組織に対して行うことはできるはずです。
もちろん、すぐに受け入れられるとは限りません。「コストがかかる」と却下されることもあるでしょう。
しかし提案を続けることで、少しずつ組織が変わっていく可能性もあります。
仮に組織が変わらなかったとしても、「自分はできる限りのことをやった」と言える状態を作ることができます。
変わらなければその時に決める
「それでも組織が変わらないのであれば、その時に転職を決めても遅くはありません」
私たちはA様に、そうお伝えしました。
今すぐ転職を決断する必要はありません。
まずは、今の立場で本来すべきことに取り組んでみる。
それでも状況が変わらなければ、その時に転職を考えればいいのです。
そうすれば次の面接でも、「自分なりに改善を試みたが、組織の方針として受け入れられなかった」と説明できます。
組織に配慮しながら改善を進める

A様との面談の中で、改善を進める際の注意点についてもお話をしました。
組織の問題点を指摘することは大切ですが、伝え方やタイミングを誤るとかえって状況が難しくなることもあります。
だからこそA様には、慎重に進めていただきたいとお伝えしました。
改善を提案しつつも、組織の反応を見ながら進めていく必要があります。
一度に多くのことを変えようとするのではなく、優先順位をつけて少しずつ取り組んでいくことが大切です。
現職でもう少し様子を見る
面談の後、A様はもう少し現職で状況を見ることにされました。
「今すぐ転職を決めるのではなく、まずは自分にできることをやってみます。それでも変わらなければ、その時にまた相談させてください」
A様はそうおっしゃって、面談を終えられました。
現在A様は転職活動をせずに、現職での改善に取り組んでいらっしゃいます。
A様にとって良い結果につながることを願っています。
入社後すぐに転職を考えている方へ
入社して間もない時期に「辞めたい」と感じることは、珍しいことではありません。
組織に対する違和感や、入社前に聞いていた話との違いに戸惑うこともあるでしょう。
しかし短期離職は、次の転職活動に影響を与える可能性があります。
面接で「なぜ短期間で退職したのか」を問われる場合がありますので、納得感のある説明ができるかどうかが重要になります。
今すぐ転職を決断するのではなく、まずは今の立場でできることに取り組んでみる。それでも状況が変わらなければ、その時に転職を考える。
こうした選択肢も、検討してみてください。
D&Mキャリアでは、転職するべきかどうか迷っている方のご相談もお受けしています。
今の状況を整理したい、客観的な意見を聞きたいという方はぜひ一度ご相談ください。
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