【転職支援の現場から】職種名という壁を越えて|管理部次長が施設長として新たなキャリアを拓いた実例
※当コラムは、D&Mキャリアのキャリアコンサルタントが実際の転職支援で経験したエピソードをもとに執筆しています。なお、個人が特定されないよう、事実関係については一部内容を変更しています
「管理部次長という肩書きで20年やってきたので、次も管理部門でキャリアアップしたい」
長年同じ職種で経験を積んできた方ほど、転職先でも同じ職種名のポジションを探す傾向があります。
それは専門性を活かすという観点から見れば、合理的な判断と言えるでしょう。
しかし先日、私たちD&Mキャリアにご相談いただいた50代の男性A様は、この「職種名」にこだわっていたために、本来活躍できるはずの選択肢を見逃していました。
大手医療法人で管理部次長を務めるA様は、同じ「管理部」という名前がつく求人ばかりを探していたのです。
ところが業務内容を詳しく分析してみると、介護施設の施設長職でもA様のスキルが十分に活かせることがわかりました。
本コラムでは職種名という枠に囚われず視野を広げることで、好条件での転職を実現した事例をお伝えします。
管理部次長として積み上げた20年のキャリア
私たちがお会いしたA様は、大手医療法人で管理部次長として20年以上のキャリアを持つベテランでした。
転職活動における強いこだわり
A様は転職活動を始めてから半年以上が経過していましたが、なかなか良い結果が得られずに悩んでいらっしゃいました。
「これまでずっと管理部門でやってきましたから、次も管理部の仕事を探しています」とA様はおっしゃいました。
大手転職サイトで「管理部」「管理部門」「管理職」といったキーワードで検索して、該当する求人に応募を続けていたそうです。
しかし書類選考を通過することが少なく、面接に進んでも「経験が少し違う」という理由で不採用が続いていました。
見えていなかった可能性
私たちは、じっくりと面談を行いA様の業務経験を詳しく伺いました。
「具体的にはどのような業務を担当されていたのですか」という質問に、A様は次のように答えてくださいました。
「予算管理、人事労務、総務全般、行政対応、それに理事会の運営補助などです。法人全体の管理業務を幅広く担当していました」
この時点で、私たちはA様の業務内容が介護施設の施設長が担う業務と、多くの部分で共通していることに気づきました。
職種名にこだわることで見逃していた選択肢
A様は「管理部」という職種名にこだわるあまり、重要な選択肢を見逃していました。
施設長という選択肢への戸惑い

「A様、介護施設の施設長職というポジションをご検討になったことはありますか」
私たちの質問に、A様は驚いた表情を見せました。
「施設長ですか。考えたこともありませんでした。私は現場の介護経験がありませんし、施設運営の経験もないので無理だと思います」
しかし、これは大きな誤解でした。
介護施設の施設長に求められる能力は、必ずしも介護の実務経験ではありません。
業務内容の本質的な共通点
私たちはA様に、施設長の実際の業務内容を説明しました。
「施設長の主な仕事は予算管理、職員の労務管理、行政への対応、運営会議の主催などです。これらは、A様が管理部次長として担当されていた業務とほぼ同じではありませんか」
A様の表情が変わりました。
「確かに、言われてみればその通りです。しかし私は介護の資格も持っていません」
私たちはこう説明しました。
「介護施設では、介護の実務は介護職員が担当します。施設長に求められるのは、組織全体をマネジメントする能力です。A様の経験は十分に活かせます」
発想の転換がもたらした新たな道
視点を変えることで、A様の転職活動は大きく前進しました。
施設長職への挑戦
私たちは、大阪府内で施設長候補を募集している介護付き有料老人ホーム をA様に紹介しました。
最初は戸惑っていたA様でしたが、求人内容を見て考えが変わりました。
「求められている能力や経験が、私のキャリアと合致しています。職種名は違いますが、やることは今までの延長線上にありますね」
履歴書と職務経歴書を作成する際も、「管理部次長」という肩書きにこだわらず、実際に担当してきた業務内容を具体的に記載することにしました。
面接での手応え
面接では、A様の経験が高く評価されました。
理事長からは、「医療法人での管理経験がある方は貴重です。介護施設も医療法人も、根本的な運営の考え方は共通していますから」という言葉をいただきました。
また現場の介護職員との面談でも、「管理のプロが来てくれるのは心強い」という反応があったそうです。
A様自身も、「皆さん温かく迎えてくださって、ここで働きたいという気持ちが強くなりました」とおっしゃっていました。
予想を超えた好条件で転職
A様の転職は、当初の想定を大きく上回る結果となりました。
年収アップという意外な展開

内定が出た際の条件は、A様の期待を超えるものでした。
「正直、施設長職は管理部次長より年収が下がると思っていました。しかし提示された年収は現在より100万円以上高かったのです」とA様は驚きを隠せませんでした。
介護業界では、管理経験を持つ人材のニーズが高まっています。
特に医療法人での管理経験がある人材は希少価値が高いため、好条件での採用となったのです。
新たなやりがいの発見
入職から3ヶ月後、A様から嬉しい報告をいただきました。
「施設長として働き始めて、今までとは違うやりがいを感じています。利用者様やご家族から直接感謝の言葉をいただけることが、こんなに嬉しいとは思いませんでした」
管理部門では数字や書類と向き合うことが多かったA様にとって、人と直接関わる仕事は新鮮な体験だったようです。
「職種名にこだわっていた自分を振り返ると、視野が狭かったと感じます。もっと早く柔軟に考えていれば良かった」とA様はおっしゃいました。
職種の枠を超えた転職支援の重要性
A様の転職成功を通じて、私たちは職種の枠を超えた支援の大切さを再確認しました。
スキルの本質を見極める
転職において重要なのは、職種名ではなく実際に何ができるのかということです。
同じ業務内容でも、業界や企業によって職種名は異なります。
「管理部次長」「総務部長」「施設長」「事務長」など、名称は違っても求められる能力は共通していることが多いのです。
私たちの役割は求職者が持つスキルの本質を見極めて、それが活かせる様々な可能性を提示することです。
柔軟な発想の大切さ
転職活動では、過去の職種名にこだわりすぎてしまうケースも少なくありません。
しかし「私は営業だから営業職」「経理だから経理職」という思い込みが、可能性を狭めていることもあるのです。
業務内容を分析すれば、異なる職種名でも十分に活躍できることがわかります。
大切なのは、柔軟な発想で自分のキャリアを捉え直すことです。
「職種名」を超えて、本当の適職を見つけるために
転職活動において職種名は重要な要素ですが、それがすべてではありません。
より重視すべきは、自分のスキルや経験がどのように活かせるのかということです。
A様のケースでは「管理部次長」という職種名へのこだわりをなくすことで、施設長という新たなキャリアの道が開けました。
結果として年収もアップして、新たなやりがいも見つけることができたのです。
私たちD&Mキャリアは求職者一人一人の経験とスキルを丁寧に分析し、その結果ときには職種の枠を超えた提案をすることもあります。
職種名だけで判断するのではなく、求職者の経験やスキルがどの分野で活かせるかを総合的に判断した転職支援を行っています。
同じ職種での転職がうまくいかずに悩んでいる方や、自分のスキルが他にどう活かせるのかを知りたい方は一人で悩まずにご相談ください。
職種名という壁を越えて、あなたの可能性を最大限に引き出す転職先をご提案させていただきます。
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