【事務長になるために】求められる経験とアピールポイント
医療機関において、事務長は組織運営の要となる存在です。資格を必要としないポジションでありながら、経営管理から現場の統括まで幅広い役割を担います。
本コラムでは事務長として内定を得るために重要な経験やアピールポイントについて、病院規模による違いを含めて解説します。
事務長に求められる経験とは?
医療機関の事務長への転職を考える際、「どのような資格が必要か」という疑問を持つ人もいるかもしれませんが、特定の資格は必須ではありません。
むしろ重視されるのは組織マネジメントの経験や、組織を統率するリーダーシップです。
マネジメントの経験
事務長への転職において特に重視されるのが、マネジメントの経験です。具体的には以下のような点が評価のポイントとなります。
マネジメント対象の規模
これまでのキャリアでどの程度の規模の組織やチームをマネジメントしてきたのかは、重要な評価ポイントです。例えば課長職でも50人規模のチームをマネジメントした経験があれば、それは大きなアピールポイントとなります。
職務経歴書には具体的な人数を明記することで、より説得力のある経験としてアピールできます。役職名だけでは組織の規模感が伝わりにくいため、マネジメント対象の人数を具体的に示すことが効果的です。
成果につながるリーダーシップ
単にチームを管理するだけではなく、具体的な成果を上げた経験が重要です。例えば業務効率の改善、チームの生産性向上、離職率の低下などの数値で示せる実績があれば、それは大きなアピールポイントとなります。
リーダーとして組織をどのように導き、どのような成果を実現したのか、具体的に示すことが重要です。
人材育成の実績
組織の成長には人材育成が不可欠です。これまでのキャリアで後進の育成にどのように取り組み、どのような成果を上げてきたのかも重要な評価ポイントとなります。
特に医療機関では継続的な人材育成が組織の質を左右するため、その経験は高く評価されます。新人教育の仕組みづくりや次世代リーダーの育成などの経験があれば、積極的にアピールしましょう。
部門間の調整の経験
病院の事務長には様々な部門との調整力が特に求められます。医局、看護部門、リハビリテーション部門、医事課、総務課などの多岐にわたる部門を統括する立場となるためです。
多様な部門との連携
病院組織では各部門がそれぞれの専門性を持って業務を行います。これらの部門間で発生する様々な課題や要望を調整して、組織全体として最適な解決策を導き出す能力が求められます。
実績のアピール
過去の職務で複数の部門間の調整を行った経験があれば、それは病院組織での活躍を期待させる重要な実績となります。特に異なる専門性を持つ部門間での調整の経験は、医療現場でも応用できる貴重なスキルとして評価されます。
組織横断的な視点
部門間の調整には組織全体を見渡す視点が不可欠です。各部門の業務内容や課題を把握して、組織全体の目標達成に向けて部門間の協力体制を構築する能力が重要となります。
過去の職務でこうした経験を持つ人材は、事務長として高い評価を得られる可能性があります。
規模による求められる能力の違い
病院の規模によって事務長に求められる能力は大きく異なります。転職を考える際は、自分の経験や志向性と医療機関の規模が合致しているかを見極めることが重要です。
小規模病院の特徴
小規模病院では現場に密着した実務的な対応力が求められます。具体的には以下のような特徴があります。
フットワークの軽さ
院内を機動的に動き回り、様々な実務的課題に対応することが求められます。例えばトイレの詰まりや電球の交換といった施設の不具合にも率先して対応する必要があります。
机上での管理業務だけではなく、こうした現場レベルの課題解決も事務長の重要な役割となります。
小規模病院の事務長には、「自分の仕事ではない」という意識ではなく、率先して現場の問題解決に取り組む姿勢が求められるのです。
スタッフとのコミュニケーション
組織の規模が小さいため、すべてのスタッフと直接コミュニケーションを取ることが求められます。医師、看護師、事務職員など、部門を問わず日常的な対話を通じて信頼関係を築く必要があります。
例えばスタッフの小さな変化や悩みに気づいたら、すぐに声をかけて対応するなどきめ細かなコミュニケーションが事務長には求められます。
このように現場の声を直接聞き、スピーディに課題解決につなげる能力が小規模病院の事務長には不可欠となります。
大規模病院の特徴
大規模病院では組織全体を俯瞰的に見る視点と、部門間の調整力が特に重要となります。具体的には以下のような特徴があります。
組織マネジメント力
規模が大きくなると、全スタッフと直接的なコミュニケーションを取ることは難しくなります。そのため部門長を通じた組織管理や、部門間の調整力が重要な能力となります。
特に100床以上の病院では医局、看護部門、リハビリテーション部門など様々な専門部署の管理者との調整が不可欠です。各部門の管理者と密接に連携しながら、組織全体としての方向性を示して部門間の協力関係を促進することが求められます。
経営的視点
収支管理や経営戦略の立案など、より経営的な視点での判断力が求められます。ただし医療機関の場合、収益性だけではなく医療の質との両立が必要不可欠です。
大規模病院では特に診療報酬改定への対応や医療機器の導入検討など経営判断が必要な場面が多く発生します。こうした判断には医療の専門性を理解した上で、中長期的な経営視点が求められます。
人材育成
大規模病院では事務職員の人数も多くなるため、計画的な人材育成が重要となります。特に医事課などの専門性の高い部門では、段階的なスキルアップを支援する体制づくりが必要です。
また次世代の管理職の育成など、組織の将来を見据えた人材開発にも取り組むことが求められます。
アピールすべき経験と資格
事務長としての採用において、特定の資格の有無は決定的な要素とはなりません。むしろ以下のような経験をアピールすることが効果的です。
経験としてアピールするべき点
人事労務の経験
労働契約や労使間トラブルへの対応など、人事労務面での経験は重要なアピールポイントとなります。医療機関でも様々な労務課題が発生するため、これらへの対応の経験は高く評価されます。
業績改善の実績
特に経営改善が求められる医療機関では、過去の業績改善の実績が評価されます。ただし医療機関の場合、単なる収益性の追求ではなく医療の質との両立が求められる点に注意が必要です。
新規事業の立ち上げ経験
新規拠点の開設や新たな取り組みの導入など、これまでにない課題に取り組んだ経験も評価のポイントとなります。医療機関でも様々な変革が求められる中、新しいことに挑戦できる実行力は重要な要素です。
参考となる資格
医療経営士などの資格は、医療経営への関心や学習意欲を示す材料として一定の評価を得られます。ただしこれらの資格を持っているだけで、即戦力とみなされるわけではありません。
慣習的に医事課出身者が事務長になるケースが多いものの、医療事務の経験や資格が必須要件というわけではありません。求人要件に含まれていない場合は、過度にアピールする必要はないでしょう。
今後の展望
医療機関の事務長に対する人材ニーズは、今後も一定数存在すると予想されます。特に世代交代のために後継者が求められたり、介護・福祉領域での新規施設の増加に伴う採用が見込まれます。
一方で事務長を担える人材は限られており、豊富な経験とアピールポイントを持つ人材への需要は今後も継続するでしょう。
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