【訪問診療・オンライン診療の拡大】医療事務のキャリアの新たな可能性

医療事務職としてのキャリアを考える上で、診療形態の変化を理解することは大切です。
近年特に注目されているのが、訪問診療とオンライン診療の拡大という潮流です。
これらは、医療事務の業務内容や求められるスキルにも変化をもたらしています。
本コラムでは訪問診療・オンライン診療の現状と今後の展望、そして医療事務のキャリアへの影響について解説します。
訪問診療の現状と拡大する背景
訪問診療とは、通院することが困難な人の自宅や介護施設などへ、医療従事者が訪問して行う診療サービスです。
高齢化の進展に伴い訪問診療のニーズは年々増加しており、特に後期高齢者の増加が見込まれる2025年以降はさらなる需要拡大が予想されています。
訪問診療が注目される理由
訪問診療が注目される主な理由として、以下のことが挙げられます。
高齢化に伴う通院困難者の増加
高齢化の進展により、身体機能の低下や認知症などで通院が困難な人が増加しています。
特に75歳以上の後期高齢者の増加に伴い、移動が困難な状態でも医療サービスを受けられる体制の整備が急務となっています。
地域包括ケアシステムの構築推進
住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるように、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が進んでいます。
訪問診療は、このシステムの中核を担う重要なサービスとして位置づけられています。
医療費適正化の観点からの在宅医療推進
不要な入院の回避や在院日数の短縮化により、医療費の適正化をはかる観点から、在宅医療の推進が政策的に進められています。
オンライン診療の現状と展望
オンライン診療はスマートフォンやパソコンを用いて、ビデオ通話などを活用した遠隔での診療を行うサービスです。
コロナ禍での時限的な規制緩和を経て、オンライン診療の普及は一部の医療機関で進みつつあります。
オンライン診療の導入状況
オンライン診療は都市部の一部のクリニックや、インバウンド向けの美容医療の分野などで比較的導入が進んでいます。
一方で、地方や一般的な診療科ではまだ普及の途上にあると言えます。
今後は医療DXの流れの中で徐々に拡大していくことが予想されますが、対面診療と組み合わせたハイブリッド型の医療提供体制が主流になると考えられています。
訪問診療・オンライン診療が医療事務に与える影響
これらの診療形態の変化は、医療事務の業務内容や求められるスキルにも変化をもたらしています。
訪問診療における医療事務の役割の変化

訪問診療を主体とするクリニックでは、医療事務の業務範囲が大きく変化しています。
従来の受付業務だけではなく、以下のような業務が発生するケースが増えています。
- 医療従事者の訪問診療への同行
- 訪問先での診療データの入力
- 車両の運転
- 訪問スケジュールの調整
など
特に小規模なクリニックでは、医師が診療に集中できるよう医療事務がドライバーを兼ねるケースが少なくありません。
また、訪問先でのデータ入力や記録のためのタブレット端末の操作スキルなど、デジタル機器の活用能力も重要になります。
オンライン診療における医療事務の新たな役割
オンライン診療の導入に伴い、医療事務には次のような新しいスキルが求められるようになっています。
- オンライン診療システムの操作・管理
- 受診者へのシステムの利用方法の説明
- オンライン問診票の管理
など
オンライン診療の普及に伴い、医療事務にITリテラシーが求められるようになっています。
特にシステムトラブル時の初期対応や受診者へのサポートなど、従来の医療事務の業務に加えて新たなITスキルが必要とされています。
医療事務のキャリア形成に向けたポイント
訪問診療やオンライン診療の拡大を踏まえて、医療事務として働く上で押さえておきたいポイントを解説します。
訪問診療に関わる医療事務として求められるスキル
臨機応変な対応力
訪問診療では予定通りに進まないケースも多く、臨機応変な対応が求められます。
状況に応じて優先順位を変更する判断力も重要です。
コミュニケーション能力
受診者のご家族や介護施設の職員との円滑なコミュニケーションが必要になります。
多職種との連携をスムーズに進めるための調整能力も重視されます。
デジタル機器のスキル
訪問先でのデータ入力、情報共有のためのタブレット端末、モバイルアプリの操作スキルが求められます。
オンライン診療に関わる医療事務として求められるスキル

ITリテラシー
オンライン診療システムの操作や、簡単なトラブルシューティングができることが望まれます。
オンラインでのコミュニケーション能力
モニター越しでも受診者に安心感を与えられるように表情、声のトーン、言葉遣いなどでより丁寧な対応が求められます。
セキュリティ意識
オンライン診療では、個人情報保護の観点からセキュリティ意識が重要です。
訪問診療・オンライン診療に関わる医療事務の働き方の特徴
最後に、訪問診療やオンライン診療に関わる医療事務の働き方を見ていきます。
訪問診療における医療事務の働き方
外勤が多くなる
医療従事者に同行して外勤が多くなるため、デスクワークだけを希望する人には向かない場合があります。
勤務時間が不規則になる場合がある
訪問スケジュールによっては、終了時間が流動的になることも少なくありません。
多職種との連携が増える
介護施設のスタッフやケアマネジャーなど、様々な職種と連携する機会があります。
一方で、従来の医療事務の業務とは異なり、、現場に出向いて医療従事者と行動を共にする活動的な仕事を希望する人にとってはやりがいを感じられる環境と言えます。
オンライン診療における医療事務の働き方
デジタル業務の比重が増える
パソコンやタブレットを活用した業務の割合が高くなります。
継続的な学習が必要になる
システムの更新や新機能の追加に対応するために、継続的な学習が求められます。
将来性と今後の展望
訪問診療やオンライン診療は今後も拡大していく分野であり、医療事務としてのキャリアにも新たな可能性をもたらします。
特に訪問サービスは訪問診療だけではなく、訪問看護や訪問介護なども含めて需要の高まりが続くと予想されています。
また医療のデジタル化推進に伴い、ITスキルがより求められるようになるでしょう。
従来の医療事務のスキルに加えて、デジタルツールの活用能力や多職種との連携をはかる能力を高めることでキャリアの幅が広がります。
訪問診療・オンライン診療に関わる仕事に興味がある方へ
訪問診療・オンライン診療の拡大は、医療事務の働き方に新たな変化をもたらしています。
従来の受付業務だけではなく、訪問先でのデータ入力やオンラインシステムの管理など業務の幅が広がっています。
それに伴い、デジタル機器の活用能力や多職種連携のためのコミュニケーション能力など求められるスキルも変化しています。
この変化を前向きに捉えて必要なスキルを習得することで、医療事務としての価値を高めることができるでしょう。
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