医療機関の事務長になるには?仕事内容や求められる経験について
医療機関の運営に関わる職務には、「事務長」という仕事もあります。
大規模な病院では必ず「事務長」という役職があり、事務長は非常に広い範囲の業務を管理・統括しています。
また、規模の小さなクリニックでは、事務長を雇うことなく院長がその業務を全て行っている場合もありますが、クリニックでも業務量が一定を超えてくると院長がその全てをこなすことは困難になってきます。
そういった場合には、事務長を雇用し、クリニック全体の運営がより円滑になるようにします。
こちらの記事では、「事務長」について、仕事内容やどのような経験・スキルが必要か、どのようにしてなるのかについて、ご説明します。
医療機関の事務長の仕事内容
事務長の仕事内容は多岐にわたります。
勤務先が、病院なのかクリニックなのかも含め、それぞれの職場によって職務内容に違いがある場合がありますが、参考までにどのような内容があるか一例をお伝えします。
医療機関の事務長の仕事内容1 労務
給与計算や勤怠管理、入退職手続きなどの労務全般の業務
医療機関の事務長の仕事内容2 人事
面接や教育・研修、人事評価など、採用から退職に至るまでの、人事に関わる業務
医療機関の事務長の仕事内容3 総務
スケジュール管理、社内インフラ整備、組織管理、固定資産管理など、総務に関わる業務全般
その他、広報や経理など、広範囲の業務に事務長は精通している必要があります。
そのため、非常に幅広いスキルや経験が、事務長には必要とされるのです。
医療機関の事務長に求められるスキル・経験
上記でお伝えしたような、各分野におけるスキル・知識・経験が、事務長には求められます。
実際には、管轄するすべての業務の経験が必要というわけではありませんが、それでも指揮を執ったり実務を行ったりということができるように、スキルや知識については必要となるでしょう。
たとえば、入退職手続きや勤怠管理、組織運営などは、なんの知識もなく実行することはできません。
実際に、経験や知識がなければ、どのようなことを行えば良いのかもわからず、対応において抜けもでてしまうでしょう。
教育に関しても同様です。
小規模のクリニックであっても、大人数が勤める大病院であっても、それぞれの従業員に合った教育やコーチング、マネジメントのスキルが必要となります。
特に、大規模な組織で教育を行う場合には、教育システムの構築を行うためのスキルも必要です。
給与計算や社内インフラ整備、広報なども、それぞれ、専門的なスキルや知識・経験が必要となります。
このように総合的な業務を行うのが、事務長の職務です。
医療機関の事務長にはどうやってなる?
非常に広範囲な知識・スキル・経験が必要となる事務長ですが、そのポジションに就くためには特に資格が必要というわけではありません。
ただ、資格を取得していることで、どのようなスキルを保有しているのかということを証明することはできます。勤務先によっては、求人の条件に「〇〇の資格を保持していること」や、「〇〇資格保持者優遇」と記載している場合もあります。
そのため、事務長になりたい場合には、事前にどのような資格を保有していることを求めている医療機関が多いのかを調査しておくようにすると良いでしょう。
また、それ以外に、現時点の自分に足りないスキルがあるのであれば、そのスキルを身につけることができる職場を事前に経験しておくと良いでしょう。
このように必要なスキル・経験・知識を得た上で、求人で求められている資格を取得することで、事務長として採用される可能性が高まります。
事務長を目指す人におすすめの資格
医療機関の事務長になるためには広範囲な知識やスキルが必要ですので、どのようなスキルを保有しているのかを示すためにも資格取得は有効な手段です。
こちらでは「メディカルクラーク」「医科医療事務管理士」「医療経営士」の3つの資格についてご紹介します。
メディカルクラーク
メディカルクラークとは、一般財団法人 日本医療教育財団が主催する医療事務技能審査試験に合格することで得られる称号であり、資格を保有していることで医療施設における事務能力の高さを示すことができます。
医療事務に関する資格の中では最も受験者数が多く、毎月試験が実施されています。
また、以前は1級、2級に分かれていましたが、現在は統合されて一つの資格となっています。
資格勉強を通して、医療保険や介護保険制度の基礎知識をはじめ、受診者対応や医療現場においてのコミュニケーションスキル、医療費計算方法などを学ぶことができるでしょう。
参照元:医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)|一般財団法人 日本医療教育財団
医科医療事務管理士
医科医療事務管理士は日本で最初の医療事務に関する資格と言われており、広く認知されています。
医科医療事務管理士の試験では、医療事務における受診者対応をはじめ、医療事務に必要な保険に関する知識や医療費の計算、カルテ管理や診療報酬明細書(レセプト)作成など、幅広い知識が問われます。
また、レセプト点検やレセプト作成といった実技形式の問題も出題されるため、医療事務採用時の目安にされることも少なくありません。
医科医療事務管理士について詳しくは以下の記事にてご紹介しています。
医療事務資格 医療事務管理士とは
医療経営士
医療業界で働く人の中で経営に関する知識や能力を持っている方は比較的少ない傾向にありますが、医療施設や患者の今後のためにも経営スキルを持ち合わせた人材は重要です。
医療経営士の資格取得は、医療経営に関する知識や能力を身につけるきっかけになるため、積極的に資格取得を目指してみても良いでしょう。
医療経営士の資格は1~3級に分かれており、それぞれ対象となる職位や学習内容は以下のように分かれています。
資格等級 | 対象者 | 学習内容 |
医療経営士1級 | 理事長、院長、事務長などの経営幹部 または経営幹部候補 |
医療経営に関する高度な専門知識をはじめ、能力や実践、実行力など |
医療経営士2級 | 経営部門、事務部門、診療部門の管理職 医療機器メーカーなどの管理職 |
医療経営に関する専門知識や問題解決能力など |
医療経営士3級 | 医療機関新入職員 医療機器メーカーなどの従事者 医療分野を志す学生などの人材 |
医療の基礎知識や論理、モラル 医療経営の基礎知識など |
事務長になるためには、医療経営士1級の資格取得を目指すと良いでしょう。
医療経営士3級は誰でも受けることができますが、2級や1級は下位資格を保有している必要があります。
医療経営士1級資格は、医療経営士2級の資格試験に合格して一般社団法人 日本医療経営実践協会に正会員として登録されていることで受験することが可能です。
参照元:一般社団法人 日本医療経営実践協会 – 医療経営士 認定試験
おわりに
医療機関の事務長になる上で求められるスキル・知識・経験、またどのようにして医療機関の事務長になるのかをこちらの記事ではご紹介しました。
事務長になるには、非常に広範なスキルや知識が必要となりますが、その分とてもやりがいのある素晴らしい仕事です。
事務長を目指す上で、どのようなスキルを保有しているのかを示すためにも、「医療経営士」「メディカルクラーク」「医科医療事務管理士」といった資格取得は有効な手段です。
興味のある方は、じっくりと経験・知識を蓄え、事務長を目指してみてもいいかもしれません。
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