ハイクラス転職 2025.07.23

中小規模医療機関の事務長に求められる「経営パートナー」としての資質

中小規模医療機関の事務長に求められる「経営パートナー」としての資質

中小規模医療機関における事務長の役割は、事務部門の統括にとどまらず経営陣の戦略的パートナーとしての機能も期待されます。
特に400床未満の医療機関では組織の規模上、事務長が経営に与える影響は大きく「院長の右腕」として医療機関全体の運営を支える重要なポジションとなっています。

本コラムでは中小規模医療機関の事務長に求められる「経営パートナー」としての資質について、具体的な事例を交えながら解説します。

中小規模医療機関における事務長の位置づけ

400床未満の医療機関では、事務長は事務部門の最高責任者として組織運営の要となります。

組織における事務長の役割

中小規模医療機関の事務長は、大規模医療機関とは異なる独自の役割を担っています。

事務部門の統括業務

  • 医事課・総務課・経理課など各部門の管理
  • スタッフの労務管理と育成
  • 施設管理と設備投資計画の立案
  • 行政機関との折衝・対応

など

これらの基本的な業務に加えて、経営層の一員としての役割が期待されます。

経営参画への期待

多くの中小規模医療機関では事務長が経営会議のメンバーとして参加して、医療機関の方向性決定に関わることが求められます。
事務処理を行うだけではなく、経営的な視点から提言を行い、院長の意思決定をサポートする立場となります。

大規模医療機関との違い

400床以上の大規模医療機関と比較すると、中小規模医療機関の事務長には以下のような特徴があります。

業務範囲の広さ

大規模医療機関では各部門に部長職が配置されることが多い一方、中小規模医療機関では事務長が幅広い業務を直接管轄します。
財務・人事・総務・医事など複数の領域にまたがる知識と経験が必要となります。

経営陣との距離

中小規模医療機関では院長や理事長との物理的・心理的な距離が近く、日常的にコミュニケーションを取る機会があります。
この環境を活かして経営層の考えを深く理解して、現場の声を経営に反映させる橋渡し役を担うことになります。

経営パートナーとして事務長に求められる資質

経営パートナーとして事務長に求められる資質

経営パートナーとして期待される事務長には、従来の事務管理能力に加えて新たな資質が求められます。

経営的視点

医療機関の持続的な発展のために、経営的な視点から物事を捉える能力が必要です。

財務分析能力

  • 収支状況の把握と改善策の提案
  • 診療報酬改定への対応策の立案
  • 投資判断のための収支シミュレーション
  • コスト削減と収益向上の両立

など

数字を管理するだけではなく、その背景にある要因を分析して具体的な改善策を提案することが大事です。

市場環境の理解

地域医療構想や競合する他の医療機関の動向を把握して、自院の位置づけを客観的に評価する能力が求められます。

医療政策の変化を先読みして、中長期的な経営戦略に反映させることも重要な役割となります。

医療現場への理解と配慮

経営的な効率性を追求しながらも、医療の質を維持・向上させるバランス感覚が必要です。

医療スタッフとの協働

医師・看護師など医療スタッフの業務内容や負担を理解して、現実的な改善策を提案する能力が求められます。
医療現場の声に耳を傾けながら、経営的な観点から最適解を見出すことが大事です。

受診者への視点

医療機関の使命である受診者への良質な医療の提供を常に念頭に置いて、経営判断を行う必要があります。
収益性と、受診者の満足度との両立をはかる施策の立案と実行が期待されます。

変革をリードする力

医療業界の急速な変化に対応するために、組織変革を推進する力が求められます。

イノベーションの推進

  • ICT活用による業務の効率化
  • 新たな収益源の開拓
  • 働き方改革の実現
  • 地域連携の強化

など

既存の枠組みに捉われず、新しいアイデアを実現に移す行動力が必要となります。

スタッフの意識改革

経営改善や業務改革を進める際には、スタッフの理解と協力が不可欠です。
変革の必要性をわかりやすく説明して、スタッフを巻き込んで改革を進める能力が求められます。

院長との効果的な関係構築

経営パートナーとして機能するためには、院長との信頼関係の構築も重要な要素となります。

院長の経営スタイルの理解

院長ごとに、経営に対する考え方や関与の度合いは異なります。

院長のタイプ別アプローチ

  • 診療重視型:経営面の権限委譲を積極的に受け入れる
  • 経営参画型:綿密な情報共有と協議を重視する
  • 理念重視型:医療機関の使命を経営に反映させる

院長の特性を理解して、それに応じたコミュニケーションの方法を選択しましょう。

提案力の強化

受動的に情報を伝えるだけではなく、積極的に改善案や新規施策を提案する姿勢が大切です。

エビデンスに基づく提案

  • 客観的なデータの収集と分析
  • 他院の成功事例の研究
  • 費用対効果の明確な提示
  • リスクと対策の検討

など

感覚的な提案ではなく根拠に基づいた説得力のある提案を行うことで、院長の信頼を獲得できます。

段階的な実施計画

大きな変革を一度に実現しようとするのではなく、段階的な実施計画を立案することが重要です。
小さな成功を積み重ねることで、院長やスタッフの理解と協力を得やすくなります。

事務長のキャリア形成と年収水準

事務長のキャリア形成と年収水準

中小規模医療機関の事務長には、多様なキャリア形成が存在します。

現在の年収水準

400床未満の医療機関における事務長の年収は、一般的に600万円前後からスタートすることが多くなっています。

年収を左右する要因

  • 医療機関の経営状況
  • 地域性(都市部・地方)
  • 求められる役割の範囲
  • 本人の経験・実績

など

経営企画的な要素が強く求められるポジションでは、1,000万円前後の募集も存在します。

評価による年収アップ

経営改善への貢献度や新規事業の成功など、具体的な成果を上げることで年収アップが期待できます。
特に収支改善に直接貢献した場合は、高い評価を得やすい傾向があります。

医療法人本部への転身

複数の医療機関を運営する医療法人では、事務長から本部職への転身の機会があります。

本部職のポジション例

  • 財務部長(年収700~900万円)
  • 人事部長(年収700~900万円)
  • 経営企画部長(年収800~1000万円)
  • 理事・事務局長(年収1,000万円以上)

単独施設の事務長から、法人全体を統括する立場へのステップアップが可能となります。

必要な準備

本部職への転身を目指す場合は、単独施設の運営だけではなく、法人全体の経営戦略や他施設との連携について学ぶ必要があります。

中小規模医療機関の事務長が切り拓く新たなキャリア

中小規模医療機関の事務長は医療現場と経営の両方を理解する存在として、今後ますます重要性が高まることが予想されます。

経営パートナーとしての資質を磨くことで、医療機関の発展に貢献しながら自分のキャリアも大きく広げることが可能となります。

現場の責任者から、医療機関の未来を創造する経営パートナーへ。
この転換を実現することで、年収面でも職務の満足度でも大きな向上が期待できます。

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