【クリニックの事務長】代行・内部昇格・採用の選択肢を考える
クリニックの規模が大きくなってくると、経営者の頭をよぎるのが「事務長を置くべきかどうか」という問題です。
院長が診療に集中するためには、経営や事務を任せられる人材が必要になります。
しかし事務長を採用するとなると、相応の人件費がかかります。
そこで選択肢として浮上するのが、事務長代行サービスの活用や既存のスタッフの内部昇格です。
本コラムでは事務長代行と内部昇格、それぞれのメリット・デメリットを整理した上で「そもそも事務長が必要なのか」という視点についても考えていきます。
「事務長代行」という選択肢
事務長代行とは、外部の会社や個人に事務長業務を委託するサービスです。
常勤の事務長を雇用するのではなく、週に数日程度の稼働で事務長の機能を担ってもらう形が一般的です。
事務長代行のメリット
事務長代行のメリットは、フルタイムの事務長を雇用するよりもコストを抑えられる点です。
事務長クラスの人材を正社員として採用する場合、一定水準の年収が求められます。
一方で事務長代行であれば稼働日数に応じた費用で済むため、小規模なクリニックにとっては現実的な選択肢となります。
また事務長代行を提供している会社や個人は複数のクリニックを担当していることが多く、業界の知見やノウハウを有しています。
自院だけでは得られない情報や視点を取り入れられる可能性があります。
事務長代行のデメリット
一方で事務長代行には、いくつかのデメリットも存在します。
まず挙げられるのが、レスポンスの問題です。
事務長代行は複数のクリニックを掛け持ちしていることが多く、契約している稼働日以外は対応してもらえないケースがあります。
例えば週に1.5日の契約で事務長代行を依頼している場合、それ以外の曜日に連絡を取ろうとしても対応してもらえないことがあります。
「火曜日と金曜日の午後しか対応できません」と言われてしまうと、急ぎの案件があっても数日待たなければなりません。
書類の確認や意思決定が必要な場面で、こうした対応の遅れは大きなストレスになります。
ナレッジが内製化されない問題
事務長代行のもう一つの課題は、ナレッジが内製化されないという点です。
事務長代行は外部の人間であるため、業務のやり方や取引先との関係性といった情報がクリニックの内部に蓄積されません。
契約を終了した時に、「どことどのように連絡を取って、何をしていたのかがわからない」という事態に陥る可能性があります。
常勤の事務長であれば引き継ぎ期間を設けることができますが、事務長代行の場合は契約解除によって即座に関係が終了することもあり得ます。
事務長代行が向いているケース
事務長代行が向いているのは、常駐の必要性がない小規模なクリニックです。
日常業務は既存のスタッフで回っているものの、責任者としての役割を担える人材が欲しいという場合であれば、事務長代行でも十分に機能する可能性があります。
また「この業務だけをやってもらえれば良い」と割り切れる場合も、事務長代行は選択肢になります。
求める業務が限定的で稼働日以外の対応が不要であれば、コストパフォーマンスは高くなります。
反対に事務長に多くのことを期待している場合や、日常的に連絡を取り合う必要がある場合は、事務長代行では対応しきれない可能性があります。
内部昇格という選択肢

事務長代行ではなく、既存のスタッフを事務長に昇格させるという選択肢もあります。
内部昇格のメリット
内部昇格のメリットは、クリニックの内情を熟知した人材に事務長を任せられる点です。
長年勤務しているスタッフであれば院長の考え方や方針を理解していて、他のスタッフとの関係性もすでに構築されています。
外部から採用する場合と比べて、スムーズに業務を進められる可能性が高いでしょう。
また内部昇格であれば、採用コストがかかりません。
人材会社に支払う手数料や、採用活動にかかる時間と労力を節約できます。
内部昇格のデメリット
一方で内部昇格には、「適任者がいるかどうか」という問題があります。
事務長には、経営的な視点や管理能力が求められます。
優秀な事務スタッフが、そのまま優秀な事務長になれるとは限りません。
また長年同じ環境で働いてきたスタッフの場合、外部の視点や新しい発想を取り入れにくいという面もあります。
クリニックの改革や変化を求めている場合、外部からの採用の方が適していることもあるでしょう。
外部から事務長を採用する場合
事務長代行でも内部昇格でもなく、外部から正社員として事務長を採用するという選択肢もあります。
外部採用のメリット
外部から採用する場合、幅広い候補者の中から自院に合った人材を選ぶことができます。
医療機関での事務長経験がある人材を採用できれば、即戦力として活躍してもらえる可能性があります。
また外部からの視点を持ち込むことで、これまでのやり方を見直すきっかけになることもあります。
外部採用のデメリット
外部採用のデメリットは、採用コストと定着リスクです。
事務長クラスの人材を採用する場合、人材会社を利用すれば紹介手数料がかかります。
また採用した人材が自院の文化に合わなかったり、期待した成果を得られないリスクもあります。
「本当に事務長が必要なのか」を見極める

事務長代行、内部昇格、外部採用という選択肢を検討する前に、そもそも「本当に事務長が必要なのか」を見極めることも大切です。
事務長に何を求めているのか?
「事務長が必要だ」と感じている場合、まずは事務長に何を求めているのかを整理してみましょう。
経理や総務といったバックオフィス業務を任せたいのか。
スタッフのマネジメントを担ってほしいのか。
広報や集客といったマーケティング機能を期待しているのか。
求めるものによっては「事務長」という肩書きの人材ではなく、別の職種の人材を採用した方が適切な場合があります。
事務長ではなく専門職を採用するべきケース
ある医療法人の理事長から、「事務長を探している」という相談がありました。
しかし詳しくお話を伺うとバックオフィス業務は理事長の配偶者が担当しており、理事長が本当に求めていたのは広報、集客、マーケティングの機能でした。
この場合、事務長として採用するよりもマーケティング経験のある人材を採用した方が合理的です。
事務長として採用する場合と比べて、マーケティング担当として採用すれば人件費を抑えられる可能性があります。
必要な機能を明確にする
事務長を検討する際には「事務長が必要だ」という漠然とした認識ではなく、「どのような機能が必要なのか」を明確にすることが大切です。
その機能が本当に事務長でなければ担えないのかを考えてみると、別の選択肢が見えてくることがあります。
特に規模の小さいクリニックでは「事務長」という大きな器を用意するよりも、必要な機能に特化した人材を採用する方が効率的な場合があります。
クリニックの管理体制を見直すために
クリニックの管理体制をどのように構築するのかは、経営者にとって重要な判断です。
事務長代行はコストを抑えられる反面、レスポンスやナレッジの内製化という点で課題があります。
内部昇格は適任者がいれば有効な選択肢ですが、適任者がいなければ機能しません。
外部採用は幅広い選択肢がある反面、採用コストと定着リスクを考慮する必要があります。
そして何より大切なのは、「本当に事務長が必要なのか」を見極めることです。
必要な機能を明確にした上で、最適な選択肢を検討していきましょう。
D&Mキャリアでは、医療機関の管理職の採用についてもサポートを行っています。
事務長の採用や管理体制の構築についてお悩みの方は、まずは一度ご相談ください。
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