外国人材の面接・選考|言葉の壁を乗り越える実践的アプローチ

外国人材の採用において、多くの医療・介護施設が不安に感じるのが面接・選考の段階です。
「日本語でのやり取りがうまくいくのだろうか」「どのような質問をすれば人柄を見極められるのか」「文化の違いにどう対応すれば良いのか」といった悩みを抱える採用担当者は少なくありません。
しかし適切な面接手法と配慮があれば、言葉の壁を乗り越えて優秀な外国人材を見極めることは十分に可能です。
特定技能外国人の採用で90%以上の定着率を実現しているD&Mキャリアの経験をもとに、外国人材の面接・選考で採用企業が心がけたい実践的なアプローチについて解説します。
面接前の準備が成功の鍵
外国人材との面接を成功させるためには、事前の準備が重要です。
面接担当者への事前説明
医療機関では看護師長や看護部長が面接に参加することが多いものの、外国人材との面接経験は限られているケースがほとんどです。
面接前に担当者に対して、以下の点を説明しておくことが重要です。
■やさしい日本語の使用方法
- 複雑な敬語や専門用語を避けて、簡潔でわかりやすい表現を心がける
■評価のポイント
- 現在の日本語能力だけではなく、学習意欲や将来性も含めて総合的に判断する
■文化的背景への理解
- 出身国や宗教的な習慣について基本的な知識を共有する
やさしい日本語による効果的な質問
外国人材との面接で最も重要なのが、「やさしい日本語」を使用することです。
基本的な質問の組み立て方
外国人材に対する質問は短い文で構成して、一度に複数の内容を聞かないことが原則です。
■悪い例
「ご利用者様への介護業務に対するお考えと、チームワークを重視した職場環境についてどのようにお感じになりますか」
■良い例
「お年寄りのお世話をする時、何を大切にしますか」
「みんなで協力して働くことはできますか」
このように質問を分割してわかりやすい表現に変えることで、求職者の理解度が向上します。
人柄を引き出す質問のコツ
多くの外国人材は、母国の送り出し機関から定型的な回答を教わっています。
その表面的な回答を突破して本人の人柄を見極めるためには、以下のような質問が効果的です。
■日常生活に関する質問
「日本に来て一番驚いたことは何ですか」
「休みの日はどんなことをしていますか」
「日本の食べ物で好きなものはありますか」
■困難への対処に関する質問
「仕事で困った時はどうしますか」
「わからないことがある時、誰に聞きますか」
「前の職場で大変だったことはありますか」
こうした質問により、用意された回答ではない本人の考えや性格を把握できます。
業務の理解度を確認するための実践的な質問
介護や看護補助の業務に対する理解度を確認するために、具体的な場面を想定した質問も有効です。
■実務場面を想定した質問
「利用者さんが転んでしまった時、まず何をしますか」
「薬を飲まない利用者さんがいたらどうしますか」
「同僚が忙しそうな時、どんな手伝いができますか」
これらの質問により、実際の業務での対応力や判断力を評価できます。
日本語能力の適切な評価方法
外国人材の日本語能力を正確に評価するためには、多角的な視点が必要です。
特に日本語能力試験(JLPT)のN1~N5のレベルのみで判断するのではなく、実際のコミュニケーション能力を重視することが重要です。
例えば試験ではN4に合格しているが、その後受験していないだけで実際の会話レベルはN2相当という場合があります。
資格のレベルだけで判断せず、面接での実際のやり取りを通じて総合的に評価しましょう。
現在のスキルレベルを確認
面接では以下の観点から日本語能力を評価しましょう。
■聞き取り能力
- 質問内容を正確に理解できているか
■会話能力
- 自分の考えを日本語で表現できているか
■語彙力
- 業務に必要な基本語彙を理解しているか
将来の成長の可能性を見極める

現在のスキルと同様に重要なのが、今後の成長の可能性です。
■学習意欲の確認
「日本語の勉強はどうやってしていますか」
「もっと上手になりたいと思いますか」
■生活環境の把握
- 日本人との交流機会や日本語を使う頻度
■年齢と来日期間のバランス
- 若い年齢で来日期間が短い場合は大きな伸びしろが期待できる
日本人職員や利用者との日常的なコミュニケーションを通じて、日本語能力が急速に向上することが多いため、現在のレベルだけではなく将来性も含めた総合的な判断が重要です。
オンライン面接における注意点
外国人材は居住地域を問わず転職活動を行うケースが多いため、オンライン面接の機会が増えています。
オンライン面接特有の配慮事項
■音声の確認
- 通信環境による音声の遅延や途切れに配慮して、ゆっくりと話す
■表情や反応の確認
- 画面越しでは表情が読み取りにくいため、理解度をこまめに確認する
■技術的なサポート
- 接続トラブルが発生した場合の対処方法を事前に説明する
オンライン面接での効果的な質問方法
■簡潔な質問を心がける
「~について教えてください」よりも「~はどうですか」といった短い表現を使用
■理解度の確認を頻繁に行う
「今の質問、わかりましたか」「もう一度説明しましょうか」
■ジェスチャーや資料の活用
- 言葉だけでは伝わりにくい内容は、画面共有機能を使って視覚的に説明する
文化・宗教的配慮の実践方法

外国人材との面接では、文化や宗教の違いへの配慮が大事です。
事前の情報収集
面接前に応募者の出身国について、基本的な情報を調べておくことをおすすめします。
■食文化の理解
- 宗教上の理由で食べられないものがある場合の確認
■宗教的習慣の把握
- 祈りの時間や宗教的な祭日について
面接での適切な確認方法
文化的な違いについて面接で確認する際は、求職者の立場に配慮した質問を心がけましょう。
■配慮が必要な事項の確認
「お仕事をするうえで、私たちが知っておいた方が良いことはありますか」
「食事や休憩について、何か希望はありますか」
■宗教的配慮の確認
「お祈りの時間などで配慮が必要なことはありますか」
これらの質問により、双方が納得できる働き方について事前に合意をはかることができます。
面接中に面接官が心がけるべき対応
外国人材との面接を成功させるためには、面接官が面接中に適切な対応を行うことが重要です。
求職者に寄り添うサポート
言葉の壁や文化の違いがある中で求職者の本来の能力や人柄を正確に見極めるために、面接官側からの積極的なサポートが求められます。
■理解度の確認
- 求職者の表情や反応を注意深く観察して、理解できていない様子が見られたら別の表現で説明する
■やさしい日本語への言い換え
「介護」→「お年寄りのお世話」
「業務」→「お仕事」
「連携」→「みんなで協力する」
■具体例の提示
- 抽象的な概念は具体的な例を挙げて説明する
緊張をほぐすアプローチ
外国人材は面接で緊張していることが多いため、リラックスできる雰囲気づくりが重要です。
■アイスブレイク
「日本に来てどのくらいになりますか」
「この辺りは初めてですか」
■求職者のペースに合わせる
- 急かすことなく、求職者が考える時間を十分に取る
■ポジティブな反応
「日本語がとても上手ですね」
「よく勉強していることがわかります」
評価基準の明確化
外国人材の面接では、どのような基準で評価するかを事前に明確にしておくことが重要です。
重視する評価ポイント
■コミュニケーション意欲
- 完璧な日本語ではなくても、相手に伝えようとする姿勢があるか
■学習意欲
- 向上心を持って日本語や業務スキルを身につけようとしているか
■協調性
- チームワークを重視して働けるか
■適応力
- 新しい環境や文化に柔軟に対応できるか
適切なアプローチで人柄・能力を正確に見極める
外国人材の面接・選考では言葉の壁を理由に敬遠するのではなく、適切なアプローチにより求職者の人柄や能力を正確に見極めることが可能です。
やさしい日本語の使用、文化的配慮、将来性を含めた総合的な評価、そしてリラックスできる面接環境を整えることで優秀な外国人材の確保につなげることができます。
面接は単なる選考の場ではなく、相互理解を深める重要な機会でもあります。
適切な準備と配慮によって採用する側と外国人材の双方にとって満足のいく面接を実現して、長期的な信頼関係の構築につなげていくことが重要です。
D&Mキャリアでは医療・介護分野での外国人材の面接において、豊富な経験に基づく実践的なサポートを提供しています。
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