やりがい?それとも給与?優先するべきはどちら?
転職の時、「やりがい」と「給与」のどちらをより重視すれば良いか悩む人もいるでしょう。両方を満たす職場に出会えることが理想的ですが、どちらかを優先せざるを得ないケースも少なくありません。
本コラムではやりがいと給与それぞれの重要性、バランスの取り方、そして適切な判断をするためのポイントについて解説します。
やりがいと給与、それぞれの重要性
まず、やりがいと給与のそれぞれの重要性について考えてみましょう。
やりがいの重要性
やりがいは、長期的なキャリア形成において非常に重要な要素です。やりがいのある仕事はモチベーションを維持しやすく、長期的な職場定着に繋がります。
また仕事への意欲が高まることで、自然とスキルアップや自己成長の機会も増えていくでしょう。
給与の重要性
給与は、やりがいと並んで仕事を選ぶ上で重要な要素です。私たちの生活を支える基盤となる給与が十分でないと生活の質が低下する、家族への負担が増えるなどの問題が生じる可能性があります。
また、自己投資(学習や趣味)の機会も減ってしまうかもしれません。
やりがいを重視し過ぎた場合に起こり得る問題
やりがいは重要ですが、それを重視し過ぎると思わぬ問題が生じる可能性があります。ここでは、やりがいに偏り過ぎた選択をした場合に起こりうる問題を紹介します。
理想と現実のギャップに苦しむ
やりがいを重視するあまり、理想と現実のギャップに苦しむケースがあります。
例えば「受診者と深く関わりたい」と考えて医療事務に転職したものの、実際は事務作業が多くて受診者と接する時間が少ないといったケース、「介護の質を高めたい」と考えて施設長になったものの経営面での責任が重くてケアに集中できないといったケースなどがあります。
このようなギャップを避けるために、事前に十分に情報収集をすることが大切です。
経済的な現実との折り合いがつかなくなる
どれだけやりがいを大切にしていても、それだけでは生活できない現実があります。
特に家族を養う立場にある場合やライフステージの変化がある場合、将来的に収入アップを目的として転職活動をする必要が出てくる可能性があります。
給与を重視し過ぎた場合に起こり得る問題
次に、給与を重視し過ぎた場合に起こり得る問題を紹介します。
長期的な満足感が得られない
高い給与を得られる仕事であっても、やりがいを感じられない仕事は長続きしない可能性があります。特に医療・介護の分野では金銭的な報酬だけではなくチームで動く一体感、受診者・利用者との関わりから得られる満足感も精神的な「報酬」として大きな意味を持ちます。
「給与が高ければ良い」という考え方で転職先を選ぶと、長期的な満足感が得られずに結果的に早期退職に繋がることがあります。
このような状況を避けるために、給与の重要性を認識しつつも自分にとってのやりがいとのバランスを取ることが重要です。
キャリアアップの可能性を失う
給与が高い職場であっても、必ずしもキャリアアップの機会が豊富とは限りません。キャリアアップの機会が限られている場合もあり、そうした環境では長期的なキャリア形成が難しくなることもあります。
例えば「給与は良いが、小規模な診療所のため最新の医療技術に触れる機会や幅広い症例を経験する機会が限られている」といったケースがあります。このような場合、高い給与と引き換えにキャリアアップの機会を失っている可能性があることを認識しておく必要があります。
やりがいと給与のバランスを取る
やりがいと給与の両方を満たす職場に出会えることが望ましいですが、現実にはどちらかを優先せざるを得ないケースも少なくありません。それでは、どのようにしてバランスを取れば良いのでしょうか。
自分の「マスト条件」を決める
まずは自分の「マスト条件」を明確にすることが重要です。最低限必要な月収、譲れない勤務時間や通勤時間、絶対に避けたい業務内容などを明確にすることで、より現実的な選択ができるようになります。
例えば「子育てのために、遅くとも19時には帰宅する必要がある」「生活費を考えると、月収25万円は必要」などの条件を明確にしておくことが大切です。
長期的なキャリアプランを考える
次に、長期的なキャリアプランを考えることが大切です。5年後や10年後のキャリアをイメージし、そこに到達するために必要な経験やスキルを考えましょう。
例えば「将来的には介護施設の管理職を目指したいので、まずは現場での経験を積んで介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格の取得を目指す」「医療事務のスペシャリストになりたいので、大規模な病院での勤務経験が必要」というように、到達するために必要な経験を明確にしておくことが大切です。
マスト条件の背景を明確にする
マスト条件を決める際には、「なぜそれを重要視するのか」という理由を明確にすることも大切です。漠然とした条件ではなく、具体的な目的や将来のキャリアプランと結びつけて考えることで適切な判断ができるようになります。
実際の例
ある求職者が「病院で医事課長として働きたい」という希望を持っていました。
当初のマスト条件は「大規模病院(病床数が多い)であること」で、その背景として求職者は「大規模病院でなければ、幅広い業務経験を積むことができない」と考えていました。また、「大規模病院の方が給与水準も高く、キャリアアップの機会も多い」と思い込んでいました。
しかしマスト条件の理由を深く掘り下げることで、「業務の幅を広げ、スキルを高めたい」「将来的に病院経営に関わるようなポジションを目指したい」という求職者の本当の希望が明らかになったのです。
大規模な病院では各セクションが細分化されてしまい、かえって業務の幅が狭まる可能性があることがわかりました。また大規模な病院では管理職ポジションの数が限られており、さらなるキャリアアップが難しくなる可能性もあったのです。
これらの理由から求職者はマスト条件を「医事課長として幅広い業務に携わる機会があること」「将来的に病院経営に関わるようなポジションを目指せる」に変更しました。
結果としてその求職者は、病床数はそれほど多くなくても複数の拠点を持つ法人や、将来的に拠点間の異動の可能性がある病院へ転職することになりました。当初の希望よりも病床数が少ない病院を選択するになったのですが、結果的にその人の希望に沿った選択に繋がったのです。
このようにマスト条件の背景にある理由を明確にすることで、より柔軟な選択肢が見えてくることがあります。「規模が大きい」「給与が高い」といった表面的な条件だけではなく、なぜそれを求めているのか、どのようなキャリアを望んでいるのかを深く掘り下げて考えることが重要です。
適切な判断をするためのポイント
最後に、やりがいと給与のバランスを取るために押さえおきたいポイントを紹介します。
労働条件を総合的に確認する
給与だけではなく勤務時間や休日、福利厚生、通勤時間なども含めた総合的な労働条件を考慮しましょう。
例えば給与は少し低くても残業が少なくワークライフバランスを大切にできる職場、基本給は低めでも資格手当や役職手当が充実している職場、給与は平均的だが研修制度が充実していてスキルアップの機会が多い職場など、給与以外の要素も含めて総合的に判断することが大切です。
キャリアのステージに応じた選択をする
キャリアのステージによって、やりがいと給与の優先順位は変化する可能性があります。
例えば20代から30代前半では、スキルアップとキャリアの方向性を定めることを重視し、30代後半から40代ではライフステージの変化に合わせて給与を重視しつつ専門性を高めていく、50代以降ではこれまでに培った経験を活かし、社会貢献やワークライフバランスを重視するなど年齢や経験に応じて適切な選択をすることが重要です。
やりがい?給与?迷ったら専門家に相談を
やりがいと給与のバランスを取ることは、簡単ではありません。D&Mキャリアでは医療・介護分野に特化した転職支援を行っており、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスを提供いたします。
「やりがいは感じられそうだが、給与が今より下がる」「給与は魅力的だが、仕事内容にやりがいを見出せるか不安がある」といった悩みがある場合にはD&Mキャリアへご相談ください。経験豊富な転職エージェントが、最適な選択ができるようにサポートいたします。あなたにとって最適なキャリアを一緒に築いていきましょう。
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