【登録支援機関】制度の概要・具体的な支援内容は?

医療・介護業界の深刻な人材不足に対する解決策として、外国人材の採用は必要不可欠な取り組みとなりつつあります。
2019年4月に特定技能制度が創設されて以来、多くの医療機関や介護施設が外国人材の受け入れを本格化させています。
しかし外国人材を受け入れる際には、言葉の壁や文化の違い、宗教的配慮など様々な課題が生じることがあります。
こうした課題を解決して、外国人材の定着を実現するために重要な役割を果たすのが「登録支援機関」です。
本コラムでは、登録支援機関の概要や具体的な支援の内容を詳しく解説します。
登録支援機関とは?
登録支援機関とは出入国在留管理庁に登録された民間事業者で、在留資格「特定技能」を持つ外国人が日本で安心して働けるように、生活・就労面を包括的に支援する役割を担う機関です。
特定技能外国人を受け入れる事業者は法律で定められた支援を自ら実施するか、登録支援機関に委託するかを選択できます。
医療機関・介護施設では本来の業務が多忙であり、外国人材の生活支援や各種手続きまで行うのは負担が大きいため、多くの施設が登録支援機関への委託を選択しています。
登録支援機関を活用することで、受け入れ施設は外国人材への適切なサポートを確保しながら、自らは本来の医療・介護業務に専念できる環境を整えることができます。
登録支援機関が求められる背景
慢性的な人材不足に直面する医療・介護業界において、外国人材の活用は業界全体の課題解決に向けた重要な取り組みとなっています。
特定技能制度の創設により外国人材の受け入れが法的に整備されましたが、実際の受け入れにあたっては多くの実務的課題が存在します。
入国前後の各種手続きから住居の確保、日本語学習のサポートや宗教・文化への配慮など、専門知識を要する支援業務は多岐にわたります。
これらの支援を適切に実施するためには、外国人材の受け入れに関する法令知識、各国の文化・宗教への理解、日本での生活に必要な手続きのノウハウなど、幅広い専門性が求められます。
登録支援機関はこうした専門的な支援業務を代行することで、受け入れ施設の負担を軽減して外国人材の円滑な定着を支援する重要な役割を果たしています。
法令で定められた支援
特定技能外国人に対する支援は「義務的支援」と「任意的支援」に大別されます。
義務的支援は法令により必ず実施しなければならない支援で、任意的支援は実施が望ましいとされる支援です。
ここでは8つの支援項目について、義務的支援と任意的支援の内容を詳しく解説します。
事前ガイダンスの実施
特定技能外国人が安心して日本での生活と就労をスタートできるように、入国前または入国後に必要な情報を提供する支援です。
義務的支援
労働条件、報酬、業務内容について、特定技能外国人が理解できる言語で説明することが義務づけられています。
入国手続き、住居の確保の流れ、日本で行える活動の範囲、支援にかかる費用を外国人材に請求しないことの周知などを確実に実施します。
任意的支援
日本の気候に適した服装のアドバイス、持参が推奨される物品や禁止されている物品の説明、当面必要となる生活費の目安などを伝えることが推奨されています。
受け入れ施設から支給される制服や作業着がある場合の情報提供も、任意的支援に含まれます。
出入国の送迎の支援

外国人材が日本に入国する際および出国する際の、送迎と手続きをサポートする支援です。
義務的支援
空港等の出入国場所と受け入れ施設、または住居との間の送迎が義務となります。
出国時には空港まで送り届け、保安検査場への入場の確認まで行うことが求められています。
任意的支援
技能実習からの在留資格の変更など、すでに日本に在留している場合、送迎支援は義務ではありませんが必要に応じて任意で実施することがあります。
住宅確保のサポート、生活に必要な契約の支援
外国人材が安心して生活できる住居の確保と、日本での生活に必要な各種契約をサポートする支援です。
義務的支援
住居に関する情報提供、物件の内見や契約への同行、連帯保証人の確保などが義務づけられています。
社宅や寮を提供することでこの支援を満たすことも可能です。
任意的支援
雇用契約終了後に次の受け入れ先が決まるまでの期間、住居支援を継続することが望ましいとされています。
生活オリエンテーションの実施
日本で円滑に社会生活を送るために必要な知識やルールについて説明する支援です。
義務的支援
銀行口座の開設、携帯電話の契約、電気・ガス・水道などライフラインの契約について、必要書類の案内や手続きの補助を行うことが義務となります。
任意的支援
契約内容の変更や解約手続きについても、サポートすることが推奨されています。
公的手続きなどへの同行

役所での各種手続きや書類作成について、同行や補助を行う支援です。
義務的支援
住民登録、税務の手続き、社会保険関連の手続きなど、行政機関で行う手続きへの同行や書類作成の補助が義務づけられています。
任意的支援
手続きに必要な書類の事前準備や、手続き後のフォローアップを行うことが推奨されています。
日本語学習の機会の提供を支援
継続的な日本語能力の向上のために、学習機会を提供または斡旋する支援です。
義務的支援
就業地域にある日本語教室や教育機関の情報提供、入学手続きの補助が義務となります。
自主学習用の教材やオンライン学習についての情報提供、それらを利用する際の契約手続きの補助も含まれます。
任意的支援
日本語の指導や講習の企画・運営、日本語能力試験の受験に関する支援、資格取得者への優遇措置の設置などが推奨されています。
相談・苦情への対応
就労や生活に関する相談を受け付けて、適切な助言や指導を行う支援です。
義務的支援
相談や苦情を受けた場合の迅速な対応、必要な助言や指導の実施が義務づけられています。
必要に応じて適切な機関への案内や手続きの補助も行います。
任意的支援
事前の相談窓口の設置や案内、労災事故等が発生した場合の家族への手続きの補助などが推奨されています。
日本人との交流の促進
地域住民との交流を通じて、日本社会への適応を促進する支援です。
義務的支援
地域の行事や交流イベントの案内、参加手続きの補助を行い日本人との交流の機会を提供することが義務となります。
任意的支援
地域行事への参加を希望する場合に勤務時間の調整や、有給休暇の付与などが推奨されています。
制度を理解して外国人材の採用を成功に導く
特定技能制度における登録支援機関は、外国人材の日本での生活と就労を支える重要な制度的基盤です。
8つの支援項目それぞれに義務的支援と任意的支援が設定されており、これらを適切に実施することで外国人材が安心できる就労環境を構築できます。
医療機関・介護施設が外国人材の採用を成功させるためには、まず制度の仕組みを正しく理解することが大切です。
事前ガイダンスから日本人との交流促進までの各支援について意味と重要性を把握した上で、各施設に適した登録支援機関を選定することが、外国人材の長期定着につながります。
人材不足が深刻化する医療・介護業界において、外国人材との協働は今後ますます重要になるでしょう。
制度を活用した適切な受け入れ体制の構築により、多様な人材が活躍できる職場環境を実現していくことが求められています。
外国人材の採用をご検討の際は、登録支援機関としての豊富な実績を持つD&Mキャリアまでお気軽にご相談ください。
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