口頭で内定通知を受けたら?確認すべきポイントと注意点
転職活動中、電話や面接時に口頭で内定通知を受けることがあります。しかし、口頭での内定通知にはいくつかの注意点があります。本コラムでは口頭で内定通知を受けた際の注意点と、内定を承諾する前に確認するべきポイントについて解説します。
口頭での内定通知の問題点
口頭での内定通知には、下記のような問題点があります。
労働条件が不明確
口頭での内定通知は、具体的な労働条件が不明確になる傾向にあります。雇用形態、給与、勤務時間、福利厚生など重要な点が曖昧になる可能性があります。
記録に残らない
口頭でのやり取りは記録に残らないため、後から確認することが困難です。「こう言っていたはず」という記憶違いや解釈の相違が生じる可能性があります。
法的拘束力の弱さ
口頭での合意は、法的拘束力が弱いという問題があります。後々トラブルに発展した際、証拠として認められないことがあります。
文面での内定通知の重要性
それでは、なぜ文面での内定通知が必要なのでしょうか。
法令遵守の観点
労働条件の明示に関しては、法令によって文書での提示が義務付けられています。求人募集時や採用契約時に明示すべき項目が定められており、内定通知に関しても同程度の情報が必要だと考えられます。
法的効力の確保
法令に基づく有効な通知手段としてEメール、FAX、その他の文書が挙げられます。口頭や電話のみでの通知はエビデンスとして残らないため、法的な効力を持たない可能性があるだけではなく法令違反となる可能性もあります。
トラブル防止
文面での通知は、後々のトラブルを防ぐ上でも重要です。具体的な労働条件を文書として明記することで、双方の認識の相違を防ぐことができます。
口頭で内定通知を受けた際の対応
口頭で内定通知を受けた場合、どのように対応するべきなのでしょうか。
感謝の意を示す
まずは、内定を受けたことに対する感謝の気持ちを伝えましょう。「貴社で働ける可能性をいただき、大変嬉しく思います」といった言葉を述べると良いでしょう。
文面での通知をお願いする
次に、文面での通知をお願いしましょう。例えば、次のように伝えると良いでしょう。
「お伝えいただいた内容をしっかりと検討させていただきたいと思います。つきましては、具体的な条件を文書でいただくことは可能でしょうか」
理由を添えてお願いする
文面での通知を依頼する際は、その理由も添えましょう。
「家族に報告してから返事を差し上げたいので、内定通知書や採用条件通知書をいただきたいのですが、いかがでしょうか」
またハローワークを介して就職活動をしている場合は、次のような伝え方も考えられます。
「ハローワークに就業の報告が必要なので、文書での通知をいただきたいのですが可能でしょうか」
このように理由を添えて丁寧に依頼することで、企業側も文書での通知の必要性を理解しやすくなります。
内定通知書の確認ポイント
文面で内定通知を受け取った場合、以下の点をよく確認しましょう。
雇用形態と契約期間
雇用形態(正社員、パートタイマーなど)と雇用契約期間の定めの有無は、特に重要です。「パートタイマーなので社会保険はない」「正社員だから無期雇用」と思い込む人が多いですが、そうとは限りません。これらの点は必ず確認しましょう。
就業時間と休日
就業時間、休日、就業日数なども重要な確認ポイントです。これらは社会保険の加入の有無にも関わってきます。
給与の内訳
給与は総支給額だけでなく、内訳まで確認することが大事です。例えば基本給と各種手当の内訳、賞与の計算方法などです。
月給25万円と言われていたのに、内訳を確認したら基本給が16万円で残りが各種手当だったというケースがあります。また賞与が基本給の何ヶ月分なのか、総支給額の何ヶ月分なのかも確認しましょう。
内定通知と雇用契約書
内定通知書を受け取り、その内容を確認した後も注意が必要です。内定通知書と雇用契約書の内容が異なるケースがあります。
以下に、内定通知書と雇用契約書で確認するべきポイントを紹介します。
内容の一致確認
内定通知書で提示された条件と後日署名を求められる雇用契約書の内容が一致しているか、必ず確認しましょう。
試用期間の扱い
特に注意が必要なのは、試用期間の扱いです。
例えば、次のようなケースがありました。内定通知の段階では「正社員として採用」と伝えられていたにもかかわらず、実際の雇用契約書を確認すると最初の3ヶ月間が「試用期間」として設定されており、その期間は有期雇用契約になっていたのです。
このような場合、以下のようなリスクがあります。
- 試用期間中は正社員としての待遇を受けられない可能性がある
- 試用期間終了時に契約を打ち切られる可能性がある
- 社会保険の加入や福利厚生の適用が正社員とは異なる場合がある
そのため試用期間の有無、期間、その間の雇用形態、正社員への移行条件などを内定通知書と雇用契約書の両方で慎重に確認することが大事です。不明な点や疑問点がある場合は、必ず採用担当者に確認しましょう。
トラブルが発生した場合の対応
内定通知書と雇用契約書の内容に相違があった場合や、口頭での約束と異なる条件が提示された場合にはどのように対応するべきなのでしょうか。トラブルが発生した時の対応方法を解説します。
冷静に交渉する
まずは冷静に、提示された条件と自分の理解していた条件の相違点を整理しましょう。具体的には給与、勤務時間、福利厚生、雇用形態などの重要項目について、口頭で伝えられた内容と文書で提示された内容を比較します。相違点をメモにまとめ、具体的な数字や日付なども含めて明確にしておくことが大切です。
専門家へ相談する
条件の相違が大きく、自力での解決が難しいと感じた場合は転職エージェントや労働局などの専門家に相談することをおすすめします。
転職エージェントは求人市場や労働条件に関する豊富な知識を持っており、条件の妥当性や交渉の進め方についてアドバイスが受けられます。労働局では、労働法に基づいた適切なアドバイスが受けられます。例えば、提示された条件が法律に違反していないかなどを確認できます。
転職エージェントを利用するメリット
これまで説明してきたような内定通知や雇用契約書に関するトラブルを防ぐ上で、信頼できる転職エージェントを利用することは大きな助けとなります。転職エージェントは求職者と企業の間に立ち、様々な面でサポートを提供します。以下に、転職エージェントを利用するメリットを紹介します。
条件の明確化
転職エージェントは求人企業から提示される内定条件を事前にチェックし、求職者に説明します。転職エージェントは日々多くの求人情報を扱っているため、業界標準の条件や法的な観点から見て適切かどうかを判断できます。例えば給与水準が適切かどうか、労働時間が法令に準拠しているかどうかなどを確認します。
トラブル時のサポート
万が一、内定通知書と雇用契約書の内容に相違があった場合も転職エージェントが介入してくれます。求職者が直接交渉するよりもスムーズに解決をはかれるようになります。
慎重な対応と専門家の活用が鍵
口頭での内定通知には様々なリスクがあります。必ず文面での通知を求めて、その内容を慎重に確認しましょう。また、内定通知書と雇用契約書の内容が一致しているのかどうかも必ずチェックしましょう。
転職は人生の大きな転機です。専門家のサポートを活用することで、より良いキャリアを築くチャンスとなります。内定通知や雇用契約に関する不安や疑問があれば、ぜひD&Mキャリアにご相談ください。
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