転職活動 2025.06.27

医療法人の組織拡大|法人本部機能強化のポイント

医療法人の組織拡大|法人本部機能強化のポイント

医療法人が規模の拡大に伴い、従来の単独施設経営から複数施設を統括する法人運営への転換が求められる際、多くの理事長が直面するのが人事戦略の課題です。

「これまで院長として現場に専念してきたが、法人全体を見る人材が不足している」「複数の施設を効率的に運営するための組織体制がわからない」「どのような人材をどのポジションに配置するべきか判断に迷う」といった悩みを抱える経営層は少なくありません。

医療法人の組織拡大において、法人本部機能の強化は避けて通れない重要課題です。
適切な人事戦略と組織体制の構築により、持続可能な成長を実現するためのポイントについて解説します。

法人組織の発展段階と人事ニーズの変化

医療法人の成長過程において、組織構造と人事ニーズは段階的に変化していきます。

単独施設から複数施設展開への転換点

多くの医療法人は単独の施設経営からスタートして、事業拡大とともに介護施設やクリニックなどの複数の施設を運営するようになります。

この転換点において、従来の「院長=経営者」という構造から「理事長による法人全体の統括」と「各施設の現場責任者」の役割分担が必要になります。

■単独施設時の組織構造

  • 理事長(院長)が現場業務と経営判断を兼務
  • 事務長が実務全般をサポート
  • 各部門が独立して機能

■複数施設展開時の組織構造

  • 理事長は法人全体の戦略立案に専念
  • 法人本部が各施設を統括管理
  • 専門部門による横断的なサポート体制

この変化に対応するためには、法人本部機能の強化と適切な人材配置が不可欠です。

法人本部設置の必要性

複数施設を効率的に運営するためには、以下の機能を担う法人本部の設置が必要になります。

■経営戦略の立案・実行

  • 中長期的な事業計画の策定
  • 新規事業や設備投資の検討
  • M&Aやアライアンスの推進

■人事・労務の統一管理

  • 採用戦略の立案と実行
  • 人事制度の設計・運用
  • 労務管理とコンプライアンスへの対応

■財務・経理の一元管理

  • 各施設の業績管理と分析
  • 予算策定と執行管理
  • 資金調達と財務戦略

■総務・法務機能の集約

  • 契約管理と法務対応
  • 情報システムの企画・管理
  • リスク管理とコンプライアンス

これらの機能を効果的に運営するためには、各分野の専門知識を持つ人材の確保が重要です。

法人本部における重要ポジションと求められるスキル

法人本部における重要ポジションと求められるスキル

法人本部の機能強化において、特に重要となるポジションについて詳しく解説します。

人事部長の役割と重要性

複数施設を運営する医療法人において、人事部長は組織全体の人材マネジメントを統括する中核的なポジションです。

■主な業務内容

  • 採用戦略の構築・推進:法人全体の人材要件を分析して、効果的な採用チャネルの開拓と運用
  • 統一人事制度の構築・運営:施設間格差を解消する給与制度、公正な人事評価システムの設計
  • 戦略的人材開発の実施:組織目標に連動したスキル開発プログラムと昇進ルートの整備
  • 労働環境の最適化:医療従事者の働き方改革の推進、メンタルヘルスへの取り組み
  • 組織活性化の推進:部門間の連携の強化、職場風土の改善による離職率の低減

医療法人特有の課題として医師の働き方改革への対応、看護職員の確保・定着、多職種間の効果的な連携体制構築などが求められ、これらの専門的な対応が可能な人材への需要が高まっています。

処遇については法人規模に応じて800~1,200万円の範囲が一般的で、大規模法人では年収1,000万円以上での募集も珍しくありません。

経営企画部長の戦略的役割

医療法人の経営企画部長は、理事長の経営パートナーとして法人の成長戦略を企画・実行する責任者です。

■主な業務内容

  • 法人成長戦略の策定・実行:市場環境の分析に基づく中長期ビジョンの策定と実行計画の推進
  • 事業開発・拡張の企画:地域医療ニーズを踏まえた新規サービスの開発、施設展開計画の立案
  • 法人間連携・統合の推進:他医療法人との業務提携、M&A案件の検討・実行
  • 経営効率化の推進:各事業部門の収益構造の分析、業務プロセス改善による生産性の向上
  • 経営会議・理事会の企画運営:意思決定の迅速化、ガバナンス体制の強化
  • 制度変更への戦略的対応:診療報酬・介護報酬改定の影響の分析と対応策の立案

医療業界では制度改定が経営に与えるインパクトが大きいため、政策動向を先読みした戦略立案能力と、複雑な医療制度への深い理解が重要な要件となります。

総務部長の基盤整備機能

医療法人の総務部長は、法人運営の土台となるインフラ整備と管理機能を担う重要なポジションです。

■主な業務内容

  • 法人ガバナンス体制の構築:理事会の運営、内部統制システムの整備、組織規程の策定・管理
  • 法的リスクの管理・対応:医療法等の法令遵守体制の構築、監査対応、行政検査への準備
  • 契約・法務業務の統括:重要契約の審査・締結、法的紛争の予防・対応
  • ITインフラの企画・運営:電子カルテ導入、経営情報システム構築、情報セキュリティ対策
  • 対外関係の構築・維持:自治体・保健所等との関係構築、業界団体での活動推進
  • 危機管理体制の整備:災害対応、感染症対策、メディア対応等の危機管理計画の策定

医療法人では医療法、個人情報保護法等の厳格な法規制への対応が求められるため、法務知識と医療業界への理解を併せ持つ人材が重要視されています。

効果的な人材配置戦略

成功している医療法人では、ポジションの特性に応じて以下のような使い分けを行っています。

  • 総務部長:法規制対応が重要なため、医療業界経験者が適している
  • 人事部長:組織改革の推進力が求められるため、他業界経験者も効果的
  • 経営企画部長:戦略立案能力が重要で、コンサルティングファームや事業会社出身者が活躍

年収1,000万円クラスの幹部人材確保戦略

年収1,000万円クラスの幹部人材確保戦略

法人本部の重要ポジションでは、相応の処遇による優秀な人材の確保が必要です。

医療業界における給与水準の現状

医療法人の幹部クラスの年収水準は、法人規模や業績により大きく異なります。

  • 事務長クラス:600~800万円程度
  • 法人本部部長クラス:800~1,200万円程度
  • 法人本部役員クラス:1,000~1,500万円程度

特に人事部長や経営企画部長などの戦略的ポジションでは、優秀な人材確保のため1,000万円を超える条件での募集も増えています。

法人本部機能強化のための段階的アプローチ

最後に、組織拡大に応じた段階的な法人本部機能の構築方法について解説します。

第1段階:基盤機能の整備

■対象:2~3施設程度の法人

  • 経営企画機能の強化
  • 人事・総務機能の統合
  • 財務管理の一元化

第2段階:専門機能の分化

■対象:5~10施設程度の法人

  • 各部門の専門化
  • 部長職の設置
  • システムの統合化

第3段階:戦略機能の高度化

■対象:10施設以上の大規模法人

  • 役員クラスの専門職設置
  • M&A・新規事業推進体制
  • グループ全体の最適化

D&Mキャリアによる組織構築支援

D&Mキャリアでは医療法人の組織拡大において、以下のような支援を提供しています。

組織診断と人材ニーズの明確化

現在の組織体制と将来の事業計画を踏まえて、必要な人材要件を明確化します。

最適な人材の提案

組織の課題と将来の構想を深く理解したうえで、最適な人材をご提案します。

継続的な組織開発の支援

単発の人材紹介だけではなく、組織の成長段階に応じた継続的な人材戦略の立案をサポートします。

持続可能な成長基盤を築くために

医療法人の組織拡大において、法人本部機能の強化は避けて通れない重要課題です。
適切な人材配置と組織体制の構築により、持続可能な成長基盤を築くことが可能になります。

人事部長、経営企画部長、総務部長などの重要ポジションでは、医療業界特有の知識と一般的なビジネススキルの両方を兼ね備えた人材の確保が求められます。

D&Mキャリアでは医療法人の組織拡大における人材戦略の立案から、具体的な人材確保まで一貫したサポートを提供しています。
法人本部機能の強化や幹部人材の確保をお考えの際は、医療業界に特化した豊富な実績を持つD&Mキャリアまでお気軽にご相談ください。

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