外国人材採用 2025.10.31

【転職支援の現場から】「外国人だから」という不安を乗り越えて|介護施設での外国人材採用の実話

【転職支援の現場から】「外国人だから」という不安を乗り越えて|介護施設での外国人材採用の実話

※当コラムは、D&Mキャリアのキャリアコンサルタントが実際の転職支援で経験したエピソードをもとに執筆しています。なお、個人が特定されないよう、事実関係については一部内容を変更しています

「外国人材を雇い入れたいけれど、地域の評判が心配で踏み切れない」
介護施設の経営者から、こうした相談を受けることがあります。
現場は深刻な人手不足に直面しているにも関わらず、外国人材への漠然とした不安が採用の壁となっているケースは少なくありません。

先日私たちD&Mキャリアが支援させていただいた、大阪府内のある介護施設も同様の悩みを抱えていました。
理事長は「日本語が話せないのでは」「利用者が不安に感じるのでは」と懸念を示す一方で、施設長は人材不足で悲鳴を上げていたのです。
しかし私たちが特定技能の外国人材を紹介して「やさしい日本語研修」など丁寧なサポートを実施した結果、導入後は「頑張ってくれている」と施設内で高い評価を得て、現在では複数名の外国人材が活躍しています。

本コラムでは実際の支援事例をもとに、外国人材への偏見がどのように成功体験へと変わっていったのか、その過程をお伝えします。

外国人材採用に踏み切れなかった介護施設

私たちがご相談を受けたのは、大阪府内で複数の介護施設を運営する社会福祉法人でした。
特別養護老人ホームの施設長A様から、「外国人材の採用を検討したい」というお問い合わせをいただいたことがきっかけでした。

現場と経営層の温度差

A様との面談で、施設が直面している深刻な状況が明らかになりました。

「介護職員が慢性的に不足していて、既存のスタッフは疲弊しています。日本人の介護職員を募集しても応募がほとんどありません」とA様は切実な表情で語られました。

しかし外国人材の採用について理事長に相談すると、なかなか承認が得られないとのことでした。
「理事長は『地域の人たちからの評判が気になる』『外国人だと利用者やご家族が不安に感じるのではないか』と言って、首を縦に振ってくれません」

根強い偏見の背景

私たちD&Mキャリアはじっくりと面談を行い、理事長の懸念の背景を探りました。

理事長は70代で、これまで外国人と接する機会がほとんどなかったそうです。
「外国人は日本語が話せないから、コミュニケーションが取れないだろう」「文化の違いでトラブルが起きるのではないか」という漠然とした不安を抱いていました。

またこの地域は比較的保守的な土地柄で、コンビニエンスストアでも外国人スタッフを見かけることが少ない環境でした。
理事長の不安は単なる個人的な偏見というよりも、地域全体の雰囲気を反映したものだったのです。

発想の転換による突破口

私たちは施設の状況を整理して、外国人材採用への道筋を探りました。

段階的導入という提案

「いきなり複数名を採用することは、確かにリスクがあるかもしれません。まずは1名から始めてみてはいかがでしょうか」

私たちはA様を通じて、スモールスタートでの導入を理事長に提案しました。
さらに重要なポイントとして、最初の1名は特に日本語能力が高く、日本での生活経験もある人材を優先的に紹介することをお約束しました。

「成功体験を作ることが大切です。最初の印象が良ければ2人目、3人目の採用もスムーズに進みます」

「やさしい日本語研修」の実施

「やさしい日本語研修」の実施

外国人材の受け入れにあたって、私たちは施設職員向けの研修実施を提案しました。

「外国人材とのコミュニケーションで最も重要なのは、『やさしい日本語』を使うことです」

具体的には、日本人特有の婉曲表現を避け、明確に伝えることの重要性を説明しました。
例えば「それはしないほうが良いのではないかな」という表現では、外国人材には「しても良い」と受け取られる可能性があります。
「それはしないでください」とはっきり伝えることが大切です。

ベトナム人介護士Bさんとの出会い

私たちが紹介したのは、ベトナム出身の20代女性Bさんでした。

Bさんのプロフィール

Bさんは母国で看護学校を卒業後、技能実習生として来日して別の介護施設で3年間の経験がありました。
日本語能力試験N3を取得しており、日常会話には問題がありませんでした。

「日本の介護の仕事が大好きです。お年寄りの笑顔を見ると、自分も幸せな気持ちになります」
面接でBさんはこう語り、その明るい人柄と介護への熱意が施設長の心を動かしました。

理事長の不安を解消する工夫

理事長の不安を解消するために、私たちは面接に同席してBさんの日本語能力を直接確認していただく機会を設けました。

Bさんが流暢に日本語で受け答えする姿を見て、理事長の表情が和らいでいくのがわかりました。
「思っていたより、ちゃんと日本語が話せるのですね」という理事長の言葉に、偏見が少しずつ解けていく様子が感じられました。

導入後の変化と成功体験

Bさんの採用が決まり、実際に働き始めてからの変化は劇的でした。

現場での評判

入職から1ヶ月後、施設長A様から嬉しい報告をいただきました。

「Bさんはとても明るくて、利用者の方々にも人気です。『あの人が来ると元気が出る』と言ってくださる利用者もいらっしゃいます」

日本人スタッフからも「仕事が丁寧で真面目」「いつも笑顔で雰囲気が良くなった」という声が上がっていました。
最初は外国人材と一緒に働くことに不安を感じていたスタッフも、Bさんの働きぶりを見て認識が変わったのです。

理事長の心境変化

理事長の心境変化

最も大きな変化は、理事長の姿勢でした。
「最初は正直不安でした。でも実際に働いている姿を見て、私の偏見だったと気づきました」と理事長は率直に語られました。

さらに驚いたのは、理事長が自ら「2人目、3人目も採用したい」と言い出したことでした。
Bさんの成功体験が、施設全体の意識を変えたのです。

外国人材採用の成功のポイント

この事例から学んだ成功のポイントを整理します。

段階的な導入の重要性

いきなり大人数を採用するのではなく、まずは1名から始めることで施設側も外国人材も無理なく適応できます。
私たちD&Mキャリアでは、最初の1名には特に日本語能力が高く親和性のある人材を優先的に紹介することで、施設に成功体験を積んでいただくことを重視しています。

きめ細かなサポート体制

私たちD&Mキャリアでは単に人材を紹介するだけではなく、受け入れ準備から定着まで一貫してサポートしています。
「やさしい日本語研修」のような具体的な支援が、採用成功の鍵となります。

偏見から理解へ、そして共生へ

外国人材への偏見は、多くの場合「知らないこと」から生まれます。
実際に一緒に働いてみると、その不安のほとんどは杞憂だったことがわかります。

今回ご紹介した施設では、Bさんをはじめとする外国人材が施設の中核を担う存在となっています。
「明るくて頑張ってくれる」という評価は単なる労働力としてではなく、チームの大切な一員として認められている証です。

私たちD&Mキャリアは外国人材と施設の両方に寄り添い、それぞれの不安や課題を一つずつ解決していくことを心がけています。
視点を変えることで、外国人材採用は「リスク」から「チャンス」へと変わるのです。

外国人材の採用を検討しているが不安を感じている施設の方や、また日本の介護現場で活躍したいと考えている外国人材の方は一人で悩まずにご相談ください。
豊富な実績とノウハウを活かして、皆様の課題解決をサポートさせていただきます。

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