外国人材から「一時帰国したい」と相談されたら?
外国人材を雇用していると、「一度、母国へ帰りたい」という相談を受けることがあります。
相談を受けた施設としては、どのような対応を取るべきか判断に迷うこともあるでしょう。
帰国を希望する理由は様々ですが、主に「保険料の還付」「家族の病気」「出産」の3つが多く見られます。
それぞれ特徴が異なり、対応のポイントにも違いがあります。
また外国人材同士で「あの人は認められたのに、なぜ私は駄目なのか」という情報が共有されやすいため、対応の一貫性を保つことも重要です。
本コラムでは一時帰国を希望する3つの理由の特徴と、施設として備えておくべきポイントについて解説します。
一時帰国を希望する3つの理由
外国人材が一時帰国を希望する理由には、いくつかのパターンがあります。
D&Mキャリアの経験から、特に多い3つの理由をご紹介します。
保険料の還付
最も多いのが、社会保険料の還付を目的とした帰国です。
日本で一定期間働いた外国人材は、出国して住民票を抹消することで納めた保険料の一部が還付される「脱退一時金」という制度を利用できます。
この還付額は納付期間に応じて増加して、約5年で上限に達します。
そのため技能実習から特定技能へ移行した外国人材の多くが、5年前後のタイミングで一時帰国を希望します。
還付額が最大になる時期に合わせて帰国したいというのは、自然なことと言えるでしょう。
このケースでは帰国期間が明確で、復職を前提とした一時帰国となることがほとんどです。
家族の病気
母国に残した家族に病気が見つかり、急遽帰国を希望するケースもあります。
ベトナムなど東南アジアの国々では、日本と比べると医療体制や設備面で十分とは言えない地域もあります。
そのため病気が発見された時点ですでに深刻な状態というケースが、日本よりも多い傾向にあります。
「母親の末期がんが見つかった」「祖父が長くないと言われた」といった相談を受けることがあり、こうした場合は最期を看取りたいという思いから帰国期間が長くなることが一般的です。
このケースでは帰国期間の見通しが立ちにくいため、施設としては状況に応じた柔軟な対応が求められます。
出産

母国での里帰り出産を希望するケースもあります。
日本で働く外国人材同士が結婚して、子供を授かることは珍しくありません。
日本の労働法制に則って産休・育休を取得することも可能ですが、「母国で出産したい」「家族のサポートを受けながら育児をしたい」という希望を持つ人もいます。
出産後は母国に子供を預けて日本に戻り、働き続けることを選ぶ人もいます。
帰国前の段階で復職の意思や時期について確認しておくと、施設としても復職後の人員体制を整えやすくなります。
帰国理由によって異なる対応のポイント
3つの理由を比較すると、それぞれ対応のポイントが異なることがわかります。
保険料の還付:計画的な対応が可能
保険料の還付を目的とした帰国は、計画的に対応しやすいケースです。
帰国期間があらかじめ決まっており、本人も戻ってくることを前提に帰国するためです。
施設としては帰国時期を事前に把握して、一定期間の人員体制を調整しておくことでスムーズに対応できます。
家族の病気:柔軟な対応が求められる
家族の病気を理由とした帰国は、状況に応じた柔軟な対応が求められます。
「1ヶ月だけ帰らせてください」と言って帰国したものの、家族の容態が思わしくなく「もう少しそばにいたい」となるケースもあります。
病気の家族のそばにいたいという思いは人として当然であり、施設としても可能な範囲で配慮することが望ましいでしょう。
事前に延長の可能性も含めて話し合っておくことで、双方にとって納得のいく対応がしやすくなります。
出産:事前の確認が重要
出産を理由とした帰国は、復職の時期や意向が人によって異なります。
本人の意向や家族のサポート体制によって判断が分かれるため、帰国前の段階で復職の意思や希望時期を確認しておくことが大切です。
早めに意向を把握しておくことで、施設としても人員が調整しやすくなります。
対応の一貫性が求められる理由
外国人材の一時帰国に対応する際には、一貫性を保つことが重要です。
外国人材同士で情報が共有される
外国人材には、給与や待遇について同僚と情報を共有する傾向があります。
これは、一時帰国への対応についても同様です。
「Aさんは1ヶ月の帰国が認められたのに、なぜ私は2週間しか認められないのか」
「Bさんの時は寮をそのまま使えたのに、なぜ私は荷物を引き払わないといけないのか」
こうした声が上がりやすいのが、外国人材を雇用する現場の実情です。
論理的な説明ができる状態にしておく
対応に一貫性がないと、外国人材から「不公平だ」という不満が生じます。
これは本人のモチベーションの低下だけではなく、他の外国人材への波及効果も懸念されます。
そのため「なぜこの人にはこの対応なのか」を、論理的に説明できる状態にしておくことが大切です。
Aさんの時はこういう条件だったからこう対応した、あなたの場合はこういう条件だからここまでしか認められないという説明ができれば納得を得やすくなります。
規定やマニュアルを整備しておく

対応の一貫性を保つためには、事前に規定やマニュアルを整備しておくことが有効です。
想定されるケースを洗い出す
まずは、一時帰国の相談を受けた際に想定されるケースを洗い出しておきましょう。
- 保険料の還付を目的とした帰国であれば、どの程度の期間を認めるのか
- 家族の病気の場合は、どこまで延長を認めるのか
- 出産の場合は、産休・育休の取得をどう案内するのか
こうしたケースごとの対応方針を決めておくことで、相談を受けた際に迷わず対応できます。
条件を明文化する
一時帰国を認める条件についても、明文化しておくことをおすすめします。
例えば「帰国期間は原則として〇週間以内」「延長は〇週間まで」「それ以上の場合は退職扱いとする」といった基準を設けておけば、判断に迷うことが少なくなります。
また「一定期間内に復職した場合は有給休暇の算出期間を引き継ぐ」「寮は〇ヶ月まで継続利用可」といった条件を明示しておくことで、外国人材も見通しが立てやすくなります。
入職時に説明しておく
規定を整備したら、入職時の段階で説明しておくことが効果的です。
「将来的に一時帰国を希望する場合は、このような対応になります」と事前に伝えておくことで、いざ相談を受けた時にスムーズに対応できます。
また外国人材の側も、どのような条件であれば一時帰国が認められるのかを把握した上で働くことができます。
外国人材の一時帰国に対応するために
外国人材から「一時帰国したい」と相談された時にどこまで認めるべきなのか、どのように対応するべきなのかは難しい判断となります。
大切なのは理由によって対応のポイントが異なることを理解した上で、一貫性を保つための備えをしておくことです。
規定やマニュアルを整備して、誰に対しても同じ基準で対応できる体制を整えておきましょう。
D&Mキャリアでは外国人材の採用支援に加えて、一時帰国への対応や規定整備についてのご相談も承っています。
「どのような規定を設ければ良いかわからない」「他の施設はどう対応しているのか知りたい」といったお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
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