外国人材の評価・昇給をどう考えるか|「同一労働・同一賃金」の原則と現場での配慮
外国人材を受け入れる施設が増える中で、評価制度や給与体系についてご質問をいただくことがあります。
「外国人材には、どのような評価基準を設けるべきなのでしょうか」
「日本人スタッフとは別の給与テーブルを用意した方が良いのでしょうか」
こうしたご質問に対して、私たちは「日本人スタッフと同じ規定を適用してください」とお伝えしています。
外国人材だからといって、特別な制度を設ける必要はありません。「同一労働・同一賃金」の原則に基づいた運用が基本となります。
一方で給与や福利厚生以外の部分では、外国人材ならではの配慮が求められる場面もあります。
本コラムでは外国人材の評価・昇給制度の考え方と、現場での運用ポイントについて解説します。
「同一労働・同一賃金」という基本原則
外国人材の評価・昇給を考える際に、まず押さえておきたいのが「同一労働・同一賃金」の原則です。
外国人材だからといって特別な制度は不要
外国人材を雇用する際に「外国籍の人だから」という理由で、特別な賃金規定や評価規定を設ける必要はありません。
通常の賃金規定と評価規定を、そのまま適用するのが基本となります。
これは、外国人材を「特別扱いしない」ということでもあります。
日本人スタッフと同じ仕事をしているのであれば同じ基準で評価して、同じ基準で給与を決定するのが原則です。
介護分野における昇給の考え方

介護分野を例に挙げると、給与が上がる主な要因は「資格取得」と「勤続年数」の二つです。
介護福祉士などの資格を取得すれば資格手当が支給されて、勤続年数に応じて基本給が上がっていきます。
こうした仕組みは国籍を問わず、同じように適用されます。
外国人材であっても日本人スタッフであっても資格を取得すれば同じように手当が付いて、勤続年数に応じた昇給も同様に行われます。
定性評価も同じ基準で
「仕事に熱心に取り組んでいるか」「チームワークを大切にしているか」といった定性的な評価についても、国籍によって基準が変わるものではありません。
外国籍の人だから評価が高い・低いということはなく、日本人スタッフと同じ視点で評価されます。
外国人材だからといって「手厚くする」必要はあるのか
外国人材の採用について調べていると、「日本人よりも給与を手厚くした方が定着につながる」といった情報を目にすることがあるかもしれません。
しかし、この考え方には注意が必要です。
給与面での「特別扱い」は原則に反する
外国人材だからという理由で、日本人スタッフよりも高い給与を設定することは「同一労働・同一賃金」の原則に反する可能性があります。
同様に外国人材だけを対象とした住宅手当を設けるといった対応も、原則に反すると考えられます。
転居を伴う入職が多いのは事実ですが、それは日本人スタッフにも当てはまることがあるからです。
給与・待遇を整備することの意味
外国人材の多くは、母国の家族への仕送りを目的に日本で働いています。
そのため給与に対する意識が高く、給与や待遇に問題があると感じた場合は早い段階で転職を検討する傾向があります。
こうした傾向を聞くと、「外国人材には手厚い待遇が必要なのではないか」と思われるかもしれません。
しかし実際には適正な給与水準を維持して賞与を約束通りに支給するといった基本的なことができていれば、外国人材も日本人スタッフと同様に定着します。
つまり「外国人材だから特別に手厚くする」のではなく、当たり前のことをきちんと守ることが大切なのです。
日本語力の向上を評価に反映するべきか
外国人材の中には、入職後に日本語力が大きく向上する人もいます。
こうした成長を評価に反映するべきかどうか、迷うこともあるかもしれません。
日本語力に特化した評価項目は一般的ではない
結論から言えば、日本語の上達を評価項目として設けている職場はほとんどありません。
日本語力の向上は業務に直接関わる評価項目というよりも、次に述べる「勤勉性」の一部として捉えられることが多いようです。
「勤勉性」として評価される可能性

日本語が上達するということは、仕事に熱心に取り組んでいることの表れでもあります。
業務時間外にも日本語の勉強をしている、日本人スタッフとのコミュニケーションを積極的に取っているという姿勢は、「勤勉性」として定性評価に反映される可能性があります。
これは日本人スタッフが未経験から知識を向上させて、サービスの質を高めていくのと同じような評価要素と捉えることができるでしょう。
給与・福利厚生以外での配慮
「同一労働・同一賃金」の原則に基づけば、給与や福利厚生で外国人材を特別扱いすることはできません。
しかしそれ以外の部分では、意識的に手厚くすることが望ましい場面があります。
手続きや説明を丁寧に行う
日本人スタッフであれば「健康診断を受けてきてください」と伝えればスムーズに対応できることでも、外国人材には丁寧な説明が必要な場合があります。
「〇〇に行って、この項目で検診を受けてきてください。期限は△△までです」
このように、具体的にわかりやすく説明することが大切です。
こうした説明の丁寧さは登録支援機関がサポートする部分でもありますが、受け入れ側の施設でも意識しておくと良いでしょう。
一時帰国に関する規定を設ける
外国人材特有の事情として、一時帰国があります。
特定技能で一定期間働いた外国人材は、支払った社会保険料の一部が還付される制度を利用するために、一時帰国を希望することがあります。
また家族の病気や出産といった事情で、母国に戻る必要が生じることもあります。
一時帰国をする際には日本から出国することになるため、形式上は一旦退職の手続きを取ることになります。
通常であればこの時点で有給休暇がリセットされて、戻ってきたら新規入職として扱われることになります。
しかしこれは、日本人スタッフにはほぼ生じ得ない状況です。
そこで一定期間内に戻ってくることを条件に有給休暇の算出期間を引き継ぐ、また寮をそのまま利用できるようにするといった特例的な規定を設けている施設もあります。
こうした規定は「同一労働・同一賃金」の原則に反するものではなく、外国人材ならではの事情に配慮した合理的な対応と言えるでしょう。
差別的な評価は許されない
最後に確認しておきたいのは、日本語がネイティブではないことを理由にした差別的な評価は、当然ながら許されないということです。
「難しい日本語が使えないから」という理由で評価を下げるようなことがあってはなりません。
言語の壁は確かに存在しますが、それは評価を下げる理由にはならないのです。
外国人材の評価においては業務の遂行能力や仕事への姿勢など、本質的な部分を見ることが求められます。
外国人材の評価でお悩みの方へ
外国人材の評価・昇給制度について「同一労働・同一賃金」の原則と、現場での配慮のポイントをお伝えしました。
基本的な考え方としては、日本人スタッフと同じ規定を適用することで問題ありません。
特別な制度を設ける必要はなく、むしろ同じ基準で評価することが公平性の観点からも望ましいと言えます。
一方で給与や福利厚生以外の部分、例えば手続きの説明や一時帰国への対応など、外国人材ならではの配慮が求められる場面もあります。
D&Mキャリアでは外国人材の紹介だけではなく、受け入れ体制の整備についてもサポートさせていただいています。
評価制度や給与体系についてお悩みの方や、外国人材の受け入れを検討されている方はぜひ一度ご相談ください。
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