外国人材採用 2025.10.14

【外国人材のキャリアアップ】介護・医療現場での組織の中核人材への育成

【外国人材のキャリアアップ】介護・医療現場での組織の中核人材への育成

日本の介護・医療業界で働く外国人材の多くが、介護補助や看護助手といった補助的な業務に留まっているのが現状です。
母国で看護師の資格を持ちながらも、日本では資格の壁に阻まれて本領を発揮し切れない外国人材もいます。

しかし超高齢社会を迎えて人材不足が深刻化する介護・医療業界においては、外国人材を単なる「人手」として扱うのではなく、将来のリーダーや管理者として育成することが施設運営の鍵となります。
実際に外国人材を主任やリーダーとして育成して、成功している介護施設も増えています。

本コラムでは、介護・医療業界における外国人材のキャリアアップを実現するための具体的な方法と、長期的な人材育成の視点について解説します。

介護・医療業界特有のキャリアの壁

介護・医療業界で外国人材のキャリアアップが進まない背景には、業界特有の構造的な問題が存在します。

国家資格という高いハードル

日本の介護・医療業界では、キャリアアップに国家資格が不可欠です。
しかし外国人材にとって、日本語での国家試験合格は極めて困難な挑戦となります。

EPA(経済連携協定)で来日した看護師・介護福祉士候補者も、国家試験の合格率は依然として低い水準に留まっています。
専門用語の理解、漢字の読み書き、日本特有の制度への理解など、日常会話レベルを超える言語的・文化的な壁が存在します。

資格がなければ、どんなに優秀でも介護職員初任者研修修了者としての業務範囲に限定されます。
この制度的な壁が、外国人材のモチベーション低下につながっているのです。

「実務担当者」としての固定的な役割

多くの介護施設では、外国人材を「日本人スタッフの補助」として位置づけています。
利用者との直接的なコミュニケーションは日本人スタッフが担当して、外国人材は身体介護や環境整備を中心に行うという役割分担です。

このような固定的な役割分担では、外国人材がケアマネジメントや施設運営について学ぶ機会が限られます。
結果としていつまでも介護実務の担当者という立場に留まり、キャリアの停滞を招いています。

文化的配慮の欠如による離職

介護・医療の現場では、日本特有の「おもてなし」や「察する文化」が重視されます。
しかし異なる文化背景を持つ外国人材にとって、これら「暗黙の期待」を理解することは困難です。

例えば利用者への言葉遣いやご家族への対応の際の配慮など、マニュアル化されていない部分で戸惑うことが多くあります。
このような文化的なギャップが評価に影響して、昇進の機会を逃すケースがあります。

成功施設に学ぶキャリアパス構築

外国人材のキャリアアップを実現するための、効果的な取り組みを紹介します。

段階的な資格取得支援システム

段階的な資格取得支援システム

特別養護老人ホームなどでは、外国人材の資格取得を段階的に支援するシステムの構築が効果的です。
介護職員初任者研修からはじまり、実務者研修そして介護福祉士へと、ステップアップできる環境を整備することが重要となります。

勤務時間内での研修受講を認めて、受験費用を施設が負担する制度を導入することで、外国人材の学習意欲を高めることができます。

また日本人スタッフによる勉強会を定期的に開催して、専門用語の理解や試験対策をサポートする体制を作ることも有効です。

このようなシステムにより外国人材が介護福祉士資格を取得すれば、主任などの管理職として活躍する道が開かれます。
資格取得後は基本給の向上だけではなく、リーダー職への昇進機会を提供することで長期的なモチベーションの維持につながります。

ユニットリーダーへの積極的登用

介護老人保健施設などでは、外国人材をユニットリーダーとして登用することを検討しましょう。
最初は5~6名の小規模チームから始めて、徐々に責任範囲を拡大していく方針が効果的です。

外国人材が入職3年目程度でリーダー職に就けるようなキャリアパスを設定することで、明確な目標を持って働くことができます。
日本人スタッフと外国人スタッフの橋渡し役として、両者のコミュニケーション改善に貢献する役割を担ってもらうことも可能です。

リーダー研修では、日本の介護保険制度や施設運営の基礎知識を学ぶ機会を提供します。
このような育成により、将来的に施設の中核を担う人材として成長することが期待できます。

介護・医療現場での多様性がもたらす価値

外国人材がリーダーシップを発揮することで期待される、介護・医療の質の向上について考察します。

利用者への新たなケアアプローチ

利用者への新たなケアアプローチ

外国人材の文化的背景を活かした独自のケアアプローチを導入することで、利用者の満足度の向上が期待できます。
例えば外国人介護士との異文化交流は日常生活に新鮮な刺激をもたらし、単調になりがちな施設生活に変化を生み出すことで孤独を感じている高齢者に活力を与える可能性があります。

また外国人材の存在により、施設全体のコミュニケーションが活性化することも期待できます。
言葉の壁を越えようとする努力が、非言語コミュニケーションの重要性を再認識させる機会となるでしょう。

チームワークの向上

外国人材がリーダーになることで、多様性を受け入れる組織文化の醸成が期待できます。
「違い」を「強み」として捉える視点が、チーム全体の柔軟性を高める効果をもたらすでしょう。

国際的な視野を持つ施設運営

外国人材の昇進は、施設の国際化にも貢献する可能性があります。
海外からの視察の受け入れや国際交流プログラムの実施など、新たな事業展開の機会が生まれることも考えられます。

また外国人利用者への対応力の向上も期待できます。
今後増加が予想される在日外国人の高齢者に対して、文化的に適切なケアを提供できる体制を構築することが可能となります。

実現に向けた施設の取り組み

介護・医療施設が外国人材のキャリアアップを支援するための、具体的な方法を解説します。

明確な評価基準の設定

介護技術、コミュニケーション能力、チームワークなど、評価項目を明確にすることが重要です。
日本語能力だけではなく、実際のケアの質で評価する仕組みを作ります。

また外国人材向けの評価シートを作成して、文化的な違いを考慮した公平な評価を行います。
定期的なフィードバックにより、改善点と成長の方向性を明確に示すことが大切です。

日本人スタッフの理解促進

外国人材の昇進に対する、日本人スタッフの理解を得ることも重要です。
異文化理解の研修を実施して、多様性の価値を共有します。

また外国人材と日本人スタッフがペアを組んで業務を行う機会を増やして、相互理解を深めます。
お互いの強みを認め合う関係性が、組織全体の成長につながります。

長期的なキャリアビジョンの共有

入職時から5年後、10年後のキャリアビジョンを共有することが大切です。
「介護福祉士取得→主任→施設長」といった具体的な道筋を示します。

定期的な個人面談により、目標達成に向けた支援を継続します。
必要に応じて外部研修への参加の機会も提供して、視野を広げる機会を作ります。

外国人材と共に創る介護・医療の未来

介護・医療業界における外国人材のキャリアアップは、業界の未来を左右する重要な課題です。
単なる人手不足の解消ではなく、ケアの質の向上と組織の発展につながる戦略的な取り組みとして位置づける必要があります。

D&Mキャリアでは、介護・医療業界に特化した外国人材の紹介と育成支援を行っています。
採用から定着、そしてキャリアアップまで、施設と外国人材の両方をサポートします。

外国人材を組織の中核人材として育成したい施設は、ぜひD&Mキャリアにご相談ください。
豊富な実績とノウハウで、皆様の人材戦略をお手伝いいたします。

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