外国人材が「お金」を大切にする理由|母国への仕送りという責任の重さ
「外国人スタッフは、給与のことを細かく聞いてくる」
「お金のことにこだわりが強い」
外国人材を受け入れている施設の方から、このような声を聞くことがあります。
日本人スタッフと比較して、給与や手当について詳しく確認してくる印象を持たれることが多いようです。
しかしその背景には、私たち日本人が実感しにくい事情があります。
外国人材の多くは、家族と離れて日本に働きに来ています。母国に残した家族への仕送りが、大きな目的の一つなのです。
本コラムでは外国人材がお金を大切にする理由と、その背景にある事情についてお伝えします。
外国人材の採用や受け入れを検討されている方の参考になれば幸いです。
外国人材が日本で働く目的
まずは外国人材が日本で働くことを選ぶ理由について、整理してみましょう。
母国への仕送り
外国人材の多くは、母国の家族への仕送りを目的に日本で働いています。
日本の給与水準は、東南アジアの国々と比較して高い水準にあります。
例えばベトナムの平均月収は日本円で3~4万円程度、フィリピンでは2~3万円程度となります。
日本で介護職として働けば、月収20万円前後を得ることができます。
日本で得た収入を母国に送金することで、家族の生活を支えたり子供の教育費に充てることができるのです。
家族のために離れて暮らす
母国への仕送りのために、外国人材は家族と離れて暮らすことを選んでいます。
私たちが支援している外国人材の中には、1~2歳の幼い子供を母国の親に預けて日本で働いている人もいます。
子供の成長を間近で見守ることができない寂しさを抱えながら、毎日仕事に向き合っているのです。
年に1回、あるいはそれ以下の頻度でしか帰国できない中で、オンラインで子供の顔を見ながら働き続けている母親たちがいます。
その姿を知ると彼女たちがなぜお金を大切にするのか、理解できるのではないでしょうか。
母国の貨幣価値で考える
外国人材がお金を大切にする理由を理解するためには、母国の貨幣価値で考えることが重要です。
母国の貨幣価値で見る「1万円」
例えば日本での1万円はベトナムでは約180万ドン、フィリピンでは約3,800ペソに相当します。
これは現地の平均月収の数分の1から半分程度に相当する金額です。
つまり日本での1万円の差は、母国では1週間分以上の生活費に相当することがあるのです。
給与を詳しく確認する理由
「外国人スタッフは給与の細かい部分にこだわる」という声を聞くことがあります。
しかしその「細かい部分」は、母国の家族にとっては生活を左右する金額かもしれません。
夜勤手当が月に数千円違う、残業代の計算方法が少し異なる。こうした差が、母国に送金できる金額に直接影響します。
給与を詳しく確認するのは、家族への責任を果たすための真剣な姿勢の表れなのです。
日本人が抱きやすい誤解

外国人材のお金に対する姿勢について、日本人が誤解しやすい点があります。
「お金にうるさい」という印象
外国人材が給与について詳しく質問したり条件面にこだわると、「お金にうるさい」という印象を持たれることがあります。
しかし前述の通り、彼らには母国の家族を支えるという責任があります。
日本人が自分や家族の生活のために給与を気にするのと同様に、外国人材も自分の生活と家族の生活を支える責任を担っています。
しかもその家族は、遠く離れた母国にいるのです。
その背景を理解せずに「お金にこだわりすぎる」と判断してしまうのは、誤解に基づいた見方かもしれません。
文化の違いもある
また給与について話すことに対する感覚も、文化によって異なります。
日本では給与の話は避けるべきという暗黙のルールがありますが、国によっては給与についてオープンに話すことが一般的な場合もあります。
同僚と給与を比較し合うことも、珍しくない文化圏があります。
外国人材が給与について話題にするのは必ずしも「マナー違反」ではなく、文化的な背景がある場合もあるのです。
外国人材の置かれた状況を想像する
外国人材を受け入れる際には、彼らの置かれた状況を想像することが大切です。
離れて暮らす家族への思い
D&Mキャリアが支援している外国人材の中には、毎月の給料日を心待ちにしている人が多くいらっしゃいます。
給料が入ったらすぐに母国に送金して、家族の生活費や子供の学費に充てるからです。
ある女性スタッフは、毎晩オンラインで母国の子供と話をしています。
画面越しに子供の成長を見守りながら、「この子のために頑張っている」という思いで仕事を続けていらっしゃいます。
そのような状況にある人が、給与や手当について真剣に確認するのは当然のことではないでしょうか。
真摯な姿勢として理解する
外国人材が給与や手当を細かく確認する行動は多くの場合、家族への責任を果たそうとする真摯な姿勢の表れです。
日本人でも家族を養うために働いている人は多いでしょう。
外国人材はそれを国境を越えて、離れた場所から行っているのです。
受け入れ施設に求められる理解

外国人材を受け入れる施設には、こうした背景への理解が求められます。
給与体系の丁寧な説明
外国人材を採用する際には、給与体系について丁寧に説明することをおすすめします。
基本給だけではなく各種手当、残業代の計算方法、社会保険料の控除なども含めて、具体的な手取り額がわかるように説明することが大切です。
「細かいことを聞いてくる」と感じるかもしれませんが、それは家族への送金額を把握したいという切実な思いからです。
最初に丁寧に説明しておくことで、後々のトラブルを防ぐこともできます。
文化の違いを認め合う
給与について話すことへの感覚の違いなど、文化的な背景を理解することも重要です。
日本のルールを押し付けるのではなく、なぜそのような感覚の違いがあるのかを理解した上で、必要に応じて日本の職場でのマナーを伝えていくことが大切です。
お互いの文化を認め合いながら働ける環境を作ることで、外国人材の定着にもつながります。
共に働く仲間として
外国人材は、人手不足を補うための「労働力」ではありません。
共に働く仲間として、一人一人の背景や事情を理解することが大切です。
背景を知ることで関係が変わる
外国人材がなぜお金を大切にするのか、その背景を知ることで見方が変わることがあります。
「お金にうるさい人」ではなく「家族のために頑張っている人」として見ることで、日々のコミュニケーションも変わってくるのではないでしょうか。
D&Mキャリアは外国人材の紹介だけではなく、受け入れ施設の方にこうした背景をお伝えすることも大切な役割だと考えています。
外国人材の採用をお考えの方へ
外国人材の背景を理解してお互いを尊重し合える職場環境を作ることは、定着率の向上にもつながります。
「この職場は自分のことを理解してくれている」と感じられる環境であれば、長く働き続けたいと思えるものです。
外国人材の定着に課題を感じている施設は、まずは外国人スタッフ一人一人の背景を理解することから始めてみてはいかがでしょうか。
私たちは外国人材の紹介だけではなく、受け入れ後の定着のための支援も行っています。
外国人材の採用を検討されている施設の方、すでに受け入れているものの定着に課題を感じている方は、ぜひ一度D&Mキャリアへご相談ください。
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