介護現場で起きやすいヒヤリハット事例について

介護現場では、身体が不自由な人や認知症の人がいることから、些細なことが事故につながり得ます。
事故を未然に防ぐために「ヒヤリハット」を活用している介護施設も多く、本記事では介護現場におけるヒヤリハット、ヒヤリハットが起きる原因と事例についてご紹介します。

介護現場におけるヒヤリハットとは

ヒヤリハットとは、事故になりかけたが幸いにも回避できた出来事のことを指します。
「事故にならなくて良かった」と済ませるのではなく、事故の発生につながりかねない事象をチームや組織で共有することで、事故を未然に防ぐことを目的として活用します。

介護現場においてもヒヤリハットは重要視されており、介護職員などが発見・遭遇した「ヒヤリ」「ハッ」としたことを報告書としてあげていきます。
ヒヤリハットの事例を日常的に各介護職員に共有することで、施設内における事故件数の減少が期待できます。

ハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則とは、統計分析の専門家・ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが提唱したもので、重大な事故1件に対して、軽微な事故が29件、ヒヤリハットが300件あるという、労働災害に対する経験的な法則のことを指します。

1件の重大な事故の背景には、数多くのヒヤリハットが存在していますが、このヒヤリハットの件数を減らすことで、重大な事故や軽微な事故の件数を抑えることができると考えられます。
そのため、ヒヤリハットの事例を共有して、ヒヤリハットの件数を抑えることは、重大な事故を未然に防ぐ手段として有効です。

介護現場でヒヤリハットが起きる原因と事例

ヒヤリハットが発生する原因には利用者をはじめ、介護職員や利用者のご家族、環境や設備などが関わっています。

利用者本人が原因である場合

利用者本人がヒヤリハットの原因となるケースは少なくなく、認知症や足が不自由であることから発生する転倒や転落事故は多い傾向にあります。
また、服用している薬の副作用でめまいがしたり、身体の衰えからふらついたりすることも転倒や転落の原因につながります。

利用者本人が原因であるヒヤリハットの事例

移動に関するヒヤリハットの事例です。

介護職員や利用者のご家族が原因である場合

人手不足などから介護職員一人あたりの負担が大きく、疲労や集中力の低下からヒヤリハットにつながることがあります。
また、利用者のご家族が一時的に介護を行った際にもヒヤリハットは発生しやすい傾向にあります。
慢性的な疲労に見舞われないように体調管理に気を付けたり、ご家族が一時的に介護をする際には介護をする際の注意点などを伝えたりするようにしましょう。

介護職員が原因であるヒヤリハットの事例

薬の飲み忘れに関するヒヤリハットの事例です。

利用者のご家族が原因であるヒヤリハットの事例

誤飲に関するヒヤリハットの事例です。

環境や設備が原因である場合

ヒヤリハットは人為的なものだけではなく、施設内の環境や設備によって起こるケースもあります。
滑り止めマットの端が折れているのを放置していれば、車いすや利用者本人が転倒する原因になりかねません。
環境や設備が危険な状態に無いか気を付けて確認することを習慣づけましょう。

環境や設備が原因であるヒヤリハットの事例

浴室での転倒に関するヒヤリハットの事例です。

おわりに

ヒヤリハット発生時は「事故にならなくて良かった」と済ませるのではなく、チームや組織で事例を共有して、今後の事故を未然に防ぐことが大切です。
1件の重大な事故の背景には、300件のヒヤリハットが存在していると言われているため、発生した事例を共有してヒヤリハットの件数を抑えるようにしましょう。